あらすじ
「少しでも将来の足しになれば……」
軽い気持ちで友人の誘いに乗った
「かぼちゃの馬車」は、地獄の一丁目行きだった――。
2億円の借金を背負わされた一被害者の、2年に渡る苦しみと闘いの日々を描くドキュメント!
2018年、スルガ銀行による巨額の不正融資事件が発覚。
時の金融庁長官に「地方銀行の雄」とまで評価されたスルガ銀行だったが、
シェアハウス不正融資事件の元凶として巨大な壁となり、
被害者たちには長く苦しい闘いの日々が待っていた。
被害者の一人である著者は、離婚、自殺まで考えるほど追い詰められながらも、
徐々に同志を増やし、被害者同盟を結成。社会派弁護士らとの出会いにより、
一人では到底勝ち目のない闘いをチーム戦で挑み、
ついに累積1570億円の債権放棄を勝ち取ったのだ。
被害者だからこそ知り得た詐欺事件の裏側を、実体験をもとに克明に描き出した本書は、
誰の身にも迫りうる詐欺被害への注意を喚起する、必読の一冊である。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
# 吐き気のする邪悪との戦い、その記録
## 面白かったところ
- 現代における巨悪懲罰の生々しい実話が、とても身に沁みた
- 抽象化できそうな怪しげな描写や流れが勉強になった
## 微妙だったところ
特になし
## 感想
スルガ銀行の事件を一言で片付けてしまえば、「自己責任」といえてしまうのかも知れない。巻末にも書いてあったが、自己責任でリスクを取ることと、詐欺は全く異なる。故に、当事件は自己責任という言葉が独り歩きしていいような話ではない。と。
何も知らぬ無知なるものを利用し、自分の利益だけのために利用するような吐き気を催す邪悪と戦う時、一筋縄では行かない。
著者がとったように、組織を立ち上げ、チームを割り振って集団で立ち向かうことが最も効果的そうだ。
人員の濃縮還元を繰り返し、組織の目的が個人に揺れないように決断を下す描写も何度もあった。
ノンフィクションであるし我々には関係なさそうな話であるが、目的達成を完遂するための組織運営的な文脈で読むと、とてもおもしろかった。
悪質すぎる
普段自分たちが銀行を利用することは多いが、その銀行自体がこのようなことができるなら世の中のすべての人が簡単に銀行の手で悲惨な目に遭わされることがよくわかった。本当に怖い事件だし、まだ解決していない人がいっぱいいるなら、その全員を解決しないと終わらないと思う。
Posted by ブクログ
ニュースでも時々取り上げられていたかぼちゃの馬車事件。私の居住地域でも何個かかぼちゃの馬車物件があったので関心を持ってみていたが、最終的に被害者側の全面的勝訴で借金は取り消しで終わっていたことは知らなかった。令和の徳政令と言われているらしい。ここで活躍したのがリーダーだった著者。そのリーダーとしての行動力は素晴らしい。
が、やはりよくわからないのはこんなに知性と行動力をもった方がなんでこんなインチキに騙されたかということである。将来のお金の不安があったからということだが、普通に考えれば運営会社の倒産リスクは想定できるはずだが...。頭金もなにもなしで投資にサインするだけで月々何十万ものお金が入ってくるなどといううまい話がころがっているはずないというのが常識だと思うが...。そのあたりの契約までの思考はあまり詳しく書かれておらずよくわからなかった。そこが一番知りたいところであるし、他の人が同じような詐欺に騙されないためにも重要なところだと思う。
Posted by ブクログ
かぼちゃの馬車事件にひっかかった人達はなんとお馬鹿さんなんだろうと思っていたけど、この本を読んで考えを改めた。
なんでこんなに優秀な人達が騙されてしまったのだろうと不思議に思う。
大物弁護士とタッグを組めたことは幸運だったと思うが、この人達が勝利したのは弁護士だけの力だけではない。
被害者達を束ねて組織化し、デモや株主総会へ乗り込むなどの戦略を練って実行。
本業のサラリーマンをこなしながらこれほどのことを短期間でしていのかと思うと凄い。
今までの詐欺事件と異なるのは、被害者達が優秀なサラリーマンであったことと、熱心で優秀な大物弁護士と巡り会えたこと。
そもそもこの詐欺スキームは、高属性な人達をターゲットにしたものだから、分母が優秀な人達なのであって、その中でも更に優秀で熱意のある人達が被害者の会を立ち上げたから、ここまでの結果を出すことが出来たのだと思う。
リーダーの人は詐欺前の状態に戻れたのに、仕事を辞めて消費者問題、投資詐欺問題に取り組むNPOを立ち上げたというから只者ではない。