【感想・ネタバレ】発情装置 新版のレビュー

あらすじ

ヒトが欲情するのは,そうさせる「文化装置」があるから――.援助交際・婚活殺人・「こじらせ女子」など時代ごとの性風景や,春画・写真・オブジェなど古今東西のアートから,発情を強いる「エロスのシナリオ」を大胆に読みとく.性からタブー・虚飾を剥ぎとり,アラレもない姿を堂々と示す,迫力のセクシュアリティ論.

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Posted by ブクログ

ネタバレ

自著解題より
セックス音ハードルはたしかに下がった。女性に性欲があることは当然視されるようになったし、女性が快楽を求めることにもスティグマはなくなった。女性があからさまにセックスやマスターベーションを口にすることへのタブーも、なくなりはしないが、確実に少なくなった。結婚の前にも後にも外にも、女性がセックスを求めることに社会的な制裁はいちじるしく減少した。そうでなかった時代のことを思うと、隔世の感がある。だが、それはほんとうに女性にとって「性解放」だったのだろうか?
その反面、ジェンダーの非対称性がおどろくほど変わっていないことにも驚く。避妊の知識と技術が普及したのに、無知からではなく遠慮からパートナーに避妊を言い出せない女。「今どこに誰といる?」と恋人に訊かれてしょっちゅう写メを証拠写真としておくらなければならない拘束を、愛情ととりちがえる女。…(中略)…
性解放は女の性の自立と自律を求めるもののはずだった。だが結局、いくらハダカで向き合っても「ベッドの中」だけが解放区になるはずもない。ベッドの中には、ありとあらゆくる社会的・経済的・政治的な非対称性が持ち込まれるだけにすぎないことが、あれから四〇年経ってみれば、あらためてよくわかる。フェミニズムの標語、「個人的なことは政治的である」は今でも有効なのだ。

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2016年02月15日

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