あらすじ
採集狩猟を中心とした縄文時代から、農耕を営み文明化や国家の形成が進む弥生時代へ。一般に日本の歴史の大きな分水嶺がここにあるとされてきた。では、この対照的な二つの時代は実際にはどのようなものだったのか。縄文と弥生の文化を専門とする第一人者が、最新の研究成果に基づき、農耕、漁撈、狩猟、通過儀礼、祖先祭祀、格差、ジェンダー、動物表現、土器という九つの視点から当時の生活を描き出す。さらに現代社会が抱える問題の起源を検証する。
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Posted by ブクログ
<目次>
第1部 経済活動の基本原理
第1章 縄文農耕と弥生農耕~レプリカ法で探る
第2章 二つの漁撈と海人集団の役割
第3章 山と里の狩猟民
第2部 ライフヒストリーと社会
第4章 通過儀礼の変容~耳飾り・抜歯・イレズミ
第5章 祖先祭祀の三つの形~縄文と弥生の死生観
第6章 不平等と政治の起源
第3部 文化の根源・こころの問題
第7章 土偶が映す先史のジェンダー~男女別分業と共同参画の起源
第8章 立体と平面~動物表現にみる世界観
第9章 縄文土器と弥生土器
終章 弥生のなかの縄文
<内容>
タイトルは縄文と弥生の対立のように見えるが、そうではなくて、弥生=大陸、縄文=原日本人 のような関係ではなく、実際には縄文文化の中に弥生文化が溶け込むように広がった、ということ。第6章の縄文=平等社会、ではないというのは、「そんなものなんだよね」という感想(トランスエガリタリアン社会、という難しい用語が出てくるが)。第7章の土偶の分析は面白かった。第4章の耳飾りやイレズミの話も。知っていることだけど、深掘りしてくれた、が率直な感想。