あらすじ
止まったゴンドラが動き出したとき、驚きの結末が待ち受ける!
『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞受賞作家が贈る、二度読み必至の六つの密室劇。
「同一円周上に配置された、決して重ならない大事件。
彼らの事情が交わり起こした『奇跡』を観測出来るのは、観覧車の外の貴方だけ。
見上げた時にだけ現れる伏線を見逃しませんように」――斜線堂有紀(作家)
「軽妙な語り口に心地よく身を委ねているうちに、油断していた。
謎が同時多発的に解けていく、ささやかながら凄まじい快感。
この新鮮さ、読めば分かります」――辻堂ゆめ(作家)
(あらすじ)
不意に停止した自然公園に立つ観覧車――そのゴンドラ内に閉じ込められた六組の乗客たち。
自分を殺した犯人がいかにしてゴンドラから脱出したか考えてほしいという幽霊、観覧車の最高地点から標的を狙撃してほしいと依頼された殺し屋、爆弾とともにゴンドラに乗せられ、解除コードを当ててみせるよう強制された男……。それぞれの謎が解かれたとき、六つの密室劇が鮮やかに響き合う!
(著者プロフィール)
朝永理人
1991年生まれ。福島県郡山市出身。第18回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞を受賞し、『幽霊たちの不在証明』(宝島社)で2020年にデビュー。
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Posted by ブクログ
思わず二度読みしてしまぃした。
あ~騙された騙された!
と心地よく叫びたい!
1度だけでは❓❓❓で終わってしまいそうだったけどなるほどこう来たか。
Posted by ブクログ
自然公園の観覧車が営業中に停止し、ゴンドラ内に閉じ込められた6組の人々。恋人の思い出に浸る男と幽霊、父と娘、スナイパーと制服の少女、意中の女性に告白する男性、ちびとのっぽの女子高生、弟とトランシーバーでやりとりする男性…。
閉じ込められた人々はそれぞれに謎を抱えており、その行方が見どころ。自分を刺した犯人がゴンドラからどう降りたかを知りたい幽霊。様子のおかしな父に疑問を持つ娘。狙撃現場に居合わせる少女の正体。振られてしまった男性の回想。女子高生が友人を観覧車に誘った理由。弟が仕掛けた爆弾の解除コード。
それぞれの視点が交互に描かれるが、後半に向けて入れ変わる速度が加速する。最後まで読むと、実は同時進行ではなく違う日時に起きていることだったことがわかる。途中に散りばめられた描写を読んでいくとどちらが先なのかなどなんとなくわかるものもあるが、順番を特定することはできなかった。
いわゆる探偵もののミステリーみたいな謎解きがあるものばかりではなく、父と娘の話ははっきりとした謎解きはされないまま、なんとなく解決した空気で終わる。また、他の人も書いている通り、スナイパーと少女だけは今ひとつ繋がりがわからなかった。デビュー作は読んでいないが、『毒入りコーヒー事件』よりは面白く読めた。
Posted by ブクログ
自然公園に建つ観覧車が突然停止した。ゴンドラ内に閉じ込められたのは6組の乗客たち。
それぞれの謎が解かれたとき、驚愕の真実が……。
安全装置の誤作動で止まった観覧車。その中に閉じ込められたのは、皆一癖も二癖もある乗客ばかり。
自分を殺した犯人がいかにゴンドラから脱出したか考えてほしいという幽霊と男、観覧車の最高地点から標的を狙撃してほしいと依頼された殺し屋と依頼人、爆弾と共にゴンドラに乗せられた男、ワケアリな雰囲気の父と娘、”イケる”と思っていた相手に告白した男と振った女、高所恐怖症の女子高生と男装させられたその友人……。
一見何の関係もなさそうに見える6組それぞれの事情と謎が繋がりながらするする解けていく瞬間が、縺れた毛糸が解ける瞬間みたいで気持ちいいです。
終盤、目まぐるしく変わっていく視点もスピード感があって良い。ゆっくり読むよりも、流れに乗って一気に読んでしまったほうが楽しめるかも。
Posted by ブクログ
誤作動で止まってしまった観覧車に乗る6組のグループに関わる謎という、設定は面白かったです。面白かったですが、読み終わった現在でもちょっと時系列が分かりにくくて頭の中パンク中です。
みんな『19番のゴンドラ』に乗っているで合っているような気もするのですが、誰が先で誰が後なのかは少し分かりにくいかな。
後半にすごい勢いで場面が移り変わるので、真相を見たはずなのにイマイチ理解した気がしないです。緊迫した様子のゴンドラも少ないので、すごい勢いで場面が変わっても臨場感はそんなにありませんでした。駆け足気味で進むので物足りなさも。
もう一度読んだら理解できるかなと思いましたが、しばらくは読まない気がします。
でも、観覧車に乗りたくなるような1冊でした。
Posted by ブクログ
観覧車のゴンドラの位置を示しながら、その章の間隔が狭まりながら進んでいく展開はとても独創的で面白かった。最後は予想とは違う展開で、いささかピンとこなかった。私は、全てのゴンドラの搭乗者は全て一本の線でつながっていると思っていた。また、公園の南西にあり、川があって、芝生に影が見えて、と観覧車の位置や方角に気を配っていたが、あまり重要ではなかった。いい意味で予想は外れて、「かがみの孤城」を思い出すような全く違う結末となったが、爽快感は得られなかった。でも面白い。読んで良かった。作者の他作品も読んでみたいと思う。ABCと並ばずに飛び飛びにゴンドラに名前をつけたのはなぜだろう、時系列でもなさそう、時系列ならよかった。第4部はばん、ぱん、ドカンなどの擬音語で各章が始まっている。Dがよくわからないが自殺した彼女の思念体にナイフを刺したと言うことか。