あらすじ
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
俳句には、二つの楽しみ方があります。一つは、作る楽しみ。もう一つは読み解く楽しみです。俳句を作るのは難しそうと思っている皆さんが、まずは読み解く楽しみを手に入れ、俳句の扉を開いてくださることを願ってやみません。(本書「はじめに」より)
松尾芭蕉や小林一茶といった江戸期の名俳人から最年少は3歳である市井の俳人の句を一つずつ夏井センセイと読み解く鑑賞文集。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
「プレバト!!」は毎週視聴し、夏井いつきさんの書籍も何冊か読んでいます。
季語とともに季節をたどり、俳句を鑑賞する本書。あらためて、四季というもののうつろい、日常の発見について考えました。
私たちは我儘なもので、夏の盛りにはさっさと涼しくなってほしいなあと思い、寒くなったとたんに頼むから早く春がきてほしいと願ってしまいます。つねにないものねだりをしているようで、もったいないことをしているのかもしれません。今日の風、今日の花、今日の自分自身を観察し、鑑賞することがよい俳句を切り出すきっかけを生むのだと感じました。
また、夏井先生の鑑賞の手際、筋道などが垣間見え、今後自力で俳句を鑑賞する際の手助けになると思います。
以下は夏井先生の鑑賞文も含め、忘れずにいたいと感じた句です。
・椿落てきのふの雨をこぼしけり 与謝蕪村
・車椅子は置いていく白靴と杖を ぐでたまご
・鳥類に小さき頭骨日雷 加根兼光
・満月やアリクイの子の仁王立ち 幸の実
・をりとりてはらりとおもきすすきかな 飯田蛇笏
・あなたなる夜雨の葛のあなたかな 芝 不器男
書き出したらキリがないですが、句そのものの良さに加えて、夏井先生の解釈を綴る言葉えらびもさすが、情景が美しくみえ、圧倒されます。
ちなみに、「鳥類に~」の句が一番好きです。私は鳥が好きでたびたび飼育しています。この小さくて賢い生き物の、フカフカ、ときにチクチクする羽毛と薄い皮膚の下にたしかにある小さくささやかな頭骨に思いを馳せ、かなしくなってしまいます。ここまでは私にも想像できます。ここに季語「日雷」を置くことによって、どういう効果があるのか。
夏井先生の言葉もいとおしく、何度読んでも涙が出ます。
また、私は松尾芭蕉も好きなのですが、辞世の句になった一句についても触れられています。こちらもちょっと泣けてしまいました。