あらすじ
「ぼくはついに出会った。うれしくて、少しだけ泣きたくなった」……小学生・弘海は体に異変が起こり、水の中を好むようになる。心配した両親は、世界中に同じような子供がいることを知るが――少年少女の淡い恋心と家族の絆を優しく切なく描く『いま、会いにゆきます』に連なる長編小説。
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Posted by ブクログ
市川さんの小説は恋愛ものが多いなかで、今作の主なテーマは家族愛。
独特の表現方法、ゆったりと進むストーリーのテンポ、変わらぬ市川ワールドが広がっていました。
また、彼の作品に出てくる登場人物は「ユニーク」な人が多いなかで、今作の主人公の弘海や弘海の父親、友人の公太も「ユニーク」な世界の住人の一人。
《別に急ぐ必要はないさ。どんなに嫌がったって、いずれは大人になっちゃうんだから》
《人より少し遅れているように感じても、それがきみのペースなんだからって》
そのような「ユニーク」な人々を今作でも彼の言葉がそっと優しく包み込んでいる印象。
弘海の胸に出来た傷をきっかけに展開していくこの話。
SF要素を含んだその傷に、読者に一抹の不安のワクワクを持たせながら話は展開していく。
他の方が仰っていたように、残念なのがタイトルの副題などでそれ以降の大体の展開が読めてしまうところ。
しかし、互いに信頼し、愛し合っている家族が別れのときに向けて、決心を固めていく様子を、まるでその家族の一員になった感覚で見守ることができるとてもあたたかな作品だと思いました。
そして、いつまで経っても親離れ・子離れができない家族や、逆に家族のなかにいても「孤」を感じてしまう現代だからこそ、この家族から感じるものは何か心をあたたかくしてくれるのではないかと感じました。