あらすじ
好奇心を突き動かしつづけるのは「知識」であり、知識を得るには「労力」が必要だ。いっぽう、幼少期の環境に由来する「好奇心格差」は、深刻な経済格差に発展しかねない。はたして、いま私たちが自分のために、そして子どもたちのためにできることとは? 好奇心がいかに生まれ、育まれ、なぜ人間に好奇心が必要なのかを、多彩な例を引きつつ解明。親、教育者、そして知的意欲に溢れるビジネスマンまで必読のノンフィクション。
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Posted by ブクログ
人間の好奇心に関する本。
タイトルからは、人間にとって好奇心がいかに大事なことで、現代の知識を詰め込む教育を否定するタイプの本だと想像したが、全然違った。
本書の結論としては、人間にとって好奇心は非常に大事だが、教育によって与えられる多くの正しい情報が土台としてなければ、好奇心を最大限生かした学びにはつながらなず、これが好奇心によらない教育の重要な部分であるということ。だからと言って、好奇心を押しつぶすほどの徹底的な詰め込み教育は良くないので注意が必要だという内容だった。
一方的に好奇心の素晴らしさを説く本や思想は多々あるが、本書は同時に基本となる知識の重要性を共に説明しており、幼少期の学びにも焦点を当てていてとてもバランスのとれた構成となっていると感じた。
インターネットやAIにって知りたい情報に素早くアクセスすることが可能になった現代においても、学習することの重要性は変わらないどころかますます重要になっているが、学習を持続させるのに必要なのは人間本来の「もっと知りたい」という飽くなき好奇心なのかもしれないと思った。
(以下に印象的な点を抜粋)
(P.244)“知識こそが、好奇心を持続させる力なのである。”
(P.260)“好奇心を解放するだけで素晴らしい知的発見の世界が広がるとしたら喜ばしいことだが、実際はそうはいかない。学校が知識のデータベースの構築を放棄するなら、多くの子どもたちは自分がまだ何を知らずにいるのか知らないまま成長する危険がある”
(P.344)“学ぼうと決めて周囲のものに好奇心を抱いたら、あなたはもう二度と退屈しないことを選択したのである。”