あらすじ
好奇心を突き動かしつづけるのは「知識」であり、知識を得るには「労力」が必要だ。いっぽう、幼少期の環境に由来する「好奇心格差」は、深刻な経済格差に発展しかねない。はたして、いま私たちが自分のために、そして子どもたちのためにできることとは? 好奇心がいかに生まれ、育まれ、なぜ人間に好奇心が必要なのかを、多彩な例を引きつつ解明。親、教育者、そして知的意欲に溢れるビジネスマンまで必読のノンフィクション。
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Posted by ブクログ
「ロバート・オッペンハイマー 愚者としての科学者」を読み、人間の好奇心が原爆を生み出してしまったんだと感じたので、好奇心とは何か?を知りたくなった。
好奇心はとても「良いもの」として捉えられていて、「子どもの好奇心を刺激しよう」などとよく言われる。
だから好奇心って良いものなんだと疑いもせず思っていたけど、西洋の歴史においては、好奇心は精神と社会をむしばむ害悪とみなされてきたということを知った。
好奇心とは秩序がなく、好奇心とは逸脱にほかならない。
だから秩序や権力と対立してきた。
なるほど、そう言われてみれば歴史上ではよく好奇心と権力が対立してる。
しかし、現在のようなイノベーションが認められる社会では好奇心が尊重されるらしい。
だったら好奇心を育むことはやはり必要なことだけど、好奇心を追求しすぎて逸脱しすぎないようにしないとなぁと思った。
私は割と好奇心がある方で、でも好奇心があちこち移ってしまうことに悩んでいる。
1ヶ月〜数ヶ月で全く違うところに興味が移る。本当は何か1つのことを徹底的に掘り下げたい気持ちがあるのに。
それに対する答えを知りたい気持ちもあってこの本を読んだけど、これについてはどうも腑に落ちないというか、明確な答えが出てこなかった。
そこでchat GPTに質問してみたら、すごく納得できる答えを出してくれた。
まず、私の好奇心は拡散的好奇心なのか?知的好奇心なのか?がよく分からないので聞いてみたら、1ヶ月でも継続して興味を持って学習したなら知的好奇心であるとキッパリ言い切られたので、とりあえず私の思い描いている好奇心=知的好奇心だということが分かった。
また、好奇心が数ヶ月で移り変わることは方向性が定まっていないから不毛なのでは?という疑問には、それでもちゃんと意味があると言われた。
まあ私はこのままで良いということなのかなと判断。
最後はchat GPTに頼ってしまったけど、面白い本でした。
1番印象に残ったのは、冒頭のTVディレクターの言葉。
「どんなことも詳しく知るとますます興味がわいてくる。だけど、それは人から教わるものじゃない」
私もこれを読む前からこういうことを頭の中でぼんやりと考えてはいたんだけど、きちんと言葉にできてなかった。
こんなにも簡潔に言葉にできるんだ!
「だけど、それは人から教わるものじゃない」って、なんておしゃれな言い方!
と、変なところで感銘を受けた。
ちなみに、子どもの好奇心の育て方だけが書かれていそうなタイトルだけど、そういう本だと期待して読むとガッカリしそうです。原題は「Curious」=好奇心です。よく読めば子育てに役立ちそうです。
Posted by ブクログ
自分が10代の頃から25年以上、漠然と抱えてきた疑問に答えてくれた好奇心に関わる名著
大学の講義半期分くらいの内容のボリューム
自分の生涯におけるバイブルになるかもしれない。
Posted by ブクログ
早くも2023年下半期TOP5に入るくらい良い。
「拡散的好奇心」、「知的好奇心」、「共感的好奇心」と同じ「好奇心」でもそれぞれ違いを知っておく必要があり、長期記憶や知識との関連性、どうやって好奇心を持ち続けるか、といった個人的に興味のある内容がとても多く書かれていて大変面白かった。
Posted by ブクログ
子供が見せる好奇心、それは大人になっても失わずに、好奇心を育んでいかなければ成長はない。ただし、好奇心の取り扱いには注意があり、現代はネットによる情報過多で、表面上の情報はすぐに満たれてしまう。そこから一歩踏み込んで、深く労力をかけ知識とすることが大事。
Posted by ブクログ
230613027
セレンディピティがキーワード。
好奇心は空白を埋めようとする欲求。その好奇心は知識がないと生まれない。
好奇心がなければセレンディピティは生まれない、セレンディピティが生まれなければイノベーションは起こらない。
人生はパズルじゃなくてミステリー。
Posted by ブクログ
人間の好奇心に関する本。
タイトルからは、人間にとって好奇心がいかに大事なことで、現代の知識を詰め込む教育を否定するタイプの本だと想像したが、全然違った。
本書の結論としては、人間にとって好奇心は非常に大事だが、教育によって与えられる多くの正しい情報が土台としてなければ、好奇心を最大限生かした学びにはつながらなず、これが好奇心によらない教育の重要な部分であるということ。だからと言って、好奇心を押しつぶすほどの徹底的な詰め込み教育は良くないので注意が必要だという内容だった。
一方的に好奇心の素晴らしさを説く本や思想は多々あるが、本書は同時に基本となる知識の重要性を共に説明しており、幼少期の学びにも焦点を当てていてとてもバランスのとれた構成となっていると感じた。
インターネットやAIにって知りたい情報に素早くアクセスすることが可能になった現代においても、学習することの重要性は変わらないどころかますます重要になっているが、学習を持続させるのに必要なのは人間本来の「もっと知りたい」という飽くなき好奇心なのかもしれないと思った。
(以下に印象的な点を抜粋)
(P.244)“知識こそが、好奇心を持続させる力なのである。”
(P.260)“好奇心を解放するだけで素晴らしい知的発見の世界が広がるとしたら喜ばしいことだが、実際はそうはいかない。学校が知識のデータベースの構築を放棄するなら、多くの子どもたちは自分がまだ何を知らずにいるのか知らないまま成長する危険がある”
(P.344)“学ぼうと決めて周囲のものに好奇心を抱いたら、あなたはもう二度と退屈しないことを選択したのである。”
Posted by ブクログ
好奇心は子供を変える
「知りたい」と言う欲求(好奇心)が人生を変える、また「つまらないもの」を「面白い」に変える根底には「小さい物事にもじっくり観察」する事であり、「好奇心+洞察力」が偶然の発見(セレンディピティ)に繋がる。それには常に「なるほど」から「なぜ」に転換させる事だ。
家庭教育で大切なことは「問いかける力」を親が子供に継続的にすること(知的探索)「いけません」「よしなさい」より「どうやって」「どうして」に変える
Posted by ブクログ
最も興味深かった部分は、
『子どもの好奇心はいかに育まれるか』。
好奇心は勝手には育たず、周りの大人や環境の働き掛けで大きくなっていく。
本書のような社会科学の本を書くには、データの調査や例示の方法など、大いなるテクニックが隠れている、と感じた。