あらすじ
コロナ禍で命を落とした不世出の外交官は、秘録と呼ぶべき経験と日本の課題、そして真の脅威についてつぶさに書き遺していた。世界を巻き込んだ湾岸戦争、イラク戦争における外交の舞台裏。幻の普天間基地移設プラン――外務官僚の枠を超え、難題の真っ只中に自ら飛び込み続けた「特命外交官」による圧巻のノンフィクション。
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Posted by ブクログ
未完の書なんだなー。
外交官として実務されて、日本で用いられている言葉が概念が他国とずれていたりする点なとを実感する機会も多かったのかもしれない。
いろいろと実体験に基づく意見や視点はとても興味深いです。
Posted by ブクログ
「外交」という視点から見た戦後日本史である。湾岸危機、沖縄問題、イラク戦争等、失敗をきちんと整理して論じているところが一番の美点。そこに失敗の要因として出てくるのが、官僚主義と世界状況の認識不足というのが。逆に、ほっとさせるのが、きちんと汗をかいている奥さんのような人材の活躍。
それにしても、現在のウクライナの現状に対して、日本が取るべき道は何なのか。岡本さんには、もう少し長生きしていただきたかった。
(本書で評価されている政治家は複数いるが、外交以外の分野でも素晴らしかったかという点については、読者がきちんと留保を付けておく必要があろう。)
Posted by ブクログ
日本人「必読の書」です。岡本氏は、この本で命を縮めたのではないかと思えるほどの渾身の力作。素晴らしい内容です。
1900年頃のご両親を取り巻いていた歴史からコロナで亡くなるまで、実際の外交の舞台裏を鮮明に描いています。
記憶に残る場面や洞察は数え切れませんが、まだ若い頃の岡本氏が、米国のホテルに泊まっていたシーンがあります。バブルの頂点だった頃、見知らぬ米国人が訪れ、「剣道で言えば、米国は竹刀で教えたのに、日本人は木刀で叩き返した。打たないでくれと懇願したのに日本はやめなかった。今度は米国が真剣で戦うから覚えていろ」と言われたとか。これなどは、いまの米中対立でも同様の心情が働いているのではと思いました。
また、首脳会議などでは、シェルパが事前に調整はするものの、会議の場では「基礎的な教養を欠いた首脳は議論に参加できなくなる」のだそうで、ある日本の某首相が話し出すと周囲で新聞を読み始めたとか。システムとして素養を持っている人間をリーダーにする重要性を痛感したとあります。さらに、日本が核を絶対に持てない理由を4つの側面から議論を展開していますが、その他にも一般人の考えに及ばないところがてんこ盛りです。
圧巻は、何といっても第4章の「湾岸危機」。副題は「日本の失敗、アメリカの傲慢」ですが、実際の日米省庁の動きなどを、実名をあげて見事に書き上げています。当時の政権で日本の立場はぐらつき、次章では「日本の安全保障のために必要なのは憲法改正の前に、まずきちんとした政治家なのだ」と断じています。
「日本外交とは7割がアメリカといかにつきあうかで」決まるとのことで、日米関係が主軸で書かれていますが、沖縄や中東問題や、近年の中国、北朝鮮、ロシアについても正面からこの問題を取り上げ、日本外交全般についても論じています。最後に、若者へのメッセージを書き残したかったようですが、絶筆となってしまいました。命を懸けて真摯にこの本を上梓したことについて最大の敬意を払いたいと思った1冊です。
Posted by ブクログ
日本政府自民党の事なかれ外交、野党の何でも反対への配慮や平和ボケの国民感情を是正しようとしない政治家、官僚、マスコミ。
まあこれはもう衰退するしかないよ。
遅ればせながら防衛費増の話が出ているけど、もはや手遅れ感が半端ない。
それを嘆いても仕方なく、個人としてどう生きて行くかを模索していくしかない。
作品紹介・あらすじ
外交の最前線に立ち続けた「日米同盟の巨人」が死の直前まで書き継いだ驚愕の手記。コロナ禍で命を落とした不世出の外交官は、秘録と呼ぶべき経験と日本の課題、そして真の脅威についてつぶさに書き遺していた。世界を巻き込んだ湾岸戦争、イラク戦争における外交の舞台裏。幻の普天間基地移設プラン――外務官僚の枠を超え、難題の真っ只中に自ら飛び込み続けた「特命外交官」による圧巻のノンフィクション。