あらすじ
世界的パンデミックのなか、東京五輪・パラリンピックが強行された。1年延期されたものの新型コロナの猛威は止まる所をしらず医療体制は逼迫。再延期や中止を求める声も高まるなかでの開催だった。しかし、政府が望む支持率のアップにはつながらず、国民軽視、あからさまな既得権益層の利益優先の姿勢が明らかになった。さらにこの華やかな祭典を動かしてきた巨大広告会社「電通」による、世論誘導やメディア支配も浮き彫りになった。本書はこの問題を長年追ってきた第一人者による東京オリンピック総括である。
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Posted by ブクログ
著者は「我が国は3度敗戦を経験した」と述べている。
それは、太平洋戦争の敗戦(1945年)、東電福島第一原発の事故(2011年)、そして今回のコロナ禍での東京五輪強行開催(2021年)である。人的被害など比較にならない点もあるが、経済損失の大きさや、いずれもエリート層の暴走やメディアの翼賛報道、多数の一般の人々の黙認・盲従があったこと等、共通点が多いと思う。
この「3度の敗戦」を済んでしまったこととせず、振り返りを冷静に行うことで責任の所在を明確にし、著者が指摘する「桁外れの無責任さ」を追及し続けていくことは必要であると思う。