あらすじ
全国各地に残る数多くの伝説,そして彼の名前に由来する「判官びいき」という言葉--このように今なお高い人気をもち,日本史上最も有名な英雄となっている源義経とはいったいどういう人物だったのか? 義経に関わる文書・記録や物語類などを広く探索して,単なる「悲劇のヒーロー」ではないその実像と魅力の秘密に迫る.
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Posted by ブクログ
源義経というメジャーな人物を政治史にあてながら記載された著作。
中世の自力救済という考え方、主人と郎党という考え方の中で、義経は別の考え方を模索したのだろうか。
刊行されて、16年たった著作で、刊行された時よりも義経に対する研究は進んでいるとは思うが、関心があれば是非読んでもらいたい。
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[ 内容 ]
全国各地に残る数多くの伝説、そして彼の名前に由来する「判官びいき」という言葉―このように今なお高い人気をもち、日本史上最も有名な英雄となっている源義経とはいったいどういう人物だったのか?
義経に関わる文書・記録や物語類などを広く探索して、単なる「悲劇のヒーロー」ではないその実像と魅力の秘密に迫る。
[ 目次 ]
1 幼きころ―史料の性格を考える
2 童の時代―『平治物語』の世界
3 英雄への階梯―『義経記』の世界
4 英雄時代―『吾妻鏡』の世界
5 義経の力―文書から探る
6 合戦の英雄―合戦記と物語
7 頼朝との対立―書状の役割
8 落日の義経―宣旨と院宣
9 静の物語―『吾妻鏡』と『玉葉』
10 奥州の世界へ―記録と伝説
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
源義経の実像をえがくことを中心としつつ、伝説のなかの義経像についても説明をおこなっている本です。
著者は「はじめに」で、「よるべき史料が少ないというよりも、逆に多くあって、しかもいずれも雄弁」であるからこそ、かえって義経の実像を知ることがむずかしいと述べています。そのうえで、史料の批判をおこなって実像のみをとり出すのではなく、『義経記』に代表されるさまざまな文学作品にえがかれることになった義経像にも目を向け、「義経に託された、その創作された時代の思いを探る」ことを同時に目標として掲げています。
こうした著者のもくろみは興味深く思われたのですが、基本的には義経の「実像」を明らかにすることに、本書の叙述の軸足が置かれているといってよいと思います。歴史学者としては、こうした態度を大きく越え出ることはむずかしいのかもしれませんが、義経像の変遷とそれをはぐくんだ受け手についても、もうすこしくわしく紹介してほしかったという思いがあります。