あらすじ
近年、韓国発のエンターテインメントの世界的な活躍のニュースは毎日のように目に入ってきます。7人組ボーイズグループBTSの国連でのスピーチやパフォーマンス、Netflixドラマ『イカゲーム』や『愛の不時着』の世界的ヒット。髪型やファッションをK-POPアーティストに寄せることも今では珍しくありません。その韓国エンタメ産業の躍進は、実は韓国社会の変化と大きく結びついています。
◎1980年代の民主化運動による「表現の自由」の拡大 ◎1997年アジア通貨危機、IMFショックによる韓国産業界の変化(輸出強化とIT化)。そして2010年以降顕著になった世界のデジタル社会化。こうした社会の変化が韓国のエンタメ産業にどのような影響を及ぼしたのか、本書前半ではBTSをプロデュースしたパン・シヒョク氏や、韓国エンタメ産業界の巨人・CJグループのイ・ミギョン氏など立役者たちのプロフィールを交えつつ具体的に描かれます。一方、本書の後半では韓国エンタメ界に残る負の面に目を向けます。韓流スターの性接待や、オーディション番組における不正操作。相次ぐ女性スターの自死。こうした問題もまた、韓国社会の変化のなかで、取り上げられ方が変化してきました。とりわけフェミニズムの広がりによる女性の権利意識の高まりは大きなポイントになっています。その他兵役や韓流スターたちと政治との関りなど、韓国のエンタメ界と韓国社会との密接なつながりへの理解が本書によって深まります。
また最終章では日本のエンタメコンテンツが韓国でどのように受容されているかがレポートされます。厳しい現状から、いま日本に求められているものは何かが見えてきます。
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Posted by ブクログ
韓流を世界に広めようとした人たちの情熱と愛国心に感心してしまった。クールジャパンのようなゴリ押しではなく、「韓国の文化を世界に広めたい」という情熱の下、政府ではなく有志が韓国エンタメにじゃんじゃん投資してるのがいい。
韓国エンタメ業界にまつわる事件の章は、のんきにK-POPを聞いている自分がなんだか推しを搾取しているようで、申し訳なくなってしまった…。
BoAちゃんが日本デビューした頃、韓国にとって日本はたしかに追いつけ追いこせの憧れの国だったと思う。インタビューでも「行きたいところは?」て聞かれると、リップサービスもちょっとはあったにせよみんな日本と答えていた。
あれから20年。久々に韓流界隈に戻ってきたら、すっかり様子が変わってた。日本が、嫌韓だー反日許すまじーとやってるあいだに、すっかり見向きもされなくなってた過程が、これを読んでいたらよく分かる。
一方の韓国では、文化解放前には溢れていた反日の本が今はすっかり消えているという。日本で嫌韓本が増えているのはむしろ、もはや韓国に追いつかれているという危機感の表れなのかもねぇ。