あらすじ
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2019年発行の『キリン解剖記』は、キリン研究者の著者による、出会いと発見の物語。小学生の皆さんにも楽しんでいただけるよう、漢字にふりがなをふり、難しい言葉に解説を加えました。キリンのひみつ、研究者のお仕事を紹介するビジュアルページと、動物園関係者との対談を、新たに掲載しています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「キリンを研究したい」と思いついたものの、それがどんな学問分野を専攻すればできるのかすら分からなかった大学1年生の著者が、解剖学と出会う。いざキリンを研究しようと思ったものの、研究テーマが見つからなかった著者が、様々な人との出会い、研究テーマを見つけ、それを深めて成長していく様がドキュメンタリーのように読める。
ほんの一例ではあるが、なるほど、理系の「研究者」って、こんなことをしているのか、と面白く読んだ。
ページの下段には専門用語だけでなく、「弄ぶ」「うなじ」「礎」「苦渋の決断」のように、小中学生程度がつまずきそうな語句の意味も解説してあり、親切。また、「動物にかかわる仕事」の対談も挟まれており、参考になる。
Posted by ブクログ
おもしろかった
キリンは四種類に分けられることが分かったのはつい最近の2016年
ほ乳類の頚椎(首の骨)はキホンテキにみんな7個で同じ
解体と解剖は違うこと
解剖は名前を特定することが目的化してはいけない
構造を理解することが大事
キリンの角は三個ある
五個という説もあるが後ろの2個は頭の骨が変形したもので角ではない
博物館には3つの無という理念がある
無目的、無制限、無計画に標本を集めるということ
いつ誰が必要とする分からないから
Posted by ブクログ
読んでいてワクワクすると共に、相当の苦労もしただろうが、それでもこうやって機会に恵まれて仕事として成り立っている生き方が凄く羨ましい。
賢い人間はこうやって選択肢を与えられて、そこも上手くいけば研究者へはそうやって繋がっていくのかという解像度が増した。
キリンの8番目の骨の存在を解剖して発見し、発表したのが今作一番の盛り上がり。
冒頭のキリンと人間の骨を比較してこんなにも似てるんだよという話や、3回生の時にその元ネタとなる論文が遠藤教授から送られてきた時は読んでみてもあまりよく分からなかったのが、勉強しまくって4回生になって改めて読んでみると面白いと感じるほど内容が分かった、論文は知識があってこそ読めるものであり、読めれば面白いものである、という話が面白かった。
Posted by ブクログ
このキリンの本は『解剖記』なのだ。つまり、キリンについて書いてはあるがほとんどが『解剖』の話。さらに言うなら、この文章から感じるのは『こんなすごい事を発見できた私の事を知って欲しい』という『私の紹介』に感じた。
キリンの事で分かるのは『偶蹄目キリン科に属する動物』『キリン科に属ずるのはオカピとキリンしかいない』『キリンは4種類。日本の動物園にいるのはほとんどがそのうちの2種類』
長々と書かれている『キリンの解剖』に至っては、『著者は最初は訳も分からず解体した』『著者は初めての解剖は知識がなくて何が何だか分からなかった』『著者はキリンの第一胸椎が動く事を発見した』という……著者の話満載。
先にコウモリの話を読んだために比べてしまうのだが、それにしても『キリンが好き』よりも先に『頑張っている自分が好き』が前面に出過ぎている。
コウモリの本が『コウモリについていろんな事を知る事が出来た』という満足感で終わったのに対して、キリンの本は『子供に夢を持ってもらうための本だったのか』という感想で終わった。
『ジュニア版』となっているので、所々『好きを続けていれば、いつか仕事になる』というような事が書いてある。
確かに『好き』は大切だと思うし、子供に『好きを大切に』というのは分かる。が、大半の人間は大人にその『好き』を散々踏みつけられて現実を知って諦める。
何度も『チャレンジし続ける』というのは、本当の馬鹿か、天才か、現実が見えていないかのどれかだ。
そうは言っても、子供に限らず大人にだって『好き』は大切だとは思う。キリンの話じゃないじゃないか……という感想で終わるのかなと思っていた。
しかし、最後で『博物館に根付く「3つの無」という理念』と言う言葉が目に留まった。
【無目的、無制限、無計画】に標本を作り続けるという話。
「何の役に立つのか」は二の次で100年後に役立つかもしれないと、作り続けるらしい。
なるほどなと思った。目的も制限も計画もなしに、雑食のように知識や経験を積んでいつか『目的の仕事に就いているかもしれない』というこの本の趣旨とも合う。そして、忘れがちなその3つの無が大人にも必要なのかもしれないと思った。けど、良いと思ったのはそこだけ。
そして、悪い大人な私は色々とモヤッとしたものが拭えなかった。
動物園でキリンを見ても、死んだら東京近郊で解剖されるんだな……と思いながら、これから見てしまいそうである。そんな本だった。ついでに解剖されるのは様々な動物という事なので、動物園や水族館に行ったら次からは『これが死んだら解剖……』と思いながら見る事になりそうだ。
解剖自体には嫌悪も何もないが、そんな気持ちで動物を見たいとは思わない。
子供に夢を持たせるにはいい話。だけど、内容が子どもには難しい気がする。研究者の努力の話として読ませるものなのかもしれない。
Posted by ブクログ
キリンの首の骨が、1本多くて、8個ある。
って発見したところで、私たちにどんなメリットが?
その発見の、どこが素晴らしいの??
と思って読んでいたけど、すごかったー!!!
研究って、無駄のようで無意味なようで。
でも、いつ、どこで、誰が必要かわからない。
100年先に、必要になるのかもしれない。
今の価値観で、必要かどうか決めてはいけないんだ。
研究者って、すごいなぁ…
キリンの解体と解剖、ワクワクしました!
Posted by ブクログ
『#キリン解剖記』
ほぼ日書評 Day577
表紙イメージを見ると子供向け絵本のようだが、タイトルにはしっかり「解剖」とあって、はたしてどんな内容なのか予想の難しい本。
(なお、タイトルに「ジュニア版」とあるが、内容は変えず振り仮名と、少し難しい用語に解説をつけた内容としている)
ということで、結局、一気読みすることになった本書は、平成元年生まれの若い研究者が、子供の頃から大好きだったキリンの研究にハマって、常識破りの大発見をするまでの流れを、軽やかなエッセイのような読みやすい文体で、しかしながら、しっかり科学的な記述は抜け漏れなく行うという、この手の入門書の書き方のお手本のよう。
しかしながら、キリン大好き少女を待つ運命は、ある意味、皮肉だ。
著者の専門は先にタイトルでも触れた通り「解剖学」、ゆえにキリンの「ご遺体」なしには実地研究ができない。
大好きなキリンの「献体」を無駄にしないためにも、いざ年間数回の「キリン死亡」の知らせが来ると大変だ。なにより、解剖が最優先。アフリカの生き物だからか、年末年始に死ぬことが多い。忘年会や新年会のお誘いには「キリンが死ななかったら行くね」と答えるという冗談のような会話が交わされるという。
著者による大発見の内容はぜひ本書をご覧いただくとして、ぷちトリビア(死後か?)が色々。
キリンは手足が長いので、梃子の原理を使えば(女性の)著者でも手足を少し持ち上げて、ひっくり返すこともできる。
キリンの首(頭付き)は130〜180kg、元横綱の白鵬と同じくらい。キリンのオスはネッキングという首をぶつけ合う闘争行動をおこなうが、白鵬同士の立ち合いのようなもの。よく首が折れない…と感心する。
最近はまた新たな研究テーマを見出したとのことなので、ぜひ続編を読んでみたいものである。