あらすじ
人生に行き詰まりを感じ仕事を辞めた男・上田。至福の日々も束の間、迫りくる不安に対抗すべくもがきはじめるが――内省と実験の果てに訪れるまさかの「哲学的」展開とは?衝撃の体験談!
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Posted by ブクログ
めっちゃ面白かった。
もともとエッセイが読みたくて手に取った作品だが、その実中盤は自己啓発本、後半は哲学書みたいな本だった。
人間のデータベースを作るパートで十分病んでると思うが、そのへんは全然序章だった。
人間は人間関係の中で自己を意識するため、人と関わらないと自己の感覚が薄くなり肉体が強く意識されるようになる。
「自分を変える」ということは自己を再定義した上で自己を否定することであり、それゆえ再定義の過程でかりそめの自己が強く意識され、人は変わることが難しい。
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この辺、自分が2000連休取ったとしてもたどり着けるとは思えない領域だな…と思った。
作者と杉松の退廃的な生き方に憧れる…と思った。
が、最終的に杉松がネコ6匹育てながら自分の家まで建ててて笑ってしまった。めっちゃちゃんとしてる。
Posted by ブクログ
筆者が仕事を辞めて、ブログの女性読者「杉松」が借りる家の物置(一畳半)に居候し、雑誌の大喜利連載のアルバイトで月数万稼いで暮らしていた「2000連休」の実体験が書かれてある。
まず、筆者と杉松は、私には“お互いドライそうに見えて大分仲の良い弟と姉”みたいな関係の友人に見えた。ネットで知り合った男性を家に居候させることにした杉松はすごいなと思った。
連休中に今までに出会った人の名前、読んだ本、聴いた音楽や、記憶をPCにデータベース化したのだが、そのために卒業アルバムを実家から取り寄せたりと徹底しすぎていて、「狂っている……」と思った。長い連休を経験しても、そのような行動を取る人はなかなかいないのではないかと思った。
私が印象的だったのは、途中で崩れた生活リズムを整えようと思った筆者が、「自動思考」という言葉を本で知って、「規則正しい生活を送ることができなければダメなのだと強く思い込んでおり、そして自分を責めている」と気づいたところである。本から影響を受けて、「規則正しい生活を『課題』として引きずっている自分の心を見たほうが良いのではないか」と考えるようになったのが面白かった。
連休日数が長くなるにつれ、どんどん哲学の様なことについて考え始めるのだなということがよく分かって面白かった。また、家で猫と暮らすことになるのだが、「猫ちゃんがいる暮らし、良いな……」と思った。
Posted by ブクログ
仕事を辞めて知り合い宅の物置部屋で暮らすようになった作者の2000日。
心に残ったところがあります。
【人が自分を変えようとすることは、古い自分を殺そうとすること…人はハエや蚊を平気で殺す。見なければ見ないほどに殺せる。…しかし自分を変えたいというとき、自分を見つめながら殺そうとしており、当然殺すことは難しくなる。本当に人が変わるとき、ざぶとんの下にいた虫を知らぬうちに尻で踏んでいたかのように変化するのではないか。変わりたいという感情は、自分はこのような人間であるという自己規定の残りカスみたいなものではないか】
変わりたいと思ってもがいていた時はなかなか変われなかったのに、変わりたいという気持ちより、自分はこういう人間なんだと自分を見つめて認めることを大切にするようになったら、いつの間にか少し変わっていた…という経験があるので、まさにその通りと思いました。
最近、死んで無になるという事がどのようなことかが分からなくて長い間考えているのですが、この本を読んだら何だか少し分かった気がしました。
くすくすと笑える所も多く、面白い本でした。