あらすじ
人づきあいが苦手な「コミュ障」(コミュニケーション障害)。この呼び名で、あなたは自虐的に振る舞っていますか? それとも知人をからかっていますか? 悩みを抱える読者は自分自身のメンタルを掘り下げる心理学に関心があるかもしれません。しかし、本書は「社会学」という道具を使って、自分の視野を広げて「壁」を取り払うためのポイントを紹介します。私たちは、なんらかの情報や知識、あるいは年齢や職種といった属性から、異なる「メガネ」をかけています。このメガネの存在に気づかせてくれるのが社会学の諸理論というわけです。また、著者自身が他者と分かち合えなかった具体的なエピソードを絡めながら、少しずつ自分の見方を広げていく知の旅を提供します。著者は「岩本先生の授業が一番人気の理由がわかった」と内田樹氏からもお墨付きをもらった人気講師。面白くてためになる白熱教室へようこそ!
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Posted by ブクログ
あくびをすることで退屈さを表現する。立場が下の人を、わざと待たせて自分が上流階級であることを強調する。
このように、言語を伴わないコミュニケーションがある。
言語を重視する自分には、あまりなかった概念である。
世の中には、コミュニケーションにおいて、言語以外のものを重視する人もいるのではないか、という気づきを得ることができた。また、人と話すとき、言語以外の部分にも着目してみようと思えた。
Posted by ブクログ
社会学が何かということをずっと知らずにいたが、本書でおぼろげながら、少しイメージが湧いてきた。自分の視点、自分の思考の枠組みを破って見たり考えたりすることが大切らしい。フーコーだのメルロ・ポンティだのソンタグだのニーチェだのと出てくるので哲学のようでもあるけど、文学作品を使って社会学的気付きを指摘するところなどは中々面白い。コミュ障でなくても読んでいい。
Posted by ブクログ
自分がコミュ障なので、本のタイトルに惹かれ購入しました。
本書は、コミュ障を社会学的に見るという趣旨の本です。
ところが、社会学的に見るとは、どういうことか明言されていなかったので、いまいちしっくりこないまま読み進めることになりました。
それは、あとがきに書いてありました。
社会学的に見るとは、要は斜に構えて社会現象を眺めるということのようです。
内容ですが、本書は、「コミュ障はこういう風にコミュニケーション能力を鍛えなさい」という本ではなく、確かに斜に構えて、「コミュ障の人におきる問題の真相はこういうことなんだよ」という考察がされています。
9章に分けられた各章の冒頭にコミュ障の人が抱えやすい問題と一言回答が書かれています。その意味するところが、まとめられているのですが、社会学的に分析するというアプローチは、明確に「じゃあ、こうすれば良いよ」という具体的なTodoを与えてくれず、メッセージがやや抽象的な感覚を受けました。
その点が、コミュ障の処方箋を求めている人にとっては、ずれを感じるところです。
ただ、それが悪いというわけではなく、コミュ障に対する分析を読みたい人にとっては、面白い本です。
コミュ障が実は感受性が高いあまりに相手の真意を判断しかねて、口が重いというのは、面白い分析だと思いました。
本書では、多くの学者や作家の発言を引用しており、著者の博識さに驚かされますし、勉強になります。
以下に例を挙げます。
・儀礼的無関心:相手のことを重んじてまったく知らなかったフリをする行為
・役割期待:人は役割に沿った演技をしている。それに対する他者の期待。
・エスノセントリズム:自国や自民族の伝統的な慣習や文化を価値あるものとみなし、他国や多民族の文化を低く評価してしまうこと。
本書は、コミュ障という悩みに反発的な対処をするのではなく、斜に構えて、斜め45度の思考で受け流すという方法を教えてくれます。一読の勝ちありです。