あらすじ
1967年生まれの理夏。アパレル業界に憧れて上京した19歳の頃バイトをしていたパン屋さん「アンゼリカ」が閉店すると聞き、30年ぶりに下北沢を訪れた。コーポ服部で楽しくすごしたバイト仲間の秋子、元住人・ちはるとは、秋子に恋人ができてからすれ違いが生まれ、バラバラになってしまったままで……。下北沢に実在した人気パン店「アンゼリカ」を舞台に、青春の輝きと苦みを知る大人のための物語。
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Posted by ブクログ
30年前の若かりし頃の自分と今の自分を比較する。
若い頃は目の前に見えるモノしか見えていない。
お金もないしお腹もすぐに減るし世の中を巧く渡る知識もない。
プライドだけは高く劣等感にいつも苛まれている。いつかきっと、と夢の明かりを常に灯しながら。
同年代の女友達と共に過ごしたオンボロアパートでの暮らしぶりは優雅とは程遠い。風呂もないしトイレは共同。家具だって拾ったものだし食べものだってありあわせ。大人になった今なら絶対にそんな暮らしに戻れない。
けれど巧くいかず落ち込んだ時は共に憂さを晴らし、悲しい時には共に泣き嬉しい時は共に笑う。相手に非があれば注意もするし叱りもする。
そんな若さが羨ましい。
あれから30年。
いいことばかりでもない。後悔もたくさんある。
けれどあの頃の記憶があるから今がある。
あの頃の思い出があるからがんばれる。
自身の”あの頃”にいつまでも浸っていたくなる物語だった。
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アンゼリカ、私もみそパン大好きでした。
この登場人物たちのどっぷり世代です。
懐かしいお店の名前や駅前の雰囲気が思い出されます。
下北沢好きにはたまらない本ですね。
内容的にも、ここに暮らしていた人達ってきっとこうだったんだろうな~って。
いろんな人たちの思い出の場所ですよね。
アンゼリカの雰囲気も楽しめたし、大好きな本になりました。
確かにパン屋さんって人を幸せにする場所ですね。
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就活のため、初めて東京に行き、下北沢に観光しに行った。帰りに神保町に寄り見つけた本である。タイトルに惹かれ、即購入。
何気ない過去の日常。友達との出会い、交流そして疎遠。そのような日常が楽しかったと思える日はいつか来る。なのでそのような思い出を作っていきたいなと強く感じた。
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下北のパン屋「アンゼリカ」。かつてそこでバイトしていた二人。30年ぶりの再会。あの懐かしく、若く、無責任だった、けど、それなりに一所懸命に生きていた日々を思い出す。
タイトル通り、ノスタルジーの塊です。私も下北に通っていたクチなので、とても懐かしいです。今の、変わってしまった駅前は、下北とは思えません。すみません、オヤジの愚痴です。
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初読み作家さん。
まさに年齢的にドンピシャなので、色々思い出しながら読みました。
寮生活や寮を出た友だちのアパートに泊まりに行ったり、くだらないことで笑って怒って落ち込んで。
銭湯も行ったし、酷いことも人に発してた。
あれからずいぶん経つけど、あの頃の友だちとはほとんど疎遠になって、それでもいい思い出だなぁと感じています。
読んで良かった。
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1980年代、バブル真っ只中の下北沢が舞台にした女3人の友情物語。思い出したのが新橋烏森口青春篇。
不器用で危うい暮らし。収入は不安定で乏しく、食事も睡眠も不規則不安定、横行する詐欺まがいに引っかかり、男に騙され、それでも夢と若さと体力で毎日を乗り切っていく。
全力でぶつかった若い日の日々は、実となり傷となり自分の心身に刻み込まれ、栄養や味わいになって自分を形成していくんだなと。そこには効率とか数値化とかではないものがあって、俺たちにはそういうものも絶対必要なんだなと思えた。
歳をとってしまった今では、ノスタルジーを味わうしかないのかも知れないが、俺たちにもギラギラでフワフワで危うく輝いて生きた時代はあってんな
Posted by ブクログ
下北沢が、最も活気があったと思われる昭和の終わり頃。当時、下北沢で、女性専用のコーポ、と言えば聞こえはいいが、安下宿に住んでいた理夏は、バイト先だったパン屋が閉店するということで、30年振りに下北沢を訪れた。そして思い出す当時のこと。これは、理夏と同年代、同じく北海道出身で、服飾専門学校に通っていた神田さん自身の経験も反映されているのだろうか。かつて下北沢にアンゼリカという有名なパン屋があって、2017年に閉店になったというのは事実のよう。コーポに集う個性の強い友人たちの思い出が、楽しく、そしてほろ苦い。
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何て不器用な人たち!
理夏も秋子もちはるも、
どの人とも、私は友達にはなれんなあ。
でも、ちょっと離れたところから、
不器用な友情をみていたかった、いつまでも。
そんなこと無理だとわかっていても。
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中島みゆきが住んでいると噂の下北沢に移り住んだ理夏はボロアパートで出会った2人と毎日大騒ぎで楽しく暮らしていたが些細なことがきっかけですれ違ってしまう。30年後にバイトしていたパン屋さんの閉店をきっかけに再会。真相が明らかになり苦い青春を思い出す。
Posted by ブクログ
「イエローポリ袋」「下北スイート」「カレーパンサイドライン」「しあわせパン工房」
「みそパンワイド」「かたばみの葉」「謎のチカラパン」
7話収録の連作短編集で実在した人気パン屋『アンゼリカ』を舞台に描いた作品。
80年代の下北沢を共に過ごした、ちはる・理夏・秋子。その頃の時代背景を盛り込みながら三人の女性の若さ故の青さが描かれる。
時と場所は違えども自分の過去を想いノスタルジーに浸る事が出来た。
世間知らずのせいで騙されたり不用意な発言で後悔したりきっと誰もが経験して来た事。
青春時代の煌めきとほろ苦さを感じる一冊。