あらすじ
猪突猛進でトラブルを起こしがちな夏希は、高二になって調理部へ転部する。同じ時期に入部してきたのは、内気で人見知りなクラスメイトの結。正反対の凸凹コンビが部活で一緒にパンを焼くことに。でも、なぜか夏希たちの作ったパンだけが膨らまない! 原因を究明しようと奔走するうち、お互いのことを知っていく二人。やがて周囲との関係も変化して……。少女たちの友情がきらめく、苦くて甘い極上の料理×青春ミステリー。
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発達障害という難しいテーマを取り扱っているが、ストーリーは明快に進んでいき、軽々しい訳ではないが決して重くないのが友井羊さんの手腕だと感じる。
快活な女の子と繊細な女の子が主人公で、ふたりとも優しくて良い子で応援したくなる。
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読み始めてすぐに、なぜ主人公をネガティブに見える書き方をするのかなと不思議だった。でも読み進めていくうちに、理由がわかった。そして、それを、ネガティブと感じた自分の中にこそ見えない差別や普通であることが正しいという固定観念が埋まっていると気づいた。非常にセンシティブで、ケースが増えているからこそ書き方も苦労しただろうけど、明るい雰囲気の小説になっているのがすごい。
個人的に、結のほうは直る、改善に近い状況(というか適応できる)になっているのに対して、夏希のほうは直るというところまで、いっていないのが切なく、特性の違いなのかなと思ったりもした。
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前作のファンです。
前作の菓奈と今作の夏希。
ふたりの持つものと同じ、当事者なので首が取れそうなほどうなずきたくなるポイントが多くありました。
前の話よりこっちのほうが好きかも…。
登場人物が多すぎなくて読みやすいからです。
前回と違ってしっかり参考文献があるのでそこも勧めたいポイントです!
前作は吃音の本やお菓子の本も参考文献に入れてほしかった…
この作品、夏希の設定に力を入れすぎて社交不安障害についてはあんまりわからなかったかな…。
もちろんこの本読んで知った気になるようじゃダメだけど、もっと、そういう描写が欲しかったなぁ。
話全体はすごく良かった。
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「スイーツレシピで謎解きを」の姉妹編
時系列的には前作のその後だけど、単体でもこっちを先に読んでもいい
でも、前作を読んでいると「おおっ」と思う箇所がいくつかある
計8つの連作短編
今回はスイーツに限らず料理や食べ物に関した謎
前作の主人公たちが卒業した後の同じ高校が舞台
主人公は社交不安障害の落合結と、「猪突猛進」「頑固一徹」という言葉が似合うが故にトラブルメーカーな荏田夏希
二人の周囲で起こる食べ物に関する不思議な出来事
その理由を探る過程で培われる友情と周囲との人間関係
お料理×日常の謎×青春小説
・膨らまないパンを焼く
・足りないさくらんぼを数える
・なれないお茶会で語らう
・固まらない寒天を見逃す
・落ちない炭酸飲料を照らす
・食べられないアップルパイを訪ねる
・熟していないジャムを煮る
・かけがえのない誕生日ケーキを分け合う
パンが膨らまなかった理由は伏線もあるのでわかった
それにしても、先生の態度が何だかなぁと思う
さくらんぼが消えた謎に関しても、アリバイ崩しに関しては他の方法を知っている
でも、そんな方法もあったとはねぇ
ただ、そこまでちゃんとしたアリバイか?とも思う
齧られたマドレーヌに関しては、ハウダニットやフーダニットよりも、ホワイダニットの方が重要ですね
ミラクルフルーツという味覚を甘味に変える食品の存在は知ってたけど、そんなものもあるのですねぇ
夏希の友達思いというか、食いしん坊っぷりというかもいい感じに物語にアクセントを加えている
固まらない寒天というかゼリーの原因も伏線があるので容易に想像がつく
アレの酵素は強力ですからねぇ
この話で注目すべきは、結の判断かな
夏希のためにという意志を感じる
友達のためだから行動できる、友達のために口を噤む
何でもかんでも明らかにする事が友情の全てではないわなぁ
なくなった五千円と炭酸飲料のアレ
ブラックライトを当てると光る仕組み
それを知らないと、何だか気味の悪いものに感じる人がいるかもしれない
やはり、知識って大事ですよね
夏希がシナモンを嫌いな理由
昔は食べていたアップルパイ
そしてもう姻族ではなくなった義理の叔母
結は夏希に踏み込んでいっている姿に安心感がある
妹の秘密基地の場所に関してはミスリードにまんまとやられたぜぇ
エチレンガスだろうし、いい匂いとので同じく果物関係の場所だと思ってしまった
ただ、エチレンガスに肉の色を変えるような効果ってあったっけ?と疑問には思ったものの、もう一方の伏線を見逃してたー
なくした誕生日プレゼント
どうしても探したい理由
これまでの二人の関係性の積み上げがあったからこその展開だなぁとしみじみ思う
二人の行動でできた知り合い
相手のためという行動原理
うーん、青春ですねぇ
前作もそうだけど、料理は化学というのがよくわかる
何故膨らむのか、柔らかくなるのか、固くなるのか、色が変わるのか等々
謎そのものは料理を多少知っている人ならある程度の想像はつくけど、その原因に誰かの意図を混ぜることで人間ドラマに仕立てる作者の妙
前作を知っていると、あんなに自らの存在に怯えていた菓菜が、結の視点ではとても勇猛果敢な人物のように見えていたという多面性
先生の意見にしてもそうだけど、人からどう見られているかは本人はなかなか気づかないものですよね
姉妹に関しては、早く帰る理由がありそうとか、定番としてはミスリードなので逆だろうなと予測はしていた
でもこれは夏希視点の物語も読んでいて、尚且つミステリだとわかっているからこその気づき
もし現実でそんな状況に出くわしたらそう思うのも仕方がない
「障害」を抱える人の苦悩
人々の理解と無理解による傷つき
やはり前作同様にこれが大きなテーマの一つなんだな
まったく、してやられたぜぇ
前作を読んでいたからこそ物語のテーマは障害を抱えた人だなという思い込みで見逃してたー
確かに、今回は二人の視点が交互に描かれているんだよなー
病気の受容はどの立場にしても難しい問題ですね
本人としては総診断されて納得が行く人もいれば、否定したい人もいるだろうし
周囲の、特に親の場合は自分の子供がそうだとは認めたくない気持ちになるのはわかる
親戚やその他の人からどう見られているかというプレッシャーもそう思わせる一因なんでしょうね
油断していたところにさくっとこんな仕掛けを入れてくるあたりが、作者さん流石ですねぇ
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食べ物の化学を楽しみながら学べました。また、結と夏希が親友になっていくのがほっこりできました。勉強になるし、The青春という感じです。謎解きが好きな方はぜひ読んで見て下さい!
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料理に関わるミステリーが、すごく化学的で勉強にもなった。ただミステリーよりも、夏希と結の、自分の性格への不満・不安と、何とかしたいという葛藤が描かれているのが一番良かった。落ち着きがなく、物を忘れる、猪突猛進な夏希と、人前では何も話せなくなってしまう結。二人が関わる中で、お互い支え合って大切な友達になっていく。発達障害という切り口も考えさせられました。最後は心温まるエンディング。がんばれ夏希と結。
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「料理を通じて芽生える少女たちの絆」
せっかちな夏希と人見知りの結が料理に関連する謎を解いていく連作短編ミステリ。
最初は、違うタイプのコミュ障女子高生コンビが活躍する推理小説だと思っていましたが、ある社会問題がテーマになっていることが徐々に明らかになり驚きました。
「普通」とは何なのか。
青春×料理ミステリの部分を楽しみつつも、
そんなことを考えさせられる良作。
青春ミステリが好きな方、料理が好きな方に
オススメしたい作品です。
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学園の日常の謎のミステリーですね。
高校二年生の荏田夏希と落合結は同じクラスメイトで、調理部を専攻する。
自己主張と猪突猛進でいささか短絡的な行動に出る夏希。
反対に引っ込み思案で人見知りが激しい結。
かなり性格の違う二人が、調理部の部活動でコンビを組むことに、そして事件が巻き起こる。8話の短篇連作。
友井さんの作品は、人と違う何らかの障害を持つ人物が、それを自覚し乗り越えようと試行錯誤する物語を得意とされています。
夏希の場合は発達障害を、結は極度の人見知り。その他にも様々な障害を持つ人物が登場する。
なかなか認知されにく問題を根底に置いて、友井さんの思いも綴られています。
もちろん、調理部が舞台ですから、もうひとつのお得意の料理のレシピもしっかり楽しめます。
高校生の成長物語、友情物語、そしてきらめく青春物語も共感を持って読み進めました。
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二人の女子高生が主人公の青春連作ミステリー。
レシピというだけあって、いくつかの料理が登場し、料理が化学反応で成立していることがわかる。難しいことはおいておいても、食欲を刺激されるのは確かです。
主人公は出っ張り引っ込みの強い二人で誤解を受ける事も多いのだが(私としては話のメインはこの出っ張り引っ込みだと思うが)いくつかの謎を解き明かしていくことで、友達が増えていく。これは二人が自分のためだけでなく誰かのために動いたから。
【普通】ってなんだろうと考えさせられました。
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旅のお共として。8篇の連作短編集。読みやすくて、発達障害も出てきて、こういうので若い人達が障害のことを知れるのはいいんじゃないかと思う。前の『スイーツレシピで謎解きを』の続編なのかと思ったけど、どうも結がちょい役で出ただけっぽい。でももう一回読んでみようかな。結じゃないけど、小心者で大人しい私的には失敗が多くてもやっぱり夏希みたいな行動力のある人間は憧れるわ。
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猪突猛進でトラブルを起こしがちな夏希は陸上部を辞め、高二で調理部へ転部した。同時期に入部してきた内気なクラスメイトの結と同じ班でパンを焼く事に。だが、同じ作り方をしていたのになぜか夏希達のパンだけ膨らまなかった。原因を一緒に究明していくうちに少しずつ距離が縮まり…
夏希と結は正反対だけど、お互いを認め合って親友になっていくのが良かったです。
夏希のやたら忘れっぽい事や、集中力の分散が気になってましたがやはり。しっかり者の姉って点は結同様夏希に姉がいるのかと思いました。
育児に参加せず妻に任せっきりな父親、祖父。あれでは頑なに検査したがらないのも無理ないですね…
結も頭の回転がとても早くて脱帽です。夏希と言う友人を得た事で少しずつ変わっていくのが成長したなと感じました。
まだまだこの二人は社会に適合するのは厳しいかもしれませんが、高校時代でそれに近づいて欲しいです。
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どんどん読み進めていくうちに、ああそうなんだろうなと。
人間誰しも完璧じゃない、けどいかに〈普通〉ってものに囚われているのか。
普通が出来ない自分を責めることは誰しもありそう…。
意外にも食の謎がすごい深くて驚きました!
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『スイーツレシピで謎解きを』の続編かと思ったら姉妹編。
そうか、卒業しちゃったもんね。
今回の主役は極度に内気な結と、猪突猛進の夏希。
そんな二人に次から次へと問題が降りかかり、スイーツに絡めてその謎を解いていく。
ハーブティに関わる謎は、予測出来ていながら面白かった。
途中、夏希の特徴から、もしかして、と思っていたら、グレーゾーンではあるがやっぱりか、というところ。
デリケートな問題ではあるが、近年広く知られてきたことだけに、若い世代の方が受け入れ易いのかもしれない。
こういう人達もいるということが「普通」になっていけば良い。
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短編連作ミステリ。
社交不安、LD、ADHD、発達グレーゾーン……そういう名前がついた人たちの生きにくさとか不自由さが物語のなかに自然に入ってきてよかったな。
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【収録作品】膨らまないパンを焼く/足りないさくらんぼを数える/慣れないお茶会で語らう/固まらない寒天を見逃す/落ちない炭酸飲料を照らす/食べられないアップルパイを訪ねる/熟していないジャムを煮る/かけがえのない誕生日ケーキを分け合う
直情径行で周囲と衝突しがちな高二の夏希と、「極度のあがり症」で人見知りの同級生・結の事件簿。
『スイーツレシピで謎解きを』の姉妹編。前作の最後に出てきた結が今作の主人公の一人という以外はかぶらないが、テイストは同じ。温かくてほろ苦い。
「障害」を抱えた少年少女がなんとか頑張る姿が描かれている。料理と化学の話は興味深い。
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2人の女子高生のW主人公で、片方はとても活発で考えるよりも行動!タイプ、もう片方は人前で話すと吃ってしまうかなり大人しいタイプという真反対コンビ。
その2人が少しずつ距離を縮めながら、日常生活で起きた小さな事件を料理絡みで解決していくストーリー。
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前作は吃音症。今作でも発達障害がでてきます。
こういった本で発達障害のことを知れるのはとてもいいことだと思う。
私も暗算で計算ができなくて算数・数学はとても苦手。
料理の化学反応はおもしろいなぁ
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あの「スイーツレシピで謎解きを」の続編……にあたるのかな?前作の主要登場人物たちが卒業し、最後のエピソードに登場した中学生が主役のひとりとして登場。
前作はスイーツにちなんだ謎やカラクリでしたが、本作は調理全般が対象。ただ前作同様に化学的な内容で、料理ミステリというより化学ミステリな感が強いかも。
それに加えて、本作は発達障害も題材として取り込まれているので「レシピで謎解き」の印象が少しぼやけた感じもしました。
ただ、普通じゃないために感じる生きづらさ、多数派の価値観の押し付けに苦しむ登場人物に共感するところがあって、そこは感情移入度は高めでした。
前作にあった吃音で推理結果を伝えることが難しいジレンマ的な要素や、おまけエピソードにあったような強烈なサプライズがあったら、本作にももうちょっとのめりこめた……かな?