あらすじ
「現在も社会一般・経済分野でベストセラーの『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】』の続編です。が、前の二冊を読んではいない方でも理解できるよう、分かりやすく書かれています。コロナ禍など前二冊刊行以後の世の中の変化も踏まえた内容になっています。しかし、本書には、それ以上に、前二冊にはない特別な点があります。それは、経済についての知識を学ぶためだけではなく、ものごとを「考える力」を磨くということを目的として書かれているということです。世の中には、たくさんの情報があふれ、いろいろな議論が日々流れています。しかし、政府の発表、新聞、テレビ、ネットなどのマスメディア、最近ではソーシャルメディアから流れてくる情報、あるいは大学教授や専門家による解説や主張について、普通の人々は、つい鵜呑みにしてしまいがちです。実は、経済についての専門的な知識がなくても、私たちが普通に持っている「考える力」を引き出しさえすれば、どの専門家が正しくて、どの専門家が間違っているかが、かなりの程度、分かってくるようになるのです。実際、大学教授や専門家といった人々でも、矛盾しているとすぐ分かるようなことを平気で言ったり、書いたりしていることが、たくさんあります。しかも、だいたい、同じような間違いをしています。そうは思えないのは、おそらく「経済学の教授」「経済の専門家」といった肩書に惑わされているからでしょう。しかし、専門的な知識がなくても、普通に「考える力」を使えば、専門家たちの間違いに気づくことができます。そして、自分は、同じような間違いをしないですむようになります。本書の本当の目的は、その「考える力」を使うコツを伝授することにあります。経済というテーマは、「考える力」を引き出すための題材に過ぎません。ですから、本書で身につけた「考える力」は、経済以外の問題について考える際にも必ず使えるものになるのです。」(中野剛志)
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Posted by ブクログ
ソクラテス論法=相手の主張の前提をつく。同意できる部分から一歩一歩確認しながら論を進める。
シャーロックホームズの「白銀号事件」何もしないことが問題。
自国通貨建ての政府債務/GDPは持続可能性の指標とする意味はない。財政赤字の上限はインフレ率によるべき=機能的財政。
政府への貸し出しの原資は民間の預金、ではない。政府の貸し出しが民間の貯蓄を生む。
通貨の価値は納税義務があるから。政府の徴税権力が貨幣価値を担保している。=税は通貨の価値を保証するために必要。税は財源確保の手段ではなく、政策の実施のために必要である。消費税の効果は消費を減らすこと。
政府は支出のための財源として税を徴収する必要はない。財政の赤字は民間の黒字。政府が国債を発行すると民間貯蓄は増える。
家計貯蓄は一般政府総債務と並行して増えた。
自国通貨建て国債はデフォルトしない=国債を買わなくなって金利が高騰することはない、と同義。
デマンドプルインフレとコストプッシュインフレを区別する。
MMTは、供給力が限度になる。供給力以上に通貨を供給すれば高インフレになる。
プラグマティズム=柔軟な考え方。結果を見て判断する。ドグマティズム=教条主義、原理主義。
公共工事が増大したのは90年代前半だけ、後半以降は減少。需給ギャップを埋めるだけでも価値がある。
分配なくして成長なし、は正しい。分配は成長を促す。成長してから分配、では永遠に分配できない。
成長戦略は規制緩和や自由化ではない。供給力が増えてもデフレ圧力を発生させるだけ。デフレは格差を拡大する。インフレは格差を是正する。
構造改革は、労働者の力を弱める改革だった。
魅力ある商品を生み出さないから低迷、ではなくデフレだから積極的に投資できず、低迷。
家計の金余り、は政府の経済運営の失敗を表す。
量的緩和で国債を買い入れても、財政支出を拡大しない限り通貨の供給量は増えない。インフレが通貨の供給量を増やす。量的緩和がインフレを起こすのではない。
インフレを抑えるのは生産力増強以外にはない。
積極財政で増加した投資はまず需要のかくだいとして現れる。しかし数年後は供給力の拡大として供給を強化する。供給力を拡大しないものが無駄な投資。デフレときは、それでも需要を増やす分意味がある。
法人税、所得税は景気が良くなると税収が増える=スタピライザーが組み込まれている。消費税にはこの効果はない。
MMTでは、就業保障プログラムでスタピライザーの役割を提案している。
大恐慌の時、フーバー大統領は健全財政を重視して増税して悲惨な目にあった。日本の浜口内閣も同じ。橋本内閣の財政構造改革も同じ。
ドイツやフランスはユーロを発行できないので財政健全化には意味がある。コロナでは付加価値税は引き下げた。
金融政策、財政政策、構造改革の3つの中で何をやるか。構造改革で生産性が上昇すれば、供給力が高まってますますデフレ化する。金利が0%のときに、リターンが10%ある公共投資を行うのは効率がいいはず。
新しい見解:低金利時には、財政出動は民間投資を阻害しない、むしろ呼び込む。支出先が効果的であれば継続するべき。各国の協調が望ましい。
不況になると設備投資を控える。その結果供給力が落ち込み、回復時に供給力も上昇しない。金融危機による一時的な落ち込みの後遺症が起きる。
セイの法則を前提にすれば、財政出動が民間投資を呼び込む根拠はない。しかし現実は構造改革しても、いつまでたっても需要も供給も回復しない=逆セイの法則のようなもの。需要不足が供給も需要も減らす。