【感想・ネタバレ】ラジオ報道の現場から 声を上げる、声を届けるのレビュー

あらすじ

「面白おかしくしたいから聞いているんだろ」
「いや、何が問題かと思っているかを聞きたいから、聞いているんです」
2021年2月4日。
女性蔑視発言に関する謝罪会見で森喜朗氏に迫った澤田記者の「更問い」は、世論のうねりを引き起こし、社会を動かすきっかけとなった。
特別なことをしたわけではない。
おかしいと思ったことに声を上げ、真意を確かめ、その声を放送にのせる。
人数は絶滅危惧種並み、取材予算もテレビや新聞と比べてはるかに少ない「ラジオ記者」。
マイク一本で伝えられることは限られているのか? そんなことはない。
逆境をものともせず日々取材に奔走する記者から届いた、令和の時代のラジオ論。

TBSラジオ「Session」「アシタノカレッジ」など、
ニュースを日々声で伝える #澤田記者、初の著書!

澤田さんの声は、
1人の「記者」あるいは職業人である前に
まず1人の個人として、1人の父として、
そしてこの国に生きる市民として
精一杯の叫びを届けているように感じます。
だからこそ、どんな権威にも屈せず、
私たちの声を届ける力があると思うのです。
――辻愛沙子さん(クリエイティブディレクター)


【もくじ】

■ プロローグ

■ 第一章 自分にとってラジオとは
ラジオの原点
TBSラジオとの出会いは「アクセス」
TBSラジオへ
社内で新聞を読む日々
森本毅郎さんに学んだ、ニュースを複眼で見る力
「人脈を作ってこい!」……突然のテレビ出向
「オン日程」と「オフ取材」
「代表おろし」で出し抜かれ、そして出し抜き返す
男性記者、育休をとる
「サンデーモーニング」でテレビ番組の作り方を学ぶ
大人になって実感した得手不得手

■ 第二章 ラジオ記者とはどういう仕事か
ニュース番組ディレクターとして再出発
森友学園・籠池理事長の生インタビュー! ラジオでの発言が国会へ
「薬物報道ガイドラインを作ろう!」が変えた薬物報道
国会をもっと身近に、「国会論戦・珍プレー!好プレー!」
既存のニュース番組に対する受け手側の不満
ラジオ記者とは何者か?
ラジオ記者は説滅危惧種!?
〝非主流メディア〟だからこそできること
「パンケーキ懇談」に見るメディアと政治の距離

■ 第三章 森喜朗会見と東京オリンピック・パラリンピック報道
それは前日から始まった
会見場ではなく〝ぶら下がり〟
怒濤の十九分が始まった
元首相との対峙
あっけない幕切れ
会見に対する森氏、組織委員会の姿勢
電撃辞任、後任人事のゴタゴタ
Clubhouseでリスナーと作戦会議
準備万端で会見へ……のはずが
橋本会長の誕生、女性理事の就任、組織委員会のジェンダー平等
「声を上げる」大事さ
国民感情は無視! オリンピック・パラリンピック関係者取材

■ 第四章 国会はいかなる場所か――ニュースの現場を歩く
国会担当ラジオ記者は何をしているのか?
国会が好きすぎるラジオ記者
入れないなら裏側をしゃべる――ひとり記者の戦い方
映像では伝えられないニュースの一面を伝える
継続して伝える
永田町を飛び出し、チームで取り組む「新型コロナ取材」
ひとり記者、だけど「ひとり」じゃない
会見・囲み取材はチーム戦――更問いで言質をつかむ

■ 第五章 声を上げる、声を届ける――ラジオジャーナリズムはどこへ
経験の上に成り立つリアリティ
細部から本質を見る――東日本大震災取材
市町村によって被災の景色が変わる理由
内に向けて話すこと、外に向けて話すこと
東京から伝え続ける意味、演劇を通して福島に向き合う
ラジオは斜陽メディアなのか――始まった新たな取り組み
声を上げ続けること
顔の見えるメディアへ

■ あとがき

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Posted by ブクログ

ネタバレ

評価の前提として、TBSラジオを日ごろから聴いていること。
自分の負の要素も認識して書いているので、一定の信用はできるかと。

P10 ラジオはマスではない。
P30 配偶者を「ヨメ」でお叱り。わたしは、「主人」と呼ぶ人に違和感を感じます。
P74 ラジオ記者の地位が低い。記者はともかく、国政選挙の速報番組においての自民党総裁インタビューが、受けない→ラジオ各社まとめて代表で、というのが何回か続きました。岸田総裁は単独で受けましたけど。ただ、本文では言及なし。
P83- 森委員長(当時)の女性蔑視発言。オリンピックという組織を具現化した、いかにも言いそうな人が言いましたよね、という感じでした。女性というより、自分の意見の障害になるのを、このときはたまたま「女性」と言っただけだと思っています。それから、辞任させて勝ったみたいな気分に浸っていますけど、解任してこその組織じゃないんですかと。初期に同調した人たちも同罪でしょと。要は、オリンピック=戦争と考えるとしっくりとくるのです。
P121 大江麻理子さんは、現在というか当時もアナウンサーではありません。元ではありますけど。テレビ東京のアナウンサーのコーナーにお名前はありません。
テキストは本のとおりですが、私の感想だと、かなり怒っていておどろいたのをおぼえています。
P153 マチズモなんて言葉、はじめて知りました。ボーイズクラブがボーイズ・ラブに見えたのは、わたしです。
P154 戦後に女性参政権が認められたときの衆議院議員が39人だそうな。

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2022年03月04日

Posted by ブクログ

実を言うとラジオの国会担当記者が書いた本なんて難しそうで最後まで読み切る自信がなかった。
読み始めてみると政治の話だけでなく、自身の生い立ちやTBSラジオに入社してから新人時代の話、TBSテレビ・ラジオ局の内部事情、そして東日本大震災、東京オリンピックのときの話。飽きることなく最後まで読めました。
様々な経験をして今の澤田記者がいるのだなとあらためて認識した。

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2022年02月26日

Posted by ブクログ

TBSラジオの番組をよく聞いているが、その中でよく取材内容を伝えてくれるラジオ記者。
知らなかったが、ラジオ記者というのがいること自体が珍しいそうで、それがいるのも3社だけとのこと。

澤田さんは去年、オリンピック組織委員会の森会長(当時)の発言、振る舞いに対して、本人に向かって率直に意見を言ったことで注目された。
ラジオを聴いていても、その取材への熱量、真摯な姿勢に敬服することは多い。

それでありながら、ただ物申す!という感じの方でもなく、いろんな人の声を聴いて助けも得ながら、行動につなげる普段の姿勢が素晴らしい。
この本ではその行動がどういう背景から育ってきたのか、普段どのような思いで取材に臨んでいるのか、実際の取材例を通して書かれている。
取り上げられているテーマは森会長の一件だけでなく、オリンピック開催をめぐるその後、コロナ、男社会、東日本大震災、沖縄の基地問題など。

本人のことを知らなくても、テレビのニュースではなかなか伝わらないニュースの裏側、伝えることを使命とする澤田記者の思いが存分に盛り込まれていて大好きな1冊。

タイトルにあるように、声を上げること、そして届けることの重要性を改めて認識する。

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2022年02月14日

Posted by ブクログ

これはどこからのピックアップだったか…?おそらく、繰り返し名前の出る、荻上さんや武田さんのオススメだった可能性が高い。時間があれば、というか時間を作ってでも聞くべきと思えるラジオ番組は少なくない。本書でも触れられているように、メディアの中では存在感が薄い、でもだからこそ、小さい声を掬い上げる力に秀でている、という特性によるものだろう。森・安倍・菅という、歴代首相3人を怒らせた逸話が紹介されているけど、ワースト3といって差し支えないメンツだけに、胸のすく思い。これからももっと声を上げ続けて頂きたい。

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2022年06月29日

Posted by ブクログ

ラジオ報道というのを初めて知った。ラジオ独自の取材ってあったんですね。最近、政治家の記者会見が、まぁ政党によって全然違うのでしょうけど、
特に首相とか大臣が、質問にも質問者にも制限設けてて、ちゃんと答えないというのを目の当たりにしてたので、なんか裏の様子がわかったというか、とでも興味深く読みました。と同時に、インパクトある映像とは別のところでの報道。ラジオの良さを教えてもらって、世界が広がった気がしました。

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2022年05月14日

Posted by ブクログ

「よくぞ!」と思った質問(や更問い)をしてきた澤田記者には好感を持っているので購入
数々の質問、その裏にあった協力体制には捨てたもんじゃないと思わされたし希望が確かにあった
まぁ、問われる側が説明責任をちゃんと果たしてくれればいいだけなんだけどね

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2021年12月12日

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