あらすじ
凄絶な死の瞬間、破裂する電球、捻曲がる銀食器……。〈顕現〉と名付けたそれを蒐集するため、男は女たちを惨殺し続ける。愛娘を手に掛けたときに現れた究極の顕現とは?(「枷」) オンナをさらっては殺して埋めていた俺とシゲ。ある日、証拠回収のため掘り出した死体には、とんでもない罠が仕掛けられていた。(表題作) 魂を鷲掴みにされる、史上最凶の7編を収録。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
グログロだけど、どこか幻想怪奇小説のような味わいがある7話の短編集。屈折した愛だったり、タダでは死なない執念だったり、どの話にも強い怨念が溢れている。
■テロルの創世:クローンの悲哀と純愛を描いたSF
■Necksucker Blues:旨い血を求める女とデブ男と純愛
■けだもの:400年越しの父の意思と約束。
■枷:猟奇的コレクションの怪。
■それでもおまえは俺のハニー:純愛ロックンロール。ただし相手はババア。
■或る彼岸の接近:墓場の隣への引越、カルト宗教にハマる妻、不気味な人形、雰囲気タップリのホラー。
■ミサイルマン:ハイロウズの名曲がBGMになっている。デブ女に呪われた男はミサイルになった。
Posted by ブクログ
『独白する〜』以来の短編。相変わらず上質なエログロ濃縮還元ミックスジュースのごとき味わいで、惚れ惚れしてしまいまいした。中でも、平山流地獄変『枷(コード)』の凄まじさは格別。狂気と人類愛は同時に存在するとき、最大の奇跡は起きるのです(それが素敵なものかは置いておいて)。他にもゲロ臭の中にただよう一筋の希望にこちらまで鼓膜がつんとする『それでもお前は俺のハニー』、海外ホラー映画でおなじみ「幽霊屋敷」を昇華させた『或る彼岸の接近』は実話怪談出身の平山夢明ならでは。彼が繰り返し作品で描くのは「どん底・キ印・クズが行き着く先で見つける人間らしさのかけら」だと思うのですが、それまでのプロセスの異様さ、バラエティの豊かさがすごい。『それでもお前は〜」の夥しい数の黒電話とか、視覚的なインパクトがすごい。
Posted by ブクログ
「テロルの創世」なぜかこれだけ読んだことあったけど、好きな作品。この作家さんの作品はグロテスクや狂気の表現が突出しているなかで、純粋に世界観や展開にぞっとする。平山作品入門にもおすすめかと。。
「枷」“顕現”を蒐集するために人を殺す父の話。“顕現”というフィクションであろうものと、それを追及することが当然であることが妙なリアリティを持って存在感を持って、最後の展開までまとめている。この作家さんの発想と、それを小説で実現させる想像力にはドキッとさせられます~
「それでもお前は俺のハニー」キャラクターとともに、語りも粗暴に。極めて限定された世界と価値観のなかで展開される小さなお話、でもその説得力と胸糞悪さはさすが。。最後の展開はそうきたかと。
「或る彼岸の接近」リストラを機に移った家で、怪奇に見舞われる一家のはなし。安寧の基盤である家庭をじわじわと侵食される展開が気味悪かった~
「ミサイルマン」狂った倫理観を狂ったまま、現実的に非現実を描かれるような、変な温度が癖になる。自らの価値観でなんてことなく殺しをおこなう彼らなのに、犯罪の露見を怖れて右往左往する、その感覚の両立が不思議。その結末は結局、社会性や法権力とは隔絶されて展開されるからこそおもしろい。