あらすじ
他者だけでなく、自分も利する「利他」の本質とは。
「利他」という言葉は「自分ではなく、他者のためにおこなうこと」だと捉えられがちだ。しかし、日本の起源から利他を見つめ直してみると、それとは全く異なる姿が見えてくる。空海の「自利利他」、孔子の「仁」、中江藤樹の「虚」、二宮尊徳の「誠の道」、エーリッヒ・フロムの「愛」……彼らは利他をどのようにとらえ、それをどう実践して生きたのか。彼らの考える利他は、現代とどう違うのか。「自分」があってこその利他のちからとは、どんなものなのか。日本を代表する批評家が、危機の時代における「自他のつながり」に迫る、日本初・利他の入門書。
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「利他」はそれ単独では成立せず「自利利他」「忘己利他」…平安時代日本の仏教で成立した考え方で、西洋哲学よりはるかに古くかつエゴイズムの対極という思想ではないとうところにさすがという気持ちになった。
空海は仏教界のスーパースターであることに変わりはないが、
最澄の「利他」に対する考え方が涙が出るほど優しい。
(最澄自身は自分にも他人にも厳しい人ではあるが…)
日本人で良かった!
空海なども自利と利他は排他ではなく相互だと言っているが、
自分を愛そうということは硬派な時代なのでそんなことは言わない。
時代が進んで、ユーリッヒ・フロムの西洋哲学、心理学によって噛み砕いた、「自分を愛する即ち自分の欠点を含めて許す、受け容れる」がスタートという流れまで。
孔子、二宮尊徳の思想、西郷隆盛の思想も経由する。
利他→仁→道→天道→愛
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自分は利己的であり、利他的になるにはどうすればよいか知りたくて読んだが、読んで良かった。
特に利己を得るために利他を行うとういうのが、腑に落ちた。独りよがりの利己を追うのではなく、利己となる利他を実践していきたいと思う
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「利己的」の対極にあるものとしての「利他」のイメージで読み始めたら、それとは少し違うものでした。
空海や最澄による利他。
孔子が語る利他。
キリスト教の教えにもみられる利他。
とても哲学的なお話でした。
最澄と空海でも利他の捉え方が少し違ったり、特に儒教における「利」と仏教における「利」の捉え方の違いになるほどと思いました。
お金を稼ぐことや事業で成功すること、経済がどんどん発展していくことばかりが注目されている今の世界で、
「人間は、自然に対する利他を真剣に考えねばならないところに来ているからです。」
とおっしゃり「利他」について語られる著者の思いがとても心に響いてくる本でした。
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利他とは何か。東洋、西洋の哲学や宗教を横断し、様々な観点からスポットライトを当てる。
仏教から「自利利他」「菩提心」、「愛語」、儒教から「仁」、「知行合一」、キリスト教からパウロの「愛」、そしてフロムの「愛」へと、論は飛び回る。
結局、人間は社会的生物であることからは逃れられず、古今東西あらゆる人が「人とどう関わるか」について論じてきたということだ。
そして、「固有の自分」自身を許し、受容れることを第一歩にし、同様に他人も受容れていくことが寛容だということだ。それは知識だけでなく、実践を伴わないと意味がない。この実践をどれだけできるかが、人生の豊かさを左右するのだろう。
本書を通じ、フロムの著作を読みたくなった。
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私も利他について勘違いしていました。利己の反対語かと思っていたが、そういう訳では無い。その説明から本書は始まります。利他とは自分を活かし他者も活かすこと。
誰でも場面ごとに自分を変えている時間の方が多いく、思ってもいないことを口にしながら生きることがある。と書かれています。確かにその通りかもしれない。
そのように自分を失ってしまえば、自分を愛することはできない。自分を愛することができなければ、他者を愛することもできない。つまり、利他を実行することができないということ。
著者は自分を深く信頼することが、自分を愛することにつながるとも言います。利他を実行するために信頼できる自分を形成していくようにする。
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利他ということをこれまで勘違いしていたことに気付いた。自他他利は2つで1つ。そして、ここでも自分を信じること、自信を持つこと、そこから始まるということが書かれており、課題だなと思う。
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利他を端的に表す言葉は西洋に少なく、東洋には多いために現代日本人には分かりにくい概念となっている。我が国で利他を初めて使ったのが空海であるが、その概念を洗練させたのが最澄であった。そして最澄から親鸞が生まれるのであるが。利他の利を理解するために儒学から解き起こし、利他を生きた人として吉田松陰、西郷隆盛、二宮尊徳、中江藤樹をあげる。西洋のりたはコントから解説し、最後はフロムの愛について、でまとめるが、自分を愛せない人は他者も愛せないということ。
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利他や愛について知ることができた。知るにとどまらず、実践につなげることの大事さも強調されている。
【私たちは、なぜ成功や名誉、富、権力に飲み込まれていくのか。それは、自分自身や他者と「つながる」前に、社会の価値と「つながる」からです。造られた成功、作られた幸福を真実だと思い込むからです。】
【自分の失ってしまえば、自分を愛することはできない。だから、自分ではないものに化けることは、愛を失う最初の大きな罠なのだ。】
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仏教・儒教・西洋思想をベースに今の「利他」の成り立ちがわかる入門書。
ただし、二宮尊徳の「智者」の話にもあったが、知識として得るだけではなく、自分の中で利他をさらに深いものにするために、さらに実践する必要があると感じた。
「利他」という言葉から外に意識が向きがちだが、「自利利他」という言葉が知れたことでまず自分に向き合い、自分の中にあるものを意識することが大切であることが認識できただけでも良かった。
『代表的日本人』や『愛するということ』を読んでみようと思う。
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空海・最澄から語り起こされ、鎌倉新仏教へと繋げられていく。更には西郷どんや二宮尊徳にまで話題が及ぶんだけど、通底するのは、”利他”とは相反するどころか不可分たる”自利”の概念。いや~、やっぱ良いですね、この”学びのきほん”シリーズ。他のも読まんと。
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内容そのものは良いものだと思うが、私が求めていたものと異なっていた。
たしかにタイトルも「はじめての利他学」なのでその通りなのだが、利他に関する過去の研究や学問を体系的にまとめている本。
実際にそれをどう人生に活かすか、といった実用書的な立ち位置ではないので、そのことは留意した上で読んだ方が良い。
ただ、やっぱり利他な心を持つ、人の立場から物事を考えられる、成熟した大人になりたいと思った。
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タイトルの伏線回収。
利己的な人は、自分を愛しすぎるのではなく、愛さなすぎるのである。いや実際のところ、その人は自分を憎んでいるのだ。たしかに利己的な人は他人を愛せないが、同時に、自分のことも愛せないのである。
私は明らかに利他的ではないと自己評価している。
私は私を大切にしていると思っていたのだけれど、逆だったのかもしれない。自分自身を愛して信じることができていないのかもしれない。自分のことを受け入れる、許す、寄り添う。それが他者を愛することに繋がるのか。なるほど。
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利己と利他はつながっていると看破し、「自利利他」を唱えた空海は偉大だ。
又、少しでも身近な所から学ぶとしたら二宮尊徳か。その考えは無尽や信用金庫につながる。
谷島屋書店連雀店にて購入。
Posted by ブクログ
優しく書いてあるんですが、それでも私には少し難しかった。流して読まずに、キチンと理解しながら読む必要あるし。
3回くらい読めば理解できそう。
最後に 愛 については理解できました。
Posted by ブクログ
難しいけど、利他を頑張って実践していこう。
わたしはヨガの考え方が好きなので、利他の考え方はヨガにも通じるところがあるなと感じた。
今回は、ほかのシリーズと比べるとそっちのほうがよかったかな。