あらすじ
いったい神なんか本気で信じているのか」とか「あんたにとって神とは何か」とか、数々のご質問を私が整理して、それに私なりの考えを、できるだけわかりやすく話して、それを文章にしたのがこの本である。(「あとがき」より)「無理をしない、きばらない」信仰とは? 『沈黙』の著者が明かす“弱虫”から“強虫”への変身の秘密!
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Posted by ブクログ
作家の目線で、聖書を史実か伝承か、効果的な創作としての一面などを説明してくれていて、私には非常に分かりやすい。聖書の別の一面を見ているようだった。
ハッとすることが多い内容だった。特に、清浄であるということ、つぐなうということ。日本の文化として当たり前に受け入れてきたことがキリスト教の考え方との違いを生んでいるなんて、考えたことがなかった。
著者の小説をより深く楽しむ手助けになる、興味深い一冊だった。
Posted by ブクログ
筆者がなぜキリスト教を信じるようになったのか、神とは、三位一体とは、キリストとは、といった質問に対して筆者個人のキリスト教感で以て答えている本。筆者は日本人としての仏教、神道的感覚も持ち合わせているおり、そことの折り合いをつけながら帰依したキリスト教は日本に住んでいると遠い存在のキリスト教を身近に感じさせてくれた。
特に印象的だったのは「神は存在しているのではなく、働きである」という考え。一神教を信じていない身としては、神の存在は全くぴんとこないが、人の心の底にあって、そこで働く何かが神ということならば何となくだが自分も感じることができる。
筆者が迷いながらもキリスト教を信じることとなった経緯や想いが書かれているこの本は、明確な宗教を持たない今の若い人たちにキリスト教を知る良いきっかけになるのではないだろうか。
最後に、宗教倫理と社会道徳の違いについて、筆者「社会道徳を守っている人間の心の中には自己満足、偽善、他人を裁く、そういう宗教倫理からみると汚らしいものが生じているはずです。」30年以上前の内容だが、宗教色が薄れた今の日本社会で発生している問題に非常に当てはまっており、宗教というものがなぜ多くの社会で必要とされているのかを考えさせられた。