あらすじ
都心まで一時間半の寂れたベッドタウン・辛夷ヶ丘(こぶしがおか)。二十年ほど前に連続殺人事件があったきりののどかな町だが、二週間前の放火殺人以来、不穏な気配が。そんななか、町いちばんの名家の当主・箕作ハツエがひったくりにあった。辛夷ヶ丘警察署生活安全課の砂井三琴は相棒と共に捜査に向かうが……。悪人ばかりの町を舞台にした毒気たっぷりの連作ミステリー!
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Posted by ブクログ
好きな著書だったので。
悪徳警官とコージーミステリーが両立するとは、
予想だにしていなかった。
いや、悪徳警官と言っていいのかどうか。
とある東南アジアの国では、
警察官が家宅捜索をする際に、
家財が盗まれたり、証拠をしこまれたりするので、
必ず近所の人とかに立ち会ってもらう、と聞いたことがある。
それと比較するのもどうかと思うが、
最初の二篇の主人公、
生活安全課の大女と小デブ男のコンビのことを
悪徳警官、と呼ぶにははばかれる。
いや、悪い警察官であることは間違いないのだが。
流刑地ともいわれている辛夷ヶ丘署の上司がひどすぎるせいか、
市長選挙の悪口の言い合が子供のけんかみたいだからか、
全体的にほのぼのとした雰囲気を漂わせる著者の腕なのか、
犯罪者たちとの丁丁発止には好感さえ抱く。
コンビが主人公ではない後半、
だんだんダークになっていくが、それも良い感じ。
「刀自」は知っていたが、「窩主買い」は知らなかった。