あらすじ
過激な官能表現に、朝日新聞読者の抗議が殺到! 「貴紙に連載中の『官能小説家』という低俗小説について、編集部の方々はどのように考えておられるのでしょうか。私には中学生と小学生の娘が二人おります。その娘たちの目に触れていることを考えるとゾッとします。ポルノ小説を読むために貴紙を購読しているわけではありません。即刻、連載を中止してください」「私は現在高校において教鞭をとっている者であります。現在、学校においてどのような事態が持ち上がっているかご存じなのでしょうか。生徒たちは朝、登校すると貴紙の『官能小説家』を回し読みし、猥談に興じています。社会の木鐸たる貴紙がこのような状態を看過しているとは到底信じられません。貴紙の名誉に汚点をのこすことのないよう断固たる措置を望みます。一読者より」朝日新聞夕刊連載時より話題沸騰の衝撃作、いよいよ電子書籍で登場!
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Posted by ブクログ
森鴎外・樋口一葉・夏目漱石が現代によみがえった?
そんな不思議な設定で書かれる、近代文学者パロディ小説。「日本文学盛衰史」が面白ければ、こちらも面白い。むしろ「盛衰史」よりストーリー性はっきりしているぶん、近代文学者目当てで読まないならば、こちらの本のほうが面白いような気がする。
Posted by ブクログ
主人公は、本を書く才能に苦悩するご本人?高橋源一郎。
彼が憧れる明治時代からタイムスリップしてきた夏目漱石や森鴎外との語りを通して、文学とはなんぞや、そしてタイトル通り文学史についても学べる。誰もが知っている明治時代の文壇のスキャンダルで本当のところが謎の樋口一葉とその師の半井桃水の不倫関係についても、パラレルワールドの様に話が展開する。
鴎外がとっても自由すぎて、髪を金髪にして、終いにはAV男優にもなってしまうというはっちゃけぶり。それでも、結局、鴎外は鴎外で現代に復活しても本業は作家だし、文学には真摯に向かっている。作品がどれほどの苦労でこの世に生み出されるのかということに、自然と思いを馳せてしまう。
高橋さんは彼の妻に偏見を持っており、避けてきたが、どうしてなかなかおもしろかった。
樋口一葉と半井桃水だけが主人公と同じ時代なのか、過去に存在するのかがグレーゾーン。高橋さんの物語の中?樋口一葉がホスト上がりで、あけすけな文を書き、浮気を繰り返す。元妻で、同じく水商売上りの室井をモデルにしているのではないかとどうしても想像してします。作中の高橋さんにも、よく元妻から電話がかかってくるしね。
Posted by ブクログ
ここに出てくる夏目漱石がとてもタイプでなんだか嫌な感じにはまってしまった本。こんな文豪超素敵!って思う。
これを高橋源一郎はどういう気持ちで書いたのか、全然知らないんだけど全体的に不思議なお話だよなあ。
こういう気だるくテンポの良い話を書くのは流石です。私、話がどうこうっていうか高橋先生が好きなんだと思う。