【感想・ネタバレ】ぼく,デイヴィッドのレビュー

あらすじ

山の上でともに暮らしていた大切な父親を失い,身元もわからないまま,農家のホリー夫妻のもとに引き取られたデイヴィッド.いつでも,どこでも,あらゆる想いをヴァイオリンで奏でる無邪気な少年が,周囲の人たちにとって,かけがえのない存在となっていくドラマを描く.『少女ポリアンナ』の作者による,もう一つの代表作.

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Posted by ブクログ

ネタバレ

名字のない、ただのデイヴィッドはバイオリンで語る。

父親を亡くしたデイヴィッドは、ホリー夫妻に引き取られる。日々の仕事よりも自然の美しさに心を震わせてバイオリンを弾く。デイヴィッドをおかしな子だと思っていた村の人々も、だんだんとデイヴィッドの考えに一目置くようになる。喜びも悲しみもバイオリンに歌わせるデイヴィッド、彼の秘密とは——。

同じ作者であり「独特な子が常識的な周囲の人たちをほぐしていく」「過去に不幸なすれ違いから別れたままの恋人たちがいる」「初めはその子に戸惑っていた周囲もだんだんと感化される」「その子が倒れたときは村中が心配する」という要素がポリアンナと共通。ポリアンナよりも独特のペースであることは否めないが。ラストで一気に時が進むハッピーエンドなのも、スッキリしてよいかもしれない。

デイヴィッドが、ホリー夫妻のために財産を投げ出そうとしたところ、その金貨で彼が音楽を学べるところに行くという夢をどれだけ大切にしていたか語られていたために、デイヴィッドの決心がとても心に残った。その後、後悔はしないものの夢破れたことに沈むデイヴィッドの葛藤にも。だから最後にデイヴィッドの気持ちを知ったシミアン・ホリーのセリフは重たかったし、心に残るラストシーンとなった。

「必要なやっかいごと」に取り掛かっている「かがやいていない時間」をかがやかせるための夢。それを失って病の床につくデイヴィッド。自分は自分の時間をかがやかせているだろうか。自然の美しさに気がついているだろうか。デイヴィッドから学ぶことがたくさんあった。

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2024年03月03日

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