あらすじ
かつてそこには人の営みがあった集落。生活の基盤があり、小規模な……場合によっては大規模な学校があったところもあった。しかし、さまざまな事情から、人々はその地を離れ、やがて無住になった。本書は、冬季無住集落や1戸が残る集落なども含めて、そうした集落への旅と調査を綴ったものだ。
現地で出会った人たちに話を聞き、いくつかは繰り返し訪問している。主な交通手段は、バイクから電車・飛行機と自動車の組み合わせへとシフトしている。船や自転車に乗ったり、山歩きすることもある。40年半、1025カ所を探訪した旅の記録から、さまざまな観点で50の集落を収録している。
【収録集落】
●北海道
夕張市北炭夕張
美唄市東美唄
神恵内村オブカル石
滝上町中雄柏
浜頓別町山軽
●東北
青森県六ヶ所村上弥栄
岩手県宮古市岩田
秋田県大館市深沢
由利本荘市袖川
山形県大石田町三和
福島県会津若松市大巣子
●関東
群馬県嬬恋村石津鉱山
埼玉県秩父市岳
東京都奥多摩町峰/倉沢
●甲信越
新潟県新潟市西蒲区角海浜/津南町上日出山
長野県飯山市堀越/豊丘村野田平/飯田市大平
●東海
静岡県浜松市天竜区小俣京丸/大嵐
岐阜県揖斐川町戸入/本巣市黒津
三重県松阪市峠
●北陸
富山県富山市高清水/南砺市下小屋
石川県小松市津江
福井県大野市熊河/池田町割谷
●関西
滋賀高島市北生見
京都府京都市右京区八丁
和歌山県紀の川市今畑/白浜町大瀬
兵庫県豊岡市金山
●中国
鳥取県鳥取市杉森
広島県世羅町八田原
山口県岩国市右穴ヶ浴/萩市尾島
●四国
愛媛県西条市今宮/今治市比岐島
高知県北川村竹屋敷/香美市上岡
●九州
長崎県長崎市端島/小値賀町舟森
熊本県山都町内大臣/五木村中道
宮崎県西都市吹山
鹿児島県阿久根市本之牟礼
●沖縄
沖縄県竹富町宇多良
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
訪れた廃村跡は1000以上とか。つまりそれ
だけの村や集落が消えているのです。
しかも著者の「廃村」と括る縛りは、「小
学校が存在していた集落」に限定しています。
それだけでも、この数なのです。
もはや過疎化というよりも消滅と言っていい
かもしれないです。
人の営みとは、そこを離れてしまうとかくも
儚いと驚愕させられる一冊です。
Posted by ブクログ
あともう1ページ情報がみたいと思ってしまったけど、内容は平易で気軽に読んでと著者は書いているので、それで正解な本でした。知ってる国道沿いで確かにこの辺に道が続いていたな、その先はこうなっていたのかと、記憶や地図と確認しながら読めて楽しかったです。
Posted by ブクログ
それぞれの訪問記はその場で見たものを中心に淡々と記録ベースで書かれており、特に深掘りした調査や、独自の考察があるわけではない。
旅行気分で模擬体験をする、というイメージであり、前書きにもある筆者の狙いもそんな大仰なものではないとのこと。
ということで大きな発見はないが、それで十分だと思う。
Posted by ブクログ
webが取り上げている全国の廃村数は令和3年9月時点で3,517ヵ所あるようだ。一方筆者が定義する廃村数は900で、戸数5戸以下、冬季分校がある場合は3戸以下を高度過疎集落として数え150、合計1050ヵ所を対象として訪れている。
本書では全国50ヵ所を取り上げ、写真が1ヵ所に付き数枚と地図が掲載され、最寄りの駅や町からの距離も載っているが、山奥等人里離れた場所が多く、近くに行けども余程その気がないと、廃村まで行けないと感じた。
ダム建設、災害からの避難、鉱山の閉山、集団移転等廃村の理由は様々だが、思うにこれだけ少子高齢化が進んだ日本では、自然に集落が無くなったと言う例が多いのではないかな。
田舎に帰った時、山道を通ると廃屋に出くわすことがあるが、なんだか不気味だし一人では中には入る気はしない。
しかし分校など、明治時代に開校して昭和後期まで存続していた所が多くあり、意外と都市化と言う形態は新しいものだと感じた。