【感想・ネタバレ】ボンベイのシャーロックのレビュー

あらすじ

インドのシャーロック・ホームズが不可解な事件を解き明かす!1892年、ボンベイ。シャーロック・ホームズに憧れるジェイムズ・アグニホトリは、女性二人が転落死した事件の記事を見つける。関係者に話を聞くも、彼女らに自殺する理由はなかった。不思議に思った彼はホームズに倣って捜査を行うが、事件は一筋縄ではいかず……。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

いっときの華文ミステリの勢いが下火になってきたように感じる中、一方で存在感を出してきているのがインドやアフリカ色漂うミステリ。
『カルカッタの殺人』(殺人事件と、背景となっている第一次大戦直後の現地の暗部へ通じる道の描きっぷりが○)、『マイ・シスター、シリアルキラー』(新感覚のアフリカンサイコサスペンス)、『ガーナに消えた男』(未読だけど気になる)。

本書は18世紀終わりのインドを舞台とした、退役軍人が新聞で見かけた2人の女性が相次いで転落した謎の事故死の真相究明に乗り出す、にわか探偵物語。
時節柄イギリス統治下にあること、かの『四つの署名』が刊行された直後にあることから、タイトルにもある”彼”の影響を大きく受ける、変装が欠かせない要素の調査スタイル。

異色なのは戦争という状況がすぐ身近にあり、探偵ごとの真相究明のかたわら軍務に就いてしまうところだったり、人種や民族、カーストといった社会的要素が物語の展開に随所で楔を打ち込むところ。

ストーリー的には、思い込みの強い主人公の一人称語りと、雇い人の妹に対する淡い恋心の見え隠れするうじうじ加減が、どちらかというと助手役のキャラが頑張って真相を突き止めたっていう印象。
真相自体もそこまでのいきさつはあれど、あまりにもど直球な謀りごとで、なんか大味だったなぁと。
インドという雰囲気を楽しむ系の物語なのかな。

0
2022年07月31日

「小説」ランキング