あらすじ
猪突猛進でトラブルを起こしがちな夏希は、高二になって調理部へ転部する。同じ時期に入部してきたのは、内気で人見知りなクラスメイトの結。正反対の凸凹コンビが部活で一緒にパンを焼くことに。でも、なぜか夏希たちの作ったパンだけが膨らまない! 原因を究明しようと奔走するうち、お互いのことを知っていく二人。やがて周囲との関係も変化して……。少女たちの友情がきらめく、苦くて甘い極上の料理×青春ミステリー。
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Posted by ブクログ
読み始めてすぐに、なぜ主人公をネガティブに見える書き方をするのかなと不思議だった。でも読み進めていくうちに、理由がわかった。そして、それを、ネガティブと感じた自分の中にこそ見えない差別や普通であることが正しいという固定観念が埋まっていると気づいた。非常にセンシティブで、ケースが増えているからこそ書き方も苦労しただろうけど、明るい雰囲気の小説になっているのがすごい。
個人的に、結のほうは直る、改善に近い状況(というか適応できる)になっているのに対して、夏希のほうは直るというところまで、いっていないのが切なく、特性の違いなのかなと思ったりもした。
Posted by ブクログ
旅のお共として。8篇の連作短編集。読みやすくて、発達障害も出てきて、こういうので若い人達が障害のことを知れるのはいいんじゃないかと思う。前の『スイーツレシピで謎解きを』の続編なのかと思ったけど、どうも結がちょい役で出ただけっぽい。でももう一回読んでみようかな。結じゃないけど、小心者で大人しい私的には失敗が多くてもやっぱり夏希みたいな行動力のある人間は憧れるわ。
Posted by ブクログ
猪突猛進でトラブルを起こしがちな夏希は陸上部を辞め、高二で調理部へ転部した。同時期に入部してきた内気なクラスメイトの結と同じ班でパンを焼く事に。だが、同じ作り方をしていたのになぜか夏希達のパンだけ膨らまなかった。原因を一緒に究明していくうちに少しずつ距離が縮まり…
夏希と結は正反対だけど、お互いを認め合って親友になっていくのが良かったです。
夏希のやたら忘れっぽい事や、集中力の分散が気になってましたがやはり。しっかり者の姉って点は結同様夏希に姉がいるのかと思いました。
育児に参加せず妻に任せっきりな父親、祖父。あれでは頑なに検査したがらないのも無理ないですね…
結も頭の回転がとても早くて脱帽です。夏希と言う友人を得た事で少しずつ変わっていくのが成長したなと感じました。
まだまだこの二人は社会に適合するのは厳しいかもしれませんが、高校時代でそれに近づいて欲しいです。
Posted by ブクログ
短編連作ミステリ。
社交不安、LD、ADHD、発達グレーゾーン……そういう名前がついた人たちの生きにくさとか不自由さが物語のなかに自然に入ってきてよかったな。
Posted by ブクログ
【収録作品】膨らまないパンを焼く/足りないさくらんぼを数える/慣れないお茶会で語らう/固まらない寒天を見逃す/落ちない炭酸飲料を照らす/食べられないアップルパイを訪ねる/熟していないジャムを煮る/かけがえのない誕生日ケーキを分け合う
直情径行で周囲と衝突しがちな高二の夏希と、「極度のあがり症」で人見知りの同級生・結の事件簿。
『スイーツレシピで謎解きを』の姉妹編。前作の最後に出てきた結が今作の主人公の一人という以外はかぶらないが、テイストは同じ。温かくてほろ苦い。
「障害」を抱えた少年少女がなんとか頑張る姿が描かれている。料理と化学の話は興味深い。
Posted by ブクログ
前作は吃音症。今作でも発達障害がでてきます。
こういった本で発達障害のことを知れるのはとてもいいことだと思う。
私も暗算で計算ができなくて算数・数学はとても苦手。
料理の化学反応はおもしろいなぁ
Posted by ブクログ
あの「スイーツレシピで謎解きを」の続編……にあたるのかな?前作の主要登場人物たちが卒業し、最後のエピソードに登場した中学生が主役のひとりとして登場。
前作はスイーツにちなんだ謎やカラクリでしたが、本作は調理全般が対象。ただ前作同様に化学的な内容で、料理ミステリというより化学ミステリな感が強いかも。
それに加えて、本作は発達障害も題材として取り込まれているので「レシピで謎解き」の印象が少しぼやけた感じもしました。
ただ、普通じゃないために感じる生きづらさ、多数派の価値観の押し付けに苦しむ登場人物に共感するところがあって、そこは感情移入度は高めでした。
前作にあった吃音で推理結果を伝えることが難しいジレンマ的な要素や、おまけエピソードにあったような強烈なサプライズがあったら、本作にももうちょっとのめりこめた……かな?