あらすじ
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2019年発行の『キリン解剖記』は、キリン研究者の著者による、出会いと発見の物語。小学生の皆さんにも楽しんでいただけるよう、漢字にふりがなをふり、難しい言葉に解説を加えました。キリンのひみつ、研究者のお仕事を紹介するビジュアルページと、動物園関係者との対談を、新たに掲載しています。
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Posted by ブクログ
読んでいてワクワクすると共に、相当の苦労もしただろうが、それでもこうやって機会に恵まれて仕事として成り立っている生き方が凄く羨ましい。
賢い人間はこうやって選択肢を与えられて、そこも上手くいけば研究者へはそうやって繋がっていくのかという解像度が増した。
キリンの8番目の骨の存在を解剖して発見し、発表したのが今作一番の盛り上がり。
冒頭のキリンと人間の骨を比較してこんなにも似てるんだよという話や、3回生の時にその元ネタとなる論文が遠藤教授から送られてきた時は読んでみてもあまりよく分からなかったのが、勉強しまくって4回生になって改めて読んでみると面白いと感じるほど内容が分かった、論文は知識があってこそ読めるものであり、読めれば面白いものである、という話が面白かった。
Posted by ブクログ
このキリンの本は『解剖記』なのだ。つまり、キリンについて書いてはあるがほとんどが『解剖』の話。さらに言うなら、この文章から感じるのは『こんなすごい事を発見できた私の事を知って欲しい』という『私の紹介』に感じた。
キリンの事で分かるのは『偶蹄目キリン科に属する動物』『キリン科に属ずるのはオカピとキリンしかいない』『キリンは4種類。日本の動物園にいるのはほとんどがそのうちの2種類』
長々と書かれている『キリンの解剖』に至っては、『著者は最初は訳も分からず解体した』『著者は初めての解剖は知識がなくて何が何だか分からなかった』『著者はキリンの第一胸椎が動く事を発見した』という……著者の話満載。
先にコウモリの話を読んだために比べてしまうのだが、それにしても『キリンが好き』よりも先に『頑張っている自分が好き』が前面に出過ぎている。
コウモリの本が『コウモリについていろんな事を知る事が出来た』という満足感で終わったのに対して、キリンの本は『子供に夢を持ってもらうための本だったのか』という感想で終わった。
『ジュニア版』となっているので、所々『好きを続けていれば、いつか仕事になる』というような事が書いてある。
確かに『好き』は大切だと思うし、子供に『好きを大切に』というのは分かる。が、大半の人間は大人にその『好き』を散々踏みつけられて現実を知って諦める。
何度も『チャレンジし続ける』というのは、本当の馬鹿か、天才か、現実が見えていないかのどれかだ。
そうは言っても、子供に限らず大人にだって『好き』は大切だとは思う。キリンの話じゃないじゃないか……という感想で終わるのかなと思っていた。
しかし、最後で『博物館に根付く「3つの無」という理念』と言う言葉が目に留まった。
【無目的、無制限、無計画】に標本を作り続けるという話。
「何の役に立つのか」は二の次で100年後に役立つかもしれないと、作り続けるらしい。
なるほどなと思った。目的も制限も計画もなしに、雑食のように知識や経験を積んでいつか『目的の仕事に就いているかもしれない』というこの本の趣旨とも合う。そして、忘れがちなその3つの無が大人にも必要なのかもしれないと思った。けど、良いと思ったのはそこだけ。
そして、悪い大人な私は色々とモヤッとしたものが拭えなかった。
動物園でキリンを見ても、死んだら東京近郊で解剖されるんだな……と思いながら、これから見てしまいそうである。そんな本だった。ついでに解剖されるのは様々な動物という事なので、動物園や水族館に行ったら次からは『これが死んだら解剖……』と思いながら見る事になりそうだ。
解剖自体には嫌悪も何もないが、そんな気持ちで動物を見たいとは思わない。
子供に夢を持たせるにはいい話。だけど、内容が子どもには難しい気がする。研究者の努力の話として読ませるものなのかもしれない。