あらすじ
儒教と道教、そして仏教。この三つの異なる宗教は、長い歴史のなかで渾然と併存してきた。
そのような不思議な思想空間は、なぜ、いかにして成り立っているのか。
死生観、自然認識、民間信仰などの視点から、衝突・妥協・調和を繰り返すダイナミズムをとらえる意欲作。
矛盾しながら共存する東アジア的宗教の本質を、シンクレティズム=習合というキー概念から鋭く分析し、
軽妙な筆致でやさしく語る!
◇本書「はじめに」より―
シンクレティズムとは「ごたまぜ」という意味である。儒教と仏教と道教がごたごたまぜ
まぜになっている。純粋ではない。けれどゆたかさがある。そしてこれこそが宗教というも
のの現実の姿ではないか。
◆主な内容
第1章 シンクレティック東アジア―宗教の実像を求めて
第2章 かばいあう親子のどろぼう―情にあふれ馴れあう心性
第3章 翼をなくした天女たち(上)―ユーラシアの西から東へ
第4章 翼をなくした天女たち(下)―孝との調和と相克
第5章 福禄寿、怨恨、呪殺―心がすさむとき求められるもの
第6章 草も木もみな仏になる―宗教をぬりかえる自然認識
第7章 スモモの下で世直しがはじまる―くりかえされる予言の力
第8章 彼らに永遠の休息をあたえたまえ―湿潤温暖地域の死生観
第9章 東アジアの思想空間へ―思想を生みだす時と場所
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Posted by ブクログ
著者によればこの本は入門書としての位置づけではありますが、この本で説かれることはものすごく濃いです。
この本では儒教、仏教、道教それぞれの教えや特徴を見ていきながらそれらがどのように絡み合っているかを見ていきます。
さらには「そもそも宗教とは何なのか」という直球ど真ん中の問題にもこの本では切り込んでいきます。これは面白いです!
私達の隣人である中国。その隣人の宗教は一体何なのか。意外とこれがわからない。そんな疑問をずっと持ち続けていた私にとってこの本は非常に刺激的で興味深いものがありました。