あらすじ
人づきあいをしなくても回る社会ができあがっていった中で、不安定なつながりを維持するべく変化したコミュニケーション、それでも「人それぞれ」では片付けられない問題、引き起こされる分断と対立を見ていくとともに、「人それぞれ」のその先を模索する。
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Posted by ブクログ
人それぞれ、という言葉は、多様性を受け入れるように見えて、他者への介入を阻害する。リベラリズムに裏打ちされた個を尊重する社会は、誰と付き合うかを選べる社会。絶対にその人と付き合わなければならないという強い土台がないからこそ、人はコミュニケーションに最新の注意を払う。
1000人に1人のマイノリティの意見も、インターネットを使えばすぐに10万人の同調者を募れる。意見の合う人だけが集まる社会で対話する力が失われ、他者に冷たい分断社会が生まれていく過程が多角的に語られていた。
Posted by ブクログ
本当に考えさせられた。「多様性」も「人それぞれ」も悪い言葉ではないが好きになれない。なぜそう感じるのか。この本を読んで納得。私は個々人の事情が違うことを受け入れるのは賛成だし、正直面倒で何ら介入せず放置することもあるが、それを一言で正当化する姿勢は味気なく虚しい。世の中には身近な人づきあいを「コスパ」で選ぶ人もいるらしいが、どこからを受け入れがたい迷惑と捉えるのか。考え出したら迷路にはまり込む。
Posted by ブクログ
「人それぞれ」というのは多様性を認める言葉である反面、対立を避けるあまり他人に対して無関心になったり無難な関係しか築けなくなってしまうことにも繋がる。
ほんとにその通り。
じゃあ深い対話を通じて自分と違う意見の人とも分かり合うためにはどうしたらいいかというと、そもそも人とのつながりに対する期待値を下げる必要があるとのこと。
ちょっと消極的なような印象もあるけど、確かに私も自分にとってプラスだと感じる人間関係だけを求め過ぎているのかもなぁと感じた。
もっと気の合う友達が欲しい、とはいえそんなに気の合う人なんてなかなか出会えない、出会えたとしても深い話ができるような関係性を築くのには時間がかかるし億劫だなぁ...。
これって裏を返せば、「信頼できる友達を時間もコストもかけずに見つけたい」ということになる。
うん、我ながらこんな考えの人とは友達になりたくないかも笑
人間関係っていうのは良い出会いもあれば嫌な思いをすることもある。
「SNSで気の合う人に出会えないかな~」なんて面倒くさがってないで、もっと足掻くべきなんだろうなぁ。