あらすじ
大学を卒業し、AP通信社で記者として働くジョーは、ある日、田舎町で起きたジョー・タルバートという男の不審死を知らされる。プレスリリースには凶行の疑いがあると書かれていた。死んだ男は、ジョーが生まれてすぐに姿を消した、顔も知らない父親かもしれない。ジョーは事件に興味を抱き、その町へ向かう。判明したのは、男が実父である可能性が高く、多数の人々の恨みを買っていたことだった。ジョーは真相解明に挑むが……。家族の秘密に直面する青年を情感豊かに描く、心揺さぶるミステリ。バリー賞など三冠に輝いた『償いの雪が降る』続編。/解説=若林踏
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Posted by ブクログ
「償いの雪が降る」の続編。すごく良かった。ページターナー要素が多いのと日本人好みの切なさポイント満載の面白さと書いたが、それにも増しての続編、面白くないわけがない。前作の終わりからの直接の物語でなく、数年後、主人公がAP通信の記者になってる頃の話だが、主人公を巡る問題は何も変わっていない。さらに複雑な問題が巻き起こり、悪戦苦闘する物語が展開し、同時並行で静かに救済が進む。3作目は別の視点で書かれ、そのうち翻訳されると思うけど、読める人は2作連続で読んで欲しい。これ絶対面白いやつなので、つべこべ言わずに読めってのに久しぶりに出会った。
Posted by ブクログ
ジョーの軽率さ(チャーリーとのシーンの数々を見よ。お前、もうちょっと上手く立ち回れよ、言いたくなる)にイライラし、「ん? こいつの言動は、ちと怪しいぞ」とミスリードさせられたり、と愉しませてもらいました。希望を持たせるラストもいい。
Posted by ブクログ
読みやすくて面白かった。
ちょっと自意識過剰で突っ走り気味のジョーだが、強い腕っぷしが頼もしい。事件もそれほど複雑でなく、トントン拍子に進むので中弛みしない。
最後にはみんなきちんとハッピーエンド、正義感の強いジョーにも大満足。悪いやつはちゃんと成敗されるとこもすっきり。
Posted by ブクログ
前作「償いの雪が降る」の続編、ジョー・タルバートがAP通信社の記者となって、名前しか知らない父の殺人事件の真相と、自身の過去と向き合う話。
前回は他人事の殺人事件に首を突っ込んだ形だったが、今回は遺産も絡んで冷静になれない部分もあったり、恋人レイラや母親との関係がこじれたりで、あまりヒーローらしくなかったが、ボロボロになっても最後まで正義を貫いてくれて良かった。あれから、ろくでなしの伯父がどうなったのか気になるが、まだ続き(レイラが主人公らしいが)があるようなので楽しみ。
追記:ジョーが飛行機も乗ったことがなければ、海も見たことがない。泊まりがけの旅行にも行ったことがない、と語ったこと。アメリカの二十代男性の一般的な事情ではないだろうが、珍しくもないんだな、と感じた。帰るところは場所ではなく、人であると悟ったとしても、彼の家族たちにはもっといろんな思い出が増えてほしい。
Posted by ブクログ
「償いの雪が降る」の続編だったので。
大学を卒業しAP通信社の記者となったジョー。
父親と同じ名を自分につけたと母親から聞いていたジョーは、
同姓同名の男性の不審死を知らされ、彼の写真が自分と似ているのを認めて、
父親ではないかと事件の起こった町へ向かう。
父親は殺されたと判るが、異母妹は事件の時から意識不明、
容疑者は異母妹の恋人らしい。
父親の兄も町を訪れ、遺産目当てで異母妹の後見人になろうとして、
ジョーを追い払おうとする。
ジョーは容疑者と接触して情報を聞き出そうとするが…。
前作は大学の課題のために知り合った元服役囚という、
いわば他人の事件だったが、
今回はジョーの父親が殺された事件で、
自分自身に関わる事件だった。
しかも、AP通信社の記者として書いた記事が訴えられ解雇寸前、
恋人ライラは司法試験直前、
弟は新しい職場にストレスを感じて不安定と、切迫感は高い。
とはいえ、早い段階から「遺産」というお金がちらついた点や
(最終的に受け取らないことになるだろうな、とは思っていたが)、
弟の後見をめぐって母親と争った過去の部分がちょっと長すぎると感じた点、
記事への訴訟があっさり解決した点、
前回の被害者の日記の暗号解読同様、遺言の真偽の判断が簡単すぎる点と、
不満もあったが、
母親が薬物中毒から更生して和解し、ライラとも仲直りができて良かった。
母親が更生会のミーティングで、
寒い日にジョーが弟にコートをとってきて着せた話をしていた場面が、
ちょっと感動的だった。
Posted by ブクログ
前作『たとえ天が墜ちようとも』がマックスとボーディ、ベテラン同士の信念をかけたせめぎ合いだっただけに、ジョーの未熟さが際立った。
完全無欠なヒーローじゃなく、ずるくて卑怯なところもある人間として描かれていて、それが魅力のひとつではあるのだけど、さすがに会ったこともない父親の遺産を躊躇なくもらおうとする姿にはがっかりしてしまった。
一方ライラはというと、司法試験の勉強を最優先にするのが当然という態度に少しモヤッとしたが、やはり賢く良識があり、今回はジョーと別行動だったのが残念だった。また二人で事件を解決していくような話を読みたい。
二転三転するストーリーで、最後まで飽きさせないのがすごい。ちょっとやりすぎ感もあるが…。安っぽいアリバイトリックは要らなかった。
『償いの雪が降る』で決別した母親とのその後が知れたのはよかった。