あらすじ
甲斐性なしの夫・壮介とのんびり屋の妻・道。二人の暮らしはいつも壮介が持ち込むトラブルで波瀾万丈。に見えて、のんびり屋の道と一緒ならそれさえ愛しい日常になる。あたたかくて笑えてしまう、小さな夫婦の毎日!
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
読み進めるうちに、主人公の道がただの能天気な人ではないことがだんだん分かってくるのが面白い。明るくのほほんと日常を過ごしている姿の裏に、複雑な感情があるのが伝わってきて、少し怖さを感じるほどだった。
一方で、壮介はそんな道の内情を知らず、ただ「ぼんやりした地味な女」くらいに思っている。その対比がなんだかリアルで、印象的だった。
日常のユーモラスなシーンの合間に、道の内面がふと垣間見える瞬間があり、ドキッとさせられた。穏やかな雰囲気の中に時折見え隠れする奥深さが、この作品の魅力なのだと思う。
『この世界の片隅に』でも感じたが、こうの史代先生の描く「おっとりした女性」は、ただの能天気な人ではなく、柔軟さと芯の強さを併せ持っているように思える。能天気に見える人だって、何も考えていないわけではない。そう語りかけられているような気がした。