【感想・ネタバレ】香君 下 遥かな道のレビュー

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ネタバレ

読み始めたら止まりませんでした。

この後アイシャは結婚もせず子供も産まず他者に理解できない孤独の世界で生きていくのかと思うとなんとも言えない気持ちになります。一方でその道にも希望を見いだしているアイシャは強いなと思いました。

本の終わりに参考文献も記載されています。
こちらも是非読んでみたいと思います。

上巻を読み終わった段階ではオオヨマをイモムシから蛾に成長するような虫と認識してましたが、下巻では印象が違って、ゴミムシのような甲虫をイメージしました。上巻をもう一度確認しようと思います。

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2024年03月14日

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ネタバレ

上橋さんは素晴らしい!
自分で考えること、
誰かに決めてもらって盲目的についていくのではなくて、
自分で考えて決めることが大事。
循環、何かが何かに作用する、一つ狂うとすべての歯車が狂う。生態系って大事だよね。
何度も繰り返されている上橋さんのテーマ、いいなあ。

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2024年03月01日

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ネタバレ

オゴダ国の秘密は、海風の当たる場所では栽培できないはずのオアレ稲を島嶼部で栽培していたこと。肥料には塩分が含まれているためオアレ稲は弱らされていること、肥料から塩分量を調整したら海の近くでも栽培できること、また肥料を限界とされた量より少なくしたら、オオヨマに食われても枯れないオアレ稲ができたことだった。
これは「救いの稲」として帝国各地で植えられることになった。
「救いの稲」が引き起こした悲劇、オオヨマを食べる新たな虫の発生。
その虫はオオヨマを食べるだけでなく、小さなうちはオアレ稲を食べ、十分に成長してから次の稲作地に向かって飛んでいく。
山林も、牧草も、壊滅的な被害を受け、新たな虫はすごいスピードで広まる。
アイシャはその場にいて、虫の生態を調べることはできても、稲を燃やして駆除させることはできず、無力感をもつ。
しかし、アリキの虫に関する知識、マシュウの政治的采配、アイシャ自身の才覚により、事態を打開する。

まず、植物や虫に対する知識と説得力がすごいと思ったら、参考文献の量に驚かされた。
それと、異界に行くのかな、と思っていたら結局行かなかった。
どちらも、都合の良い設定で解決するのではなく、アイシャたちが自分の現実の世界で解決したということだと思う。

上巻から指摘されてきた、オアレ稲ひとつに依存することの怖さが現れた巻だった。
自然界は何も、人間に都合よくできているわけではなく、もし全てを都合よく変えるなら、どこかに歪みが生まれる。それは結局人間にもはね返ってくる。

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2024年02月10日

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ネタバレ

私はジブリ作品ならもののけ姫が好きです。
上橋作品とは共通する部分があるように感じるのですよね。。
さて下巻です。

本作下巻も単純に悪役を倒して終わり、という展開ではなく、皆、信念と道理があり、それぞれの立場なりの決断をしながら新しいものを作り上げようとする姿に私自身も共感したり苦悩したりしました
また、ひとつのものに頼る危うさと、自然界の多様性の意味と重要性についても改めて考えさせられました。

色々問題を起こすのも人間だけど、それでも経験を引き継ぎ、知恵を出し合うことで人間の強みが生きてくる。人間だけでなく、生きるものすべての幸せのために我々は考え続けていかなければいけません。

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2023年12月17日

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ネタバレ

久々の上橋菜穂子、今回は動物ではなく植物、穀物との共存をテーマにしたファンタジー。と言っても特殊な嗅覚以外は魔法や能力的な話はない、かなりリアル。

上巻を読んでいて、既知感があったがやはり「世界からバナナがなくなる前に」にインスパイアされてたんや。そこから色んな知識を吸収し積み上げて、こんな話を作りあげるってのは、やっぱ上出来の小説家ってのはただものじゃない。

単一の穀物に頼ることの危険性から派生して、多様性を否定することによる硬直化の怖さ、何かを盲信することは逃げであり弱さであること、ライフラインを人質に取って支配することの卑劣さなど、考えさせられることが多かった。

尊敬したり推したりする気持ちの裏側に、責任や自分で判断すべきことを押し付けて責任転嫁しようとしていないか。気持ちを裏切られた時に、失望から這い上がる手だてを模索できるか?気力を奮い立たせられるか?

答えが一つであることは意外と少なく、これしかないというのが思い込みかも知れない、というダンパーを心に持っておくことは重要なことなのだと思う。

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2023年11月21日

ネタバレ 購入済み

深い

壮大な香りと植物の物語。
神でなく人でいたいというアイシャの思いや対話の道を通ろうとしたオリエの思いに胸が熱くなった。いい話だった。
読めてよかった

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2023年03月20日

ネタバレ

現代社会の在り方を問う。

いつかどこかで上橋菜穂子さんがファンタジーの世界観について、世界は目に見える我々の世界と目に見えない世界がある、とおっしゃっていたと思いますが、いつもは具体的に語られるそのナユグの世界が、本作ではおとぎ話のようにその存在を遠くに潜めていて、代わりに社会と政治が大きくものを言う世界観だったことには軽い衝撃を覚えました。食糧の問題は今世界でも経済を揺るがし、人の生死に関わる重大なことながら、多くのその他の要因に紛れて問題の追求をおざなりにされている、本作を読むとそのことが強く頭をよぎりました。
またアイシャとユーノの最後の場面の対話は現代の社会構造についての大きな問いかけだと感じます。日本は同調圧力で比較的一方向へと物事が進みがちで、安全ながらも多くの人々が不自由さを感じる国。では例えばアメリカはといえば一人一人の声が大きく、自由はあるけれども、例えば中絶問題や銃規制についても間違った方向へ物事が進んでいるはずなのにコントロールが効かない、まさに自由の代償を体現しているような国。
食糧を含めた理由からも経済格差が広まり、富裕層がより大きな力を持つ今、私たちが実際に本書で描かれた選択を迫られる日はそう遠くないのかもしれない、と感じます。
本作は子供向けファンタジーとしては少し難しいようにも感じますが、これからの社会を作る若い世代に、手に取ってもらい、多くのことを感じ、疑問に思ってもらいたい、素晴らしい作品だと思いました。

またこれは本当に個人の感想ですが、主人公のアイシャは上橋さんご本人のようですね。目に見えない力を感じながらそれを一人の人間として感じ、他の人へと残す作業は、文化人類学者として、作家としての姿をどこかに感じさせました。

#感動する #深い

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2022年09月28日

ネタバレ 購入済み

遥かな道

植物や昆虫、人間などすべてが共存して生きていることを改めて実感する物語でした。
孤独を感じながらも強く前向きに生きるアイシャに希望を感じます。
オアレ稲に依存して発展してきた帝国が蝗害の被害に遭う描写はとても苦しいものでした。

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2022年07月01日

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ネタバレ

ストーリー自体は文句なしに面白い!
世界観がしっかりしてて、どっぷりのめり込めた。
ただひとつ。
弟とじいやの出番は序盤で終わり??
もっと絡んでくるかと思ったら、時々近況だけサラッと出てくる程度で。
なんだかもったいないなぁと。
特にマシューにとっては弟くんもアイシャと同じいとこでしょ?
アイシャにはあんなに至れり尽くせりなのに弟に対してはあっさり。
能力がなければ用がない?
それも描かれていたマシューの人物像と一致しなくて。
そこだけなんだかモヤモヤ。

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2024年05月19日

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ネタバレ

上巻を読み終え、一気に読んでしまった下巻。上巻が自然の偉大さや美しさを感じるのに対し、下巻はまさしく恐怖だった。自然が一度動き始めると、私たちは本当にどうすることもできないのだなと感じた。一貫して素晴らしく読み応えがあったが、アイシャが香君にならなければならなかったラスト、オアレヅマとはいったい何なのか?疑問が残ってモヤっとし、少しの物悲しさを感じた。ただ、あえて書かなかったのは読者が考えるところなのかとも思った。もう一度読み返して、また考えてみたい。

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2024年03月30日

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ネタバレ

蝗害の恐ろしさ、それに対抗しようと奔走するアイシャや虫の専門家アリキ氏達のがんばりがひしひし伝わる下巻
毒におかされながらも人々のために立ち続けたオリエ、アイシャのような嗅覚は持たないけれど本物の香君だと思った(マシュウと幸せになれて良かった)
オアレ稲からの脱却ではなく共存を選び、国の上層部だけに任せるのではなく民が皆、自分で考えて動けるように…と忙しく旅しているアイシャは自分なりの幸せを見つけたのだろう

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2024年01月26日

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ネタバレ

オアレ稲とはどういうものなのか。飢えの雲とは何なのか。
食料だけでなく、ひとつの産業に国力の全てを賭けてしまうことの恐ろしさも垣間見える下巻。
物語としては読みごたえがあってあっという間の読書時間だったが、今作は冒険度が高くないのでドラマティックさはいまひとつ。
今の人たちが全ていなくり、長い時が経て再び言い伝えが埋もれて行けばまた同じようなことが起こるのかもしれないが、それもまた歴史なのだろう。

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2023年10月15日

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ネタバレ

虫害はどんどんひどくなり、飢餓を止めるため奔走するアイシャ達。

壮大な世界観ながら現実にも通じるところが多くある。
1つのものに依存すると、それと共倒れになる危険性、犠牲を払えずこれ以上は悪くならないと思いたい人間心理…。
多数の設定をすらすらと読ませる筆力がすごかったです。
余談だけどマシュウさぁ、聡明か知らんけど好きな女のために他の人身代わりにしようとしてた自己中男に感じるんだけど…。

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2024年03月29日

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