あらすじ
完全密室の七四式戦車(ナナヨン)内で、死体が見つかった――。
自衛隊内の犯罪の捜査および被疑者の逮捕を行なう部署である中央警務隊。
隊長・大曽根より、突然の命を受けた甲斐和美三等陸尉は、富士駐屯地に向かい、
第百二十八地区警務隊の捜査に協力することになった。
それは単なる自殺と思われた事件だったが、内部からの告発により、殺人の可能性があるという……。
甲斐和美は富士駐屯地に急行し、自衛隊組織の暗部に迫っていく――。
『このミステリーがすごい! 』大賞優秀賞受賞作家が贈る、渾身の自衛隊ミステリー!
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Posted by ブクログ
前作の『深山の桜』で少しだけ登場する甲斐が主人公です。前作ではいまどきの若者風に描かれていたのは多分作者の狙いで、今作では一転、人間としての深み、重厚な過去が描かれます。前作から引き続き登場する人物や共通のセリフ回し、小道具も嬉しいところです。
前半は戦車内の描写や、過去と現在を行き来するので、ややとっつきにくいところもありますが、後半に向けての伏線があちこちに張られており、後半にはそれらを一気に回収しながら、自衛隊ものではあり得ないようなアクションが待っています。
そしてこれも前作同様、最後に驚くような種明かしと共に大きな感動が待っています。