【感想・ネタバレ】イクメンの罠(新潮新書)のレビュー

あらすじ

鈍感、不真面目、頼りない――。ここ数十年、子ども達の父親に対するイメージは悪化し続けている。「父親は厳しかった」と答える割合は低下し、「よくほめられた」と答える子どもが増えているにもかかわらず、この結果。上辺だけを真似た欧米流子育ての導入は、日本の家族をどう変えたのか。イクメンブームが加速する中、教育心理学者である著者が、父性機能の低下と自立できない子どもの増加に警鐘を鳴らす!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

当たり前のことしか書いてなくて、目新しい情報はなかったから★3つにしたけど、よく考えたら、自分がどうもこの著者が好きで共感することが多いから、気づかないうちに何冊も読んでるからで、目新しくないのはしょうがないな(笑)。
榎本博明氏は他の著書でも、日本の教育が、日本の社会のありようや文化的背景を無視して、なんでも欧米の真似をしてきたことの弊害を訴えていた。ほめて育てるとか、叱らない子育てとか、そういう流行りの教育の間違いを指摘されていた。
本書では、最近もてはやされる「イクメン」という言葉に踊らされて、父親が本来果たすべき父親の役割を忘れ、母親的になることの間違いを指摘。この内容もとても納得できた。
テーマが「イクメン」なので、おのずと自分の夫のことを考えながら読んだけど、榎本氏の考えでいくとうちの夫はなかなか良い線いってる!(良い父親!)と思った。(ノロケですいません)。
子どもが赤ちゃんのときは、お腹を満たしてあげ、おしっこなどの世話をして、あたたかく安全な環境を作ってあげることが第一なのだから、もちろん母親と父親が同じ役割を担い、子どもを守り育てれば良い。
しかし3歳を過ぎたら、父性的な関わりが非常に重要なのだ。厳しい父親的な存在が、子どもの前に壁として立ちふさがることが必要なのだ。
今の世の中、「母親らしく」「父親らしく」などと言いにくい風潮だが、もちろん母親が父性的な壁になることがあっても良いし、父親が母性的な役割を果たす家庭があっても良いだろう。
うちの夫は子供が小さいとき、体を使って本当によく遊んであげていたし、子どもに信頼されている。その上で、子どもたちが小学生になった今は、時にはとても厳しいし、片付けずにだらだらしていると突然大声で怒ったりする。子どもたちはその時はふてくされた様子を見せるが、一応言ううことを聞いて片付けるし、父親が厳しいからと言って嫌ったりはしない。やっぱりしばらくすれば甘えて、抱きついて、休日には遊んでほしいとせがむ。

非常に共感したことを記録↓
今の子どもが自己コントロール能力が低いからと言って、そんな子供に合わせて、先生が優しくなって、授業を楽しくしてあげたところで、子どもの問題の解決にはならない。その通りだ!
父親は父親らしくあるべきだ、などという性別によって役割を固定化することが否定されがちだが、「そもそも文化的存在である人間は広い意味での役割の束として生きているのであり、役割を脱ぎすてた本当の自分などない」。
文化的存在である人間は役割の束として生きている!すごく納得。
多くの人が、そのことがわかっていない。分かろうとしないし、個人主義になり、役割を押しつけられることを拒否し、わがままになっていると思う。
組織に属さず、自由に生きているように見える人だって、社会の中での役割を担ってこそ認められるのであって、完全に社会の中で自由で、何の役割も担わないなんてことはないはずだ。

最後に、父親として子どもを導くヒントが8つ紹介してあったが、当たり前のことすぎて、「え?それでいいの?」と思った。我が家ではこの8つはきちんとできているように思う。
逆に、こんな当たり前のことができていない家が多すぎて、こんな本が出版されるのか…と思うと怖かったりはする。
1挨拶をする、お礼を言う
2我慢をする
3簡単にあきらめない、粘る
4相手の気持ちを想像する習慣をつける
5いろんな友達とあそぶこと
6結果をきにせず挑戦すること
7読書習慣を身につけ、好奇心をもつ
8働く姿を見る、知ること
2の「我慢をする」は、けっこう欲しがるおもちゃや本を買い与えすぎて、我慢させてないような気もするんだけど、親が共働きで普段我慢させていることが多いので、たまにはいいかな、と思ったりもする。4,5は、近所にいろんな友達がいて、トラブルも多いので、その都度、〇〇ちゃんがかわいそうじゃない?などと話し合い、家族で悩みながら近所づきあいしてきて、それも良い経験かなと思ったりする。
6は、上の子はけっこう失敗をおそれて最初からやらないことが多いように見えるけど、下の子はかなりチャレンジャーで面白い。上の子も学校ではそれなりに苦手なこともやっているようなので良しとする。
8は、私自身の仕事が忙しくて、子どもたちをけっこう犠牲にしてしまっていることも多いけど、私(ともちろん夫)が、仕事に真剣に向き合っている姿を、これからも見せていきたいと思う。

イクメンがテーマだけど、働く母として役に立つことも多かったな。

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2022年01月30日

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