【感想・ネタバレ】なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか[新版] 人間の出会いが生み出す「最高のアート」のレビュー

あらすじ

マネジメントの道を歩むかぎり、必ず深く学ぶべきことがある。人間の出会いとは何か。仕事の苦労や困難とは何か。人間の成長とは何か。深い人間観とは何か。いかにして部下の成長を支えるか。部下の心に響く言葉とは何か。本書は、40年の歳月、様々な企業や組織で、マネジャー、経営陣、経営者、経営参謀、さらには、政府の内閣官房参与まで務めた著者が語った、渾身の体験的マネジメント論。国内外から7000名を超える経営者やリーダーが学ぶ「田坂塾」。本書では、その思想の神髄が開示される。その根底にある深く温かな人間観と人生観に、多くの読者が胸を熱くした一冊が、待望の新版として登場。 (目次より)●なぜ、あなたは、自ら「重荷」を背負うのか ●経営者やマネジャーが背負う「重荷」とは何か ●マネジャーが身につけるべき「人間観」とは何か ●仕事における「苦労や困難」とは何か ●マネジャーが巡り会う「奇跡」とは何か

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Posted by ブクログ

何か仕事で大きな悩みを抱えた時、トラブルばかりが身の回りで発生して八方塞がりになった時、部下が辞めた時、そして諦めの気持ちが自分の心を大きく占めた時、いつも私は田坂広志氏の書籍を手に取っている気がする。これまでも何度も救われてきた。会社を変えようかと悩みながら、上手くいかない上司や部下との人間関係に「もう辞めても良いかな、よく頑張った(に違いない)よ」などという気持ちが湧き起こり、いつの間にか人事システムの退職金を確認して、その後には決まって退職届(今は便利になってシステム上で楽に申請できてしまうのも怖い)を書き始めている。そうやって何度も同じことを繰り返して、そして書いている間に気分は落ち着く。そして再び悩む。この繰り返しを重ねながらも未だ私はここに居る。立ち止まった後にはいつも読んでいる気がするのだ。
田坂氏の文章は捻る事なくド直球で私の心に入ってくる。それはマネジメントを何故目指すのか、そして「罰ゲーム」と呼ばれて久しいその役職を何故続けるのか、何を為すべきか。これら誰もが抱く疑問に対して、常に明快な答えを呉れる。だがあくまでその答え通りに進むか、その先に更に何を見出すかは、読み手に委ねてくる。だから私はいつもスイッチが入り、再び立ち上がり前を向いて歩き、薄らぼんやり見える、その何かを探しに進んでいくのだ。とは言え次々と訪れる困難や障害に、またしても心折れそうになる。何故なら、自分の目の前には以前よりも更に強大で頑丈な悩みが来るからだ。そして、自分が更に次のステップに到達したことにも同時に気づいているのである。私の会社人生はずっとこの繰り返し、田坂氏に背中を押されて歩んできた様なものだ。
本書はそうした成長を続けるマネージャーの心の有り様と、その弊害にもなる様な哀れなマネジメントの姿も映し出している。丁度それを読んだ時に、似た様な人が自分の周りにもいるな、思わず笑みが溢れる。濡れた布(ウェットブランケット)の様な存在。確かに頭は良いだろうが、せっかくの資料レビューも理詰めで「ヤル気の」火を消しにかかる人、私だってそうかもしれないと反省もする。そして部下の言葉に耳を傾けて、心の中の真実を導き出す「聞き届け」。これは正直大変だし、辛いことでもあるから私もにげてしまっている。
今日この本を読んだ今、この瞬間からやれることは沢山あった。そして決意するなら今この瞬間に出来る。それも簡単には崩れない強い気持ちでの決意。そして反面教師によって自分を見つめ直す。この流れで、また障害だらけの明日を乗り切る勇気が湧いてきた。ありがとうとお礼を言いながら書籍を閉じた。

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2025年06月04日

Posted by ブクログ

20250102_なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか 人間の出会いが生み出す「最高のアート」

■「人間学」を学ぶ唯一の方法
- [ ] 「人間学」が、書物から学ぶことのできないものであるならば、どうすれば良いのか。それが、自身の「体験」からしか学べないものであるならば、どうすれば良いのか。ただ一つの方法しかありません。
- [ ] 人間と「格闘」する。それが、唯一の方法です。
- [ ] 人間を知ろうと思うならば、人間と「格闘」しなければならない。単に表面的に人間と接するのではなく、人間と「格闘」しなければならない。日々の仕事の中で、日々の生活の中で、生身の人間と「格闘」しなければならない。
- [ ] では、「格闘」とは、何か。それは、決して、「戦う」ことや、「争う」ことではありません。
- [ ] 「正対」することです。人間の心と「正対」することです。それが、人間と「格闘」するということの意味。なぜなら、人間の心と「正対」すると、自然に、始まるからです。自然に、静かな「格闘」が始まる。
- [ ] 相手が「本音」を語ってくれないのは、「信頼」していないから。
- [ ] なぜ「信頼」していないのか。それは、そのマネジャーが日常に示す姿を、その部下が見ているから。上司に対して裏と表を使い分けるマネジャー。部下に対する捜査主義を感じさせるマネジャー。聞いた話を、すぐ誰かに話す、口の軽いマネジャー。そうしたマネジャーが、部下から信頼されないのは、当然でしょう。
- [ ] では、マネジャーは、信頼を得ていればよいか。そうした信頼を得ていれば、部下は、「本音」を語ってくれるか。それだけでも、まだ不十分。さらに、求められるものがある。自ら「心を開く」ことです。
- [ ] しかし、これがさらに難しい。誰にもエゴがある。自分を守りたいというエゴがある。そして、「心を開く」ということは、そのエゴが「脅威にさらされる」ということ。心を開くことは、ある意味で、城砦が門を開くこと。無防備になること。それは、エゴが脅威を感じるということでもある。だから、自分自身、心を開くことは、難しい。ましてや、相手に心を開いてもらうことは、さらに難しい。
- [ ] では、マネジャーは、心を開けばよいか。実は、それでも、まだ、不十分。では、さらに何が求められるか。
- [ ] 「聞き届け」をすること。すなわち、ただ、「聞く」のではなく、「聞き届け」をする。そのことが求められます。
- [ ] 「聞き届け」とは、相手の語っている言葉を、深い共感の心を持って、聞くこと。相手の言葉を、こちらの心の奥深くに届けるような気持ちで、聞くこと。共感の思いを、相手の心の奥深くに届けるような気持ちで、聞くこと。その「聞き届け」が求められます。
- [ ] そして、それが、「格闘」のいうことの意味。人間の心た正対して、格闘するということの意味。
- [ ] 部下の信頼を得ること。自分の心を開くこと。聞き届けをすること。それらは、いずれも、「人間の心」との、大変な格闘が求められるのです。
- [ ] しかし、それゆえ、その格闘を通じて、我々は「人間の心」というものを、深く知る。そして、それこそが、「人間」というものを知る「人間学」の王道なのです。

■「その人にとっての真実」に耳を傾ける
- [ ] このように、悩んでいる部下の話を聞くことだけでも、深い学びの機会。
- [ ] そのとき、人間の心に正対し、格闘するならば、素晴らしい学びがある。
- [ ] それは、「人間学」を学び、「人間観」を養う、素晴らしい機会なのです。
- [ ] それにもかかわらず、その機会を大切にしないマネジャーも、少なくない。
- [ ] 実は、この「聞き届け」とは、カウンセリングの世界の言葉。
- [ ] カウンセラーに求められるものは、クライアントの心に正対し、聞き届けること。クライアントの話す言葉を、心の奥深くで、聞き届ける。
- [ ] しかし、そのとき、心に置くべき大切な言葉がある。
- [ ] 「その人にとっての真実」
- [ ] その言葉です。
- [ ] この言葉は、大切な言葉。
- [ ] なぜなら、この言葉は、我々に、深い世界を教えてくれるからです。
- [ ] 我々は、いつも、この「真実」という言葉を、「客観的な真実」という意味に使う。
- [ ] しかし、「真実」には、「客観的な真実」と「主観的な真実」がある。
- [ ] 「客観的な真実」とは、誰もが認める「事実」のこと。
- [ ] 「主観的な真実」とは、その人にとって、世界がどのように見えているかということ。
- [ ] そして、我々が犯す過ちは、「客観的な真実」で、「主観的な真実」を裁くこと。

■仕事や人生における苦労や困難というものの「大切な意味」
- [ ] 第一は、苦労や困難があるからこそ、成長できる。
- [ ] 第二は、苦労や困難があるからこそ、喜びがある。
- [ ] 第三は、苦労や困難があるからこそ、結びつける。 
- [ ] 仕事は、苦労や困難があるから、「働き甲斐」を感じることができる。
- [ ] 人生は、苦労や困難があるから、「生き甲斐」を感じることができる。
- [ ] その大いなる逆説。だから、世の中には、いつも困難に挑戦し続ける人々がいる。
- [ ] 例えば、「連続起業家」(serial entrepreneur)です。
- [ ] 起業家として一つの事業を起こす。
- [ ] その事業がきどうにのり、上場も達成し、起業家として成功する。
- [ ] それにも関わらず、その地位に安住せず、また、新たな起業に挑戦する。
- [ ] これらの人々は、苦労や困難に挑戦することを、喜びとする人々です。
- [ ] 苦労や困難があるからこそ、働き甲斐を感じ、生き甲斐を感じる。
- [ ] だから、また、新たな挑戦に向かう。
- [ ] そういう人々です。
- [ ] 第三の「結びつける」とは、どういうことか。苦労や困難を、共に体験するからこそ、心が結びつける。長く職場を共にし、一緒に多くの苦労や困難を乗り越えてきた仲間。その仲間には、あたかも「戦友」のような感覚が芽生える。いわゆる、「苦楽を共にした仲間」です。
- [ ] だから、マネジャーは、理解しなければならない。
- [ ] 仕事における苦労や困難もいうものの、「大切な意味」を理解しなければならない。
- [ ] 「それがあるからこそ、成長できる」
- [ ] 「それがあるからこそ、喜びがある」
- [ ] 「それがあるからこそ、結びつける」
- [ ] その「三つの意味」を、深く理解しておかなければならないのです。
- [ ] そして、その意味を理解しないマネジャーは、知らぬところで、奪ってしまう。
- [ ] 部下の「成長の機会」を、部下の「働き甲斐」を、部下同士の「心の結びつき」を。
- [ ] その大切なものを、奪ってしまうのです。
- [ ] 人生において、「成功」は約束されていない。
- [ ] しかし、人生において、「成長」は約束されている。
- [ ] ビジネスに、修羅場がやってきた。
- [ ] それが、どれほどのものか、考えてみればよい。
- [ ] 本当は、修羅場と呼ぶことさえ憚られる話ではないのか。
- [ ] そして、そのことを理解することが、「究極の楽天性」。
- [ ] 経営者やマネジャーが身につけるべき、「究極の楽天性」でしょう。
- [ ] たしかに、経営の世界、マネジメントの世界。
- [ ] 様々な苦労や困難が、やってくる。
- [ ] しかし、何が起ころうとも、決して、命、取られるわけではない。
- [ ] そう腹を括れば、物事に対する覚悟が定まる。
- [ ] 事において、動じない。
- [ ] その覚悟が、定まるでしょう。

■いかにして「部下の成長」を支えるか
- [ ] 経営者やマネジャーは、部下や社員の「成長」を支えなければならない。
- [ ] 経営者やマネジャーは、深い「人間観」を持たねばならない。
- [ ] しかし、その上で、経営者やマネジャーが、決して忘れてはならないことがある。我々が、部下の成長を支えたいのであれば、決して忘れてはならないことがある。それは、なにか。
- [ ] 自分が「成長」すること。そのことです。
- [ ] そのことを抜きにして、部下や社員の成長を支えることはできない。それは、なぜか。
- [ ] 人を「成長させる」ことはできないからです。
- [ ] 「成長」と言う言葉は、自動詞なのです。
- [ ] 自発的に本人が「成長したい」と思わないかぎり、成長することはない。
- [ ] それは、他動詞ではない。
- [ ] 誰かが、誰かを「成長させる」ことはできないのです。
- [ ] だから、私は、「成長を支える」という言葉を使うのです。「成長させる」という言葉を使わないのです。
- [ ] 部下や社員が、「成長したい」と意欲を持つのは、何によってか。それは、古くから、ただ一つのことなのです。
- [ ] 「後姿」。
- [ ] 経営者やマネジャーの「後姿」から、部下や社員は、大切なことを学ぶ。
- [ ] それは、朝礼においても、そうです。
- [ ] 部下や社員は、朝礼における経営者やマネジャーの「言葉」は聞いていない。
- [ ] 部下や社員は、その経営者やマネジャーの「後姿」を見ている。
- [ ] そして、もし、その「後姿」が、喜びを伝えてくるならば、部下や社員は、変わる。
- [ ] その「後姿」が、「人間として成長することの喜び」を伝えてくるならば、変わる。
- [ ] 気がつけば、自然に、部下や社員もまた、「成長したい」との願いを心に抱いている。
- [ ] それは、古くから、ただ一つの真実なのです。
- [ ] 部下は、自分の上司の「後姿」から、最も大切なことを学ぶ。
- [ ] 子供は、自分の両親の「後姿」から、最も大切なことを学ぶ。
- [ ] それを、昔から変わらぬ真実なのです。
- [ ] そして、「人間成長」とは、遥か遠く、高く聳え立つ山の頂。
- [ ] その高き山の頂に向かって登り続ける、上司の「後姿」。
- [ ] その姿を見るとき、部下は、言葉を超えて、深く学ぶ。
- [ ] なぜ、人は、遥か遠く、高く聳え立つ山の頂をめざすのか。
- [ ] なぜ、人は、その山の頂に向かって、困難な道を歩み続けるのか。
- [ ] なぜ、人は、その困難な道を歩み続けるとき、深い喜びを得るのか。
- [ ] 部下や社員は、経営者やマネジャーの「後姿」から、そのことを学ぶのです。
- [ ] そして、気がつけば、自分自身も、その山の頂目指して歩み始めているのです。
- [ ] しかし、このことは、恐ろしいことも、意味しています。
- [ ] 上司の「成長の限界」が、部下の「成長の限界」となる。
- [ ] すなわち、もし、上司が見つめている山が「低き山」であったならば、何が起こるか。もし、上司が「低き山」登っただけで、満足してしまったならば、何が起こるか。部下は、それ以上の「高き山」に登れない。
- [ ] だから、経営者やマネジャーの責任は、重いのです。
- [ ] 自分の「器の大きさ」が、部下や社員の「器の大きさ」を定めてしまう。

■「リーダー」という言葉の真の意味
- [ ] そして、この「部下の成長を支える」というマネジメントの役割。
- [ ] その役割を深く理解するならば、一つの言葉の意味が見えてきます。
- [ ] マネジメントの世界で、しばしば使われる一つの言葉です。「リーダー」。この言葉は、経営とマネジメントの教科書には、必ず出てくる。そして、多くの場合、この言葉は、「指導者」と訳される。「多くの人々を指導し、人々が集まる組織を統率していく人物」の意味です。
- [ ] しかし、この日本という国において、この言葉の意味は、欧米とは違う。
- [ ] この「リーダー」という言葉の本当の意味は、違います。
- [ ] それは、「組織を率いる人間」のことではない。
- [ ] それは、「山を登り続ける人間」のことです。
- [ ] それは、「人間成長と言う山の頂に向かって登り続ける人間」のことです。
- [ ] 誰かを指導しようと思うわけでもない。組織を統率しようと思うわけでもない。
- [ ] ただ、一人の人間として、「人間成長」という山の頂に向かって登り続ける。
- [ ] それが、本当の「リーダー」の定義です。
- [ ] そして、その人物の周りに多くの人々が集まってくるのは、結果に過ぎない。
- [ ] 人々が集まってくることを求めて、山に登っているわけではない。
- [ ] 自分に与えられた道を、精一杯に登っていく。力の限り登っていく。
- [ ] すると、気がつけば、なぜか、同じ山道を一緒に登る人々がいる。
- [ ] その方々とのご縁を大切に、ときに、励まし合いながら、山道を登り続ける。
- [ ] ただ、誰よりも深く、その山道を登り続けていきたいという願いを持っている。
- [ ] それが、結果として「リーダー」と呼ばれるときもある。
- [ ] しかし、「リーダー」と呼ばれるために、山に登っているわけではない。ここ日本という国には、そうした逆説的な「リーダー観」がある。深みある「リーダー観」がある。

■いかなる「言葉」を部下に語るべきか
- [ ] 何よりも「私にとっての真実」を語るべきでしょう。「言霊」を生み出す。
- [ ] 「言霊」とは、魂の宿った言葉わ。語る人間の魂が宿った、力に満ちた言葉。
- [ ] 言葉を超えて、大切な何かが伝わる。
- [ ] 言葉では表しえない、大切な何かが伝わる。では、いかにすれば「言霊」が生まれるか。
- [ ] 自分の語ることを、深く信じていること。そのとき、「言霊」が生まれる。
- [ ] しかし、「深く信じている」とは、観念的な意味ではない。膨大な知識を学び、論理で考え、正しいと思ったものを語るという意味ではない。
- [ ] 問われるものは、「体験」。
- [ ] 自身の、ぎりぎりの「体験」の中で掴んだこと。現実との悪戦苦闘の中で掴んだこと。それが「深く信じている」という言葉の、本当の意味。
- [ ] 「私にとっての真実」。それは、「私が、自身の人生の体験を通じて掴んだ真実」という意味。
- [ ] マネジャーは、部下に対して、いかなる言葉を語るべきか。
- [ ] 部下の「成長」がかかっている一瞬。
- [ ] 部下の「人生」がかかっている一瞬。
- [ ] マネジャーは、自分の何かを賭して、部下に語らなければならない。腹を据えて、語らなければならない。
- [ ] 部下は、上司の、「覚悟」を見ているからです。
- [ ] ぎりぎりの瞬間には、部下は、表面的な言葉や論理など、聞いていない。上司が、いかなる「覚悟」を持っているか。それを見ている。
- [ ] そして、本当のプロフェッショナルが育つためには、その一瞬が不可欠。
- [ ] 上司が、一人のプロフェッショナルとして、深い「覚悟」を持って語る。
- [ ] その一瞬が不可欠。
- [ ] その人生観を。
- [ ] その人間観を。
- [ ] その仕事観を。
- [ ] そのプロフェッショナル観を。
- [ ] 上司は、深い「覚悟」を持って語らなければならない。
- [ ] なぜか。そのとき、部下が育つからです。
- [ ] 部下は、上司の価値観との真剣勝負を通じて、自らを鍛えていく。一人のプロフェッショナルとしての自身の価値観を、鍛えていく。
- [ ] それが、「切磋琢磨」という言葉の、本当の意味でしょう。

■経営とは「命懸け」のもの
- [ ] マネジメントにおいては、ぎりぎりの瞬間に問われるものがある。
- [ ] 「腹を据える」。
- [ ] マネジメントにおいては、腹を据えなければ、決して伝わらないものがある。特に、それが、部下の人生や、部下の成長に関わる場面では、そうです。腹を据えて語らなければ、決して伝わらない。
- [ ] なぜなら、マネジャーとは、部下の人生を預かっている人間。その人間が、腹を据えて語ることがなければ、部下は、決して耳を傾けない。
- [ ] では、「腹を据えて語る」とは、何か。
- [ ] 「命懸け」で語るということ。
- [ ] 経営者は、社員の人生を預かっている。
- [ ] 社員の命を預かっている。
- [ ] だから、命懸けで語るべき。
- [ ] だから、語る言葉に魂が宿る。
- [ ] そして、その言葉が「言霊」となる。
- [ ] だから、多くの社員の心に響くのでしょう。
- [ ] また、自分は、この人生を賭して、何を証したいのか。
- [ ] 我々は、この人生を、ただ生きるために、生きているわけではない。
- [ ] 誰もが、その人生を通して、自分の価値と信じるものを証すために生きている。
- [ ] なぜ、我々は、マネジメントの道を歩むのか。
- [ ] 人間としての「成長」を求めて。
- [ ] 人間との「邂逅」を求めて。それが、もう一つの答えです。ここで、「邂逅」とは、「巡り会い」のこと。一人の人間と、一人の人間が、深い縁あって巡り会う。それが「邂逅」です。
- [ ] そして、マネジメントの道を歩むことによって、我々は、その「邂逅」を得る。
- [ ] 人間と「巡り会う」。
- [ ] それが、マネジメントの道を歩むことの、素晴らしさなのでしょう。
- [ ] この「奇跡の一瞬」を「最高の一瞬」にしよう。
- [ ] 深い縁あって、巡り会った、この部下。
- [ ] そして、深い縁あって、集まった、この職場の仲間。
- [ ] この仲間と、大きな夢を描こう。
- [ ] そして、素晴らしい仕事を成し遂げよう。
- [ ] この仲間と、互いに、成長していこう。
- [ ] そして、「最高の一瞬」を残そう。
- [ ] しかし、それは、いずれ消えていく一瞬。
- [ ] どれほど大きな夢を描き、どれほど素晴らしい仕事を成し遂げても、それは一瞬。
- [ ] いつか、それは、記憶の彼方に消えていく。
- [ ] けれど、決して消えぬものが、ある。
- [ ] 一人の人間が、この地上に生を受けたこと。
- [ ] その人間が、与えられた一瞬の生を、精一杯に生きたこと。
- [ ] そうした人間が、深い縁あって集まり、共に歩んだこと。
- [ ] 大きな夢を描き、素晴らしい仕事を成し遂げたいと願い、共に働いたこと。
- [ ] 互いの心が触れ合い、励まし合い、力を合わせて歩んだこと。
- [ ] 互いに心を通わせたいと願い、けれども、心が通わずに苦しんだこと。
- [ ] 何度もぶつかりながら、少しずつ、互いを理解できるようになっていったこと。
- [ ] そして、いつか、互いの心の葛藤も、懐かしく思い起こせるようになったこと。
- [ ] その事実は、永遠。
- [ ] その事実は、決して消えることのない永遠の真実なのです。
- [ ] そして、それは、マネジャーが残す「最高の作品」。
- [ ] 人間が出会い、巡り会い、互いの一瞬の生を、精一杯に生きようと、歩んだ。
- [ ] 一緒の生と一瞬の生の深い交わりの中で、互いに成長しようと、支えあった。
- [ ] それは、いかなる仕事、いかなる事業よりも素晴らしい「最高の作品」なのです。

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2025年01月02日

Posted by ブクログ

まさに田坂さんの言霊を最初から最後まで感じた。
今までの人生で10人以上、沢山の上司の元で働いてきたが、誰1人として語らなかった「マネージャーの醍醐味」「やりがい」「魅力」を田坂さんから教えてもらったように思う。

力のあるマネージャーはリズム感とバランス感覚がある。これらの本質は、相手の心を感じ取る力。
マネジメントの本質は心のマネジメント。
それは心の修行であり、1人の人間として最も大きく成長できる道。
(そう田坂さんは気がついた時、マネジメントの道を歩み始めた)

相手の心が見える様になったら、次は集団の心が見える。集団の心が見える様になると、無意識の世界である自分の心が見える様になる、と。

人を成長させることはできない。
自発的に本人が成長したいと思わない限り、成長することはない。
「後姿」を見ている。人間成長に向かっている上司の後姿をみて、深く学び、自発的に成長を目指す様になる。

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

マネージャーは「重荷」を背負う仕事

①部下や社員の「生活」に責任を持つ

②部下や社員の「成長」に責任を持つ
 自身が成長し、それによって部下の成長を支える
 何歳になっても、新しい場所でも、自分を磨いて自分が成長する

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2025年10月24日

Posted by ブクログ

マネジメントは、自分の心を育てるため。謙虚と感謝を忘れない。部下とのやりとりには、リズム感とバランス感覚が大切。自身の成長意欲を、部下に後姿で伝える。

似たような啓発本は多いが、この本は、文字数が少ないのに、内容は濃く、読んだ後に心に残る本だと思う。

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

<目次>
新版 序文
・なぜ、あなたは、自ら重荷を背負うのか
・系駅舎はマネジャーが背負う重荷とは何か
・素晴らしいマネジャーに後ろ姿から学んだもの
・なぜ、私は、マネジメントの道を選んだのか
・人間としての成長とは何か
・マネジャーが身につけるべき人生観とは何か
・職場における出会いとは何か
仕事における苦労や困難とは何か
・いかにして部下の成長を支えるか
・いかなる言葉を部下に語るべきか
・マネジャーが巡り合う奇跡とは何か

P100「いかにして苦労せず、素晴らしいものを得るか」
はなく、人間と格闘するしかない(正対する)
P162人生において「成功」は約束されていない。が
人生において「成長}は約束されている。
P164-165(大トラブルに直面し)命、取られるわけでは
ない。。。本来の楽天性
P185部下を支えるために条件は「立派な人物」になる
のではなく、「成長への意欲}である
P206あなたは、何を価値と信じて生きているか
P219「深い縁」「奇跡の一瞬」
P221「奇跡の一瞬」を「最高の一瞬」にしよう。
「最高の作品」「一瞬のアート」「最高のアート」

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2025年01月20日

Posted by ブクログ

「なぜ、マネジメントの道を歩むのか」「なぜ、その重荷を背負って歩むのか」という問いに対して、筆者なりの答えを述べている。

哲学的な語り方であるが読み易く、時期を経て再読したい1冊であった。

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2024年02月11日

Posted by ブクログ

久しぶりの田坂節、マネジメントを通じて何を成し遂げるのか。人としての成長を支えて、喜びを分かち合う。
すべての出会いに意味があり、あらゆる苦労や困難にも大きな意味がある、、
人としてどうあるべきかいつも後押しされます、、

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2023年08月20日

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