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Posted by ブクログ
人口減少対策について、真正面から書ききった。元官僚だから書ける立法府の内情はさておき、子供保険を含む対策案の説明は理路整然としていた。なかでも親世代が子供世代に投資・支援するという発想は、国債発行しまっくって子世代に借金を押し付けている現状を変えるすばらしいプロパガンダ案と言えよう。未来への投資を箱物やインフラにするのではなく、子供たちにする! この発想を日本国民が共有できれば・・・・
公表されている統計データを読み解くだけで、日本の暗い未来が想像できてしまう。老人ばかりが多く、若い世代が極端に少ない国に、若い世代が住み続けたいと思うわけがない。子供をつくる・つくらないは個人の自由だが、人口減少は悪いことだというコンセンサスが必要だ。有識者(健全なマスコミ、文化人、科学者、経営者、政治家等)は本書を読んで勉強し、将来世代のために日本の人口減少に歯止めを打つ必要性を強く感じてほしい。
以下、個別案の感想。
・子供の授かりやすさの原因の一つが、個人差の大きい卵子の数であり、これはAMH検査をすると推定できるというのを初めて知った。成人祝いにAMH検査をやるべきでは?
・世代別に比較したコーホート出生率で、1992年以降生まれの適齢期(20代)での出生率が前の世代に比べ下がっている事実はもっと危機感を煽るべきだと理解した。このままでは10年後にはさらに深刻な事態になる。
・子供保険のターゲットが常勤で働く母親だけでなく、パートや働けない親の子も対象にするべきだという主張は腹に落ちた。育児休暇ではなく、育児手当を全ての親に渡すための子供保険は現政権で実現してほしいものだ。
・介護保険は最近の政府施策では良い保険だと思っていたが、成立まで6年もかかったのか。このへんの舞台裏をNHKあたりでドラマ化しないかなあ?廃案になりそうになったら、細かいことを反対していた市町村の担当者たちが慌てて賛成すべく立ち上がったくだりは参考になる。現場力が日本にはまだあることを誇りに思う。