あらすじ
破綻した米大手証券を統合する!
突然発表されたトップの決断の裏にある真実とはーー。
元証券会社勤務の著者が業界内部を緻密に描いた本格経済小説。
事件の裏側を登場人物がインタビュー形式で語る〈ポストモーテム〉を各章に収載。
企業のグローバル化による軋轢の中、
個人に求められる強さとしなやかさとは――。
武蔵証券の秋月は、自らを出世コースからは外れた人間と認識していた。
そんなある日、自社が、大手外資・ウォールストリート証券救済に動いているという新聞記事を目にする。
真偽を疑う社内の空気をよそに、「一万五千人の社員受け入れ。世界規模の事業拡大」が発表された。
報酬・権力をめぐる闘争、異なる企業文化・言語・価値観……翻弄され、葛藤しながらも、進むべき道を見出す金融マンたちを鮮やかに描く長編小説。
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Posted by ブクログ
フィクションではあるが、ノンフィクションに近い形式で話が進んでいく。主に人事部から見た、米大手証券の統合、組織づくりが描写されている。大分昔のことのようにも感じられるが、描かれている人間模様を通じて、多くのことを考えさせられる内容であった。端的にいうと、証券会社は、統合を成功させる準備ができていなかった、ということだと思う。それとともに自分達以外のための「何のために?」「サービスを提供する相手が誰で、そこにどういう価値を提供するか?」が明確でないプランだったということか。
自分がこのフィクションの登場人物だったら?を時間を置いて再考してみたい。
Posted by ブクログ
武蔵証券がウォールストリート証券を事実上買収するところから始まり、5年後の社長退任までに起きた事象を辿る。
野村證券によるリーマンブラザーズ買収が元ネタらしく、著者は当時野村で人事企画を担当していたこともあり、かなりリアリティある描写が多い。企業のグローバル化における苦労をよく表現できている
感想は2点
①企業のグローバル化の中で英語は最低限必須である。
②結局は人生の目的を何に定めるかが大切である。
Posted by ブクログ
バベルの塔(野村證券の揶揄か)の人々=社員たち。
リーマンショック時にリーマンブラザーズの社員を雇用した野村證券の話。武蔵証券という名前でウォールストリート証券(リーマン)を事実上併合(人だけ)。
社長の決断から人事部門を中心にこのカルチャーの全く違う企業併合の様子を小説の形式で描いている。作者は野村證券人事企画部門経験者。あくまでもフィクションだと後書きにあるが、流れは当時の経験に基づくものだと思い読者は読むことになる。あの強い野村もアメリカ投資銀行相手にはなかなか一筋縄ではいかない。逆にホールセールは食われてしまったかのように読める。
作者の文章力と表現力は1作目とは思えない力強さがある。当時を知りたいと思って読んだが小説としては読みきれなかった。あくまでも野村証券と読み替えながら読んだ。仕方ない事だが。