【感想・ネタバレ】世界は「 」で沈んでいくのレビュー

あらすじ

友だちがいないのは、そんなにだめなことなの? ひとりはそんなに、おかしいの? 【あらすじ】好んでひとりで過ごしていたのに「いじめられている」と誤解され、都会から海辺の町に引っ越すことになってしまった、中学1年生の凛子。家族を心配させまいと、今度こそ「友だち」を作ろうと努力するが……。「友だちは本当に必要か?」悩みもがきながらも、自分なりの答えを探していく――。胸が締めつけられる青春小説。 【目次】1:世界は「ひと」でつながっている/2:世界は「ひとり」を許さない/3:世界は「えがお」で傷つけられる/4:世界は「わたし」が閉ざしている/5:世界は「あした」も続いていく ■イラスト:げみ

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Posted by ブクログ

ネタバレ

友だちはいなくてはいけないものなのかー。

1. 世界は「ひと」でつながっている
主人公の凛子は友だちがいないことで、両親に心配をかけないように、友だちづくりに励む。自分を繕い友だちと仲良くなろうと奮闘する。そんな彼女が素でいられるのは、放課後海岸で会う派手なクラスメイト乗った和久井の存在だった。

2. 世界は「ひとり」を許さない
凛子は仲良くなりつつある女子グループに置いていかれないように、情報集めや関係性を維持しようとしていたが、限界を感じていた。そんななかやはり凛子を救ってくれるのは、和久井との放課後の時間だった。彼に相談事を聞いてもらったりすることで、彼は凛子の中で特別な人になっていくのだった。

3. 世界は「えがお」で傷つけられる
クラス内で誰かのことを蔑んだり、また和久井と凛子が付き合っているのではないかということでクラスみんなで茶化したりすることに、凛子は耐えられなくなり最終的に自分の本心を叫び、クラスから立ち去る。そして彼女は和久井に対しても、クラス内でヘラヘラしていることを糾弾し、2人の間に壁ができてしまう…

4. 世界は「わたし」が閉ざしている
自分の本心を叫んだ日から、凛子はクラス内でひとりでいることが増える。それを見た和久井は、『ひとりでいないといけないって思い込んでるように見える』と雨の日に凛子に傘を貸して去っていくのだった。そして凛子は家族に友だちは「いらない」のではなく、「できないから、あきらめた」と伝える。その思いを伝え家族と話し合うことで、凛子は今まで自分が殻に閉じこもり周りのことを知ろうとしなかったことを悟る。それに気づいて凛子は和久井に会いに行くのだった。

5. 世界は「あした」も続いていく
和久井の家を訪れた凛子。彼は凛子に「一緒にいてほしい」ということを伝え、凛子は彼とともに海岸を散歩することに。そこで和久井が今まで、ひとりが怖くて無理して笑っていたことを知る。それに対し凛子は「みんな、ひとりなんだよ」と「さびしいんだよ」と彼に温かく伝えるのだった。考え方は異なっていても、誰かを認めたり、たまに手を差し出したりして自分らしく生きていけばいいんじゃないかなと凛子はそう思うのだった。そして2人は、日課のように海岸で話をしたり手を取り合いながら明日に向かって歩いていくのだった。

「友だち」の定義って永遠に解けないものだと思う。
本作を読んで、私はとても凛子に共感した。どちらかというと私も一人でいることが好きだが、凛子のような考え方ができれば、人生がもっと生きやすくなったのかなと過去を振り返って思う…
今からでも自分にも周りの人にも柔軟でありたいと思える新鮮な1冊だった。

最後に凛子と和久井がこれからも手と手を取り合って、彼ららしく生きていけることを切に願う。

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2025年06月14日

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