あらすじ
クラシック音楽といっても、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンがすべてではない。中世のマショー、ルネサンスのジョスカンから20世紀のメシアン、武満徹まで、大作曲家の名曲を味わい尽くす。週に一曲の割合で聴いていくと、一年で豊饒な世界を概観するCDコレクションが完成。読むと必ず聴きたくなるクラシックの案内書。
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Posted by ブクログ
本書は二部制。第一部では西洋音楽の歴史を俯瞰、5~6世紀から中世、ルネサンス、バロック、古典派・ロマン派、現代音楽へと辿る。ここで早くも、私の勘違いが発覚。現代仕様の楽譜の完成はバッハで間違い無いのだが、それ以前に楽譜らしきものがなかったわけではないという単純な事実。本書で中世の音楽家の記述があるが、何を持って彼らを評価したのかといえば、やはり楽譜でしかありえないわけで。(汗)
そして、第二部は毎週一曲づつ52週にわたって必聴名盤を紹介するという趣向。ただし順序は、バロック音楽から始め、中世音楽は難解さもあって最後に持ってきている。
さて、肝心の名盤の定義だが、結局選者の思い入れ8割という相場ではなかろうか。つまり、例えば同じ楽曲を同じ指揮者が4回も録音しているケースなどでは曲自体の解釈の問題よりも楽団との相性や事前練習量、録音状態、その日の体調など、評価は感覚的な趣味嗜好で左右されそう。
ってことで、本書の推薦盤と先日読んだ「クラシックCDの名盤」で選出されたものがどのくらいシンクロしているのかチェックしてみる。
バッハ作品では「ブランデンブルク協奏曲」レオハント指揮(76,77)は福島氏も推薦。
「マタイ受難曲」はガーディナー指揮推薦だが該当なし、「6つのパルティータ」は曲目自体該当なし。
以下、シンクロ作品のみ列挙する。
・シューベルト「美しき水車屋の娘」宇野氏もFディースカウ指揮&ムーアのピアノ(71)
・ベルリオーズ「幻想交響曲」宇野氏もミュンシュ指揮(67)
・サン・サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番」中野氏もフォスター指揮&チョン・キョンファのヴァイオリン(75)
・チャイコフスキー「交響曲第6番悲愴」宇野氏と中野氏もムラヴィンスキー指揮(60)
・ドビュッシー「海」中野氏もマルティノン指揮(73)
・シベリウス「交響曲第2番」宇野氏もバルビローリ指揮(66)
この結果が多いのか少ないのか不明だが、ヘンデル作品の様に曲目がかすりもしていないのもあれば、ハイドン「交響曲第104番ロンドン」の様に推薦盤が違っているケースも多々あった。
どの選者が正しいかということではなく、クラシックは奥が深いという結論にとどめておきます。