あらすじ
俺が笑うと、みんながうっとりする。……きみもだ
ギムナジウムに潜入した諜報員のミラン。
仲間との密会をルームメイトのティモシーに知られ――
これはつまり、採用試験だ――諜報部隊に育てられたミランは、初任務に臨む。舞台は少年たちが寝食を共にする寄宿学校。同室のティモシーは、どうやら同性も抱くらしく…。きみは、ぼくに下心があるの? ――なりゆきで彼と関係することになったミランは、情報通の男を利用してやるつもりが深みにはまり…。そして、用務員として潜入していた仲間が何者かに襲われる。ミランはティモシーと共に学園に巣くう闇に挑み、真相へ近づくけれど…。
紙書籍発売時、フェア用に書き下ろされたSSを収録した特別版!
感情タグBEST3
瑞々しい世界。
ミランにとって今回の任務は入社試験のようなもの。失敗できない。おそらく誰もが着面する、どれも身の竦むような緊張の連続だと思いました。性的な細やかな接触にいちいち動揺しながら対応し、はじめての仕事での失態に我を失いそうになる。濃やかな揺れる思いがよくわかります。諜報員候補のミランと魅惑的なティモシー。二人の世界のイメージは濃い緑の葉の瑞々しい夏薔薇の庭です。二人の物語、もっと読みたいです。事件はキツイ面もありますが先生の作品にはハッとするような言葉が隠されているようです。それを探しにまた読みます。