あらすじ
江戸初期、南部盛岡藩の草創期に、初代藩主・南部利直の御側用人を務める桜木兵庫の元に生まれた綺良は、周囲の愛情を一身に受けて、幸せな子ども時代を送っていた。利直の五男・彦六郎とは幼馴染みでお互い想いを寄せていた。しかし、そんなある日、二代目藩主に意見をした父・兵庫がその怒りに触れてしまう。そして綺良は、大奥に出仕することに……。幾多の苦難に出会いながらも自らの道を探し求める綺良の“愛”と“夢”を描き切る、感動の時代長篇。(解説・川本三郎)
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Posted by ブクログ
今井絵美子さんが、病の淵で描いた作品。
盛岡南部藩の重臣であった父、桜木兵庫。
末っ子の綺良は初めての女の子で可愛がられて伸び伸びと育った。
現藩主が病でなくなると、性格に何がある短気な重直により、旧重臣はほとんど首になる。
時代は家光の時代。幕府はどこの藩を無くするかで、奔走。
大きな弱点を見つけては取り潰しとしていた時代。
華美な建物を増設しようとする藩主に諫めようとした桜木はお役御免になり、五十石以下の役目に。兵庫は隠居。
立て続けに不幸が不幸を呼ぶ。
そんな綺良が運命に翻弄されながらも自分の道を見つけてゆくお話になっているが、盛岡についての歴史的史実も多く盛り込まれて、地元ファンが喜んでくれるお話に仕上がっている。
当時の伊達政宗との確執や、産物が少なく、冷害が起こり、しばしば川の氾濫も起きていたという、貧困に喘ぐ土地柄で、土地に住むものの辛抱強さや、困難に立ち向かう人柄がよく描かれていて、方言が心地よい。