【感想・ネタバレ】緑の天幕のレビュー

あらすじ

いつも文学だけが拠りどころだった――。スターリンが死んだ一九五〇年代初めに出会い、ソ連崩壊までの激動の時代を駆け抜けた三人の幼なじみを描く群像劇。近年ではノーベル文学賞候補にも目される女性作家が、名もなき人々の成長のドラマを描き、強大なシステムに飲み込まれることに抗する精神を謳いあげた新たな代表作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

一貫して非常に面白い小説でした。
文学や音楽、絵画が多数引用され、文化的な豊かさを感じました。
シェンゲリ先生が、”人間がどのような通過儀礼を持ってして文化的で道徳的な成熟した人間になるのか”と考察しているところは私も興味あるテーマだったので、カーチャとの結婚後のシェンゲリ先生があまり登場せず語られることがなかったのは少し残念でした。
それでも登場人物の一人一人が政治的な正しさや自身の幸福を追求している姿が鮮やかで、この本を手に取ったのは偶然でしたが、読むことができて本当に良かったです。

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2023年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「おまえバカじゃないのか?これ以上悪くなんかなりようがないだろ!」(P9)

1953年スターリンの死から始まって、1996年1月28日までの人間模様が描かれる。

主要な登場人物は3人の男子、イリヤ、サーシャ、ミーハ。彼らは良き先生に出会い成長していく。彼らを軸に蜘蛛の巣のように張り巡らされた人間関係が描かれる。物語は時計の針が行きつ戻りつ、閉じられた物語に違う扉が取り付けられまた開かれる。彼らの若さゆえの情熱から生じる軽率な行動は希望と絶望をもたらす。

誰がどうなるのか、というより「この国は、歴史は、どうなってしまうのだろうか?」という、時代のうねりを感じつつ読むことができました。

ロシアでは2010年発行。こういった物語が今も書かれるということ自体に感動を覚えます。そしてこの物語は、あの土地でしか生まれないのだろうとも思います。

ウリツカヤの未訳作品も翻訳されることを期待しています。

<後書きから>
「訳者あとがき」…ウリツカヤは1943年生まれ。理系出身。サミズダートの非合法文学を読んでいたことが発覚、1970年に解雇。その後文筆業へ。

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2022年03月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

辞書みたいに厚い本だった。
GWの課題にした。

3にんの幼馴染と3にんの女性。
ソヴィエトからロシアへ。
時間の流れとともに物語が進行していく。

一生ってわけではなかった。
オーリャとイリヤが中心だったような。
非合法文書に,関わるとはどういうことだったのか。
反体制派の本を今は出版してもいい時代になったのか。
先生の,影響で,子供たちが文学を志って、すこしいいな、とおもった。ミーハは、悲しい結果になった。間違った本。作者とナボコフも話題でてきたー。

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2022年05月08日

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