【感想・ネタバレ】サッカーシステム大全のレビュー

あらすじ

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サッカーは広いピッチを22人もの選手が絶え間なく動き回る、複雑なスポーツです。

味方同士が連動してプレーするためには、チームとして動き方の共通認識が必要ですが、その土台となるのがシステムです。

サッカーの長い歴史において、さまざまなシステムが試され、その最善形を探す実験が続けられてきました。現代では3-1-4-2のような固定システムはもちろん、アシンメトリーなシステムや、攻撃と守備で異なるシステムを採用する可変システムなど、チームによって多種多様なシステムが採用されています。

本書では現代サッカーに見られるあらゆるシステムを4つの基本形とその派生形としてわかりやすく解説しています。一見複雑に見えるシステムも、基本を抑えることでぐっと理解しやすくなるのです。また、Jリーグの各クラブチームがどのシステムを採用しているかも随所に記載しています。

あなたがサッカーの指導者の方や選手の方であれば、自分のチームのシステムだけではなく、相手チームのシステムの特徴、メリット、デメリットを理解することで、有効な戦い方がおのずと見えてきます。

あなたがサッカーファンであれば、ボールの動きを追うだけではなく、ボールに関係ない選手たちがどのようなポジションを取っているか、どのような攻撃、どのような守備をしようとしているのか、そういったことがわかることで、観戦の楽しさは何倍にも膨れ上がるでしょう。

本書で現代サッカーのシステムを深く理解して、サッカーで勝つために、あるいはより楽しく観戦するためにぜひ役立ててください。

Part 1 システムの考え方と重要性
Part 2 4-4-2 2ボランチシステムの特徴とバリエーション
Part 3 4-3-3 1ボランチシステムの特徴とバリエーション
Part 4 3-4-3 2ボランチシステムの特徴とバリエーション
Part 5 3-5-2 1ボランチシステムの特徴とバリエーション
Part 6 システムの実践
Part 7 特殊系システム
Part 8 セットプレーのシステム

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Posted by ブクログ

いつも雰囲気でサッカーを観ているけれど、ちょっと詳しくなったぞ…と勘違いしてしまうほど岩政さんは説明が上手だ。来季への期待が高まる。岩政さん、コンサを救ってくれ…!
テレビの脇に置いておき、試合を観る毎に読み直そうと思う

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2024年12月30日

Posted by ブクログ

意外と、サッカーのシステムについての全体像を上手くまとめられた本って見かけないから、本書を出版した岩政さんのサッカー界への貢献は大きいと思う。

全員がシステムを理解できているのが理想ではあるけど、現実は程遠いため、せめて、チームに1人で良いから、チームメイトを集めて話せる人がいると、サッカーのレベルが1ランク上がるように思う。監督、コーチは当然知ってて欲しい。

システムは共通言語として、分かり易さのための概念と捉えておいて、実際の運用はシステムから考えるよりも、結局のところ、以下のような思考が大切になるなぁと。

・全選手の個性を把握し、チームとして最大化する
・目的を共有する(どこを捨て、どこを取るのか)
・攻守のバランスを見て可変する柔軟性を持つ

勝利を目指した経営においては「組織は戦略に従う」が正しいが、現実的に、多くのチームにとっては、「戦略(システム)は“構成員”に従う」しか選択肢がない。特にこのシステム論の本質は、今いるメンバーの特徴を最大効率でチーム力に換えることをいかに上手くやるかが腕の見せ所となる。

その為には、監督の「こんなサッカーがしたい!このシステムに拘りたい!」という欲望は不合理を生むため、「このメンバーを活かして勝つためには、どんなサッカーが良いだろうか?どんなシステムが適切だろうか?」と考える必要があり、それはシステムの全体像、基本を理解していないと適用できない。

個人的にはやはり、安定性、柔軟性を考慮すると、4-2-3-1が好きだし、自分も現役の時はお世話になったシステム。これに、前線のプレスで相手のシステムに応じて可変(4-4-2 or 4-3-3)させるのと、「5人目の原則」でボランチorセンターバックシフトを決め事とすれば、基本対応としては良さそう。

システムに限らず、セットプレーにも言及されてて、特にコーナーキックに関しては、背中を押してくれてありがとうな感じ。マンツーマンって何気に捕まえきるの難しかったり、人員配置が相手主導で気持ち悪かったけど、岩政さん自身がゾーンで主体的にやりたいと仰っていたのがとても良い。そこは価値観やリスク許容度の話。


以下、個人的な見返し用メモ書き↓

・システムは4つの基本形で捉える
①4バック、2ボランチ
⇨攻守のバランスが良く、柔軟性がある
②4バック、1ボランチ
⇨ピッチを広くカバー
③3バック、2ボランチ
⇨スペースを効率良く埋める
④3バック、1ボランチ
⇨全然の厚みでアグレッシブに

・システムはあくまでも初期配置でしかない。ある瞬間を切り取ったもの。

・日本は育成年代を含めてシステムの特性が浸透していない

◎現代では、攻守で可変システムとして運用することが珍しくない

◎攻守の切り替えで起きる瞬間的な問題はプロレベルでしか問題にならない。アマチュアではそこをつくほどの精度はなく、それほど問題にならない。

・敵陣の深いところをアタッキングサード、真ん中をミドルサード、自陣の深いところをディフェンシブサードといい、自陣から順にZONE1、ZONE2、ZONE3と呼ぶ。

・守備はチームの決まりごとで整理され、個人判断は、ボール奪取の局面のみ

・ZONE3ではマンツーマンで人を潰し、ZONE2ではゾーンで構える。ZONE1、特にペナルティエリア内では人を捕まえ、クロスはゾーンで構える。

◎4-4-2
⇨選手間距離が均等でバランスが良い。コンパクトにできる。チャレンジ&カバーを徹底。組織で守りやすい。ハイプレスをかけると、ボランチとセンターバックが空きやすい。2トップの脇に起点を作られがち。サイドハーフの走力がカギ。相手ボランチから展開させないために、ボランチ1枚を出し、FW1人をプレスバックさせる。2トップ脇はボランチが出て、他のMFでスライド。
ZONE1では4人では守りきれない横幅を「5人目の原則」をどう行うかが課題。(育成年代ではこれを定めてないチームが多い)
サイドバックを引き出されたとき、センターバックとの距離が空く。センターバックはゴール前を安易に飛び出せない。しかし、チームとしての決め事が必要。
①ボランチが空いたスペースに入る
②サイドハーフが空いたスペースに下がる
③センターバックがスライドしてボランチが下がる
④ディフェンススライド、逆サイドハーフが下がる
⑤サイドバックは出ず、サイドハーフくいさがる
両サイドハーフが高い位置のプレッシングに行く場合は、最終ラインをカバーする役割は期待できない。
①か③のボランチが妥当。ボランチが前に出る時も同様に下がれない。ZONE間の守備のつながりを考えないと間に合わない。戦術の欠陥。ベースをどこに置き、何を捨てるのか明確に共有する。
堅守速攻に向くシステム。
ビルドアップを取り入れるなら、攻撃時には、ボランチ1枚を上げ、FW1枚を下げて、4-1-4-1の可変システムとすれば、斜めのパスを繋ぎやすくなる。

・4-3-3
⇨斜めの角度を作りやすく、ビルドアップに向いている、攻撃的なチームに好まれることが多いシステム。
ウイングの仕掛け力が不足していると、その選手を高い位置に固定するメリットが薄くなり、使う意味のないシステム。中盤で奪ったとき、3トップがショートカウンターを仕掛けやすい。相手サイドバックを低い位置に留める効果もある。前線と横幅をどう守るか?逆サイドのウイングが大外を捨てて、相手センターバックへのプレスに加勢する。中盤両サイドに空くスペースのため、中盤の運動量が求められる。
ZONE3ではハイプレス機会をうかがいつつも、ZONE2に運ばれたら、ウイングを下げて4-1-4-1に変形して構えることが多い。全体をコンパクトにし、隙間を縮めて対応する。
ZONE2の守備を破綻させないため、ボールサイドのウイングが下がって中盤に入り、4-4-2に近い体系を取る。
ウイングは外切りプレスで中へ誘導して、相手ボランチに襲いかかる。

・3-4-3
⇨後方のビルドアップのため。2トップに対して1枚空く。かみ合う場合は、ウイングバックへ。形が固定されるため、相手のプレスに捕まりやすい。攻撃での「3人目の動き」は有効。人の顔が変わらなければ、相手も慣れてくる。流動性に欠ける。守備はウイングバックを含めれば、思い切ってチャレンジしやすい。あえて浮かせる相手を決めるのもアリ。5-4-1になると安定するが、カウンターにエネルギーを要するため、ボールが収まるトップ、走力のあるMFを揃えたい。

・3-1-4-2
⇨攻守のアクションを能動的に。ウイングバックのクロスに5人が飛び込める。インサイドハーフの個性や役割により、システムのメリットが変化する。(相手中央を崩すシャドーや、下がって、ビルドアップサポートやカウンターのリスクマネジメントなど)
センターバックが3枚いるため、カウンターは遅らせ、中盤の戻りで対応は可能。
相手の4-2-3-1など、中央4人を捕まえるメリットは大きい。ポゼッションを重視するチームなら特に有効。ワンボランチの脇は急所だが、前線からの厚いプレスのメリットを重視した積極的な考え。ハイプレスが前提にあるシステム。スピードに自信がある3バックでの対応が理想で5バック化を避ける。ウイングバックでアシンメトリーな対応で負担を軽減することも有効。

・ゲームの流動性にはシステムではなくタスクで対応する。判断基準を整理し、目的を共有して動く。

・4バックは流動性が高い。3バックはタスクが限定される。

◎4-2-3-1が多く採用されるのは、バランスの良さ。相手がどんなシステムでも、ベースとなる守備をそれほど変えずに対応できる。相手が4バックなら、FWとセカンドトップが横関係気味になれば、かみあってプレスに行ける。相手が3バックなら、縦関係で、FWと両サイドハーフの3枚でプレスをかけ、相手ボランチをセカンドトップで抑える。
サイドハーフはドリブラーでも、パサーでも、クロッサーでもOK。個性を当てはめて、誰も漏らすことなくチーム作り可能。
4-4-2にも、4-3-3にも変化できる。

◎システムのかみ合わせは、球際が強いチームに対してはずらす戦い方で、足元でつなぐ組織的なチームにはかみ合わせて球際で飲み込みに行く。

・かみ合わせても、ゴールキーパーがビルドアップに参戦するとかみ合わない。

◎あえて浮かせる守備として、下手なほうのセンターバックに持たせたり、ボールの奪いどころとする。トップ下、ボランチ、センターバックが縦方向に連動してプレスのスイッチを入れる。

・最後、守り切る際は、FWやサイドハーフなど、プレッシングの中心的な選手をフレッシュな選手に交代する。ZONE1で5バックで構えるのも有効。

・フリーキックは浅いならゾーン対応にする(マンツーマンはラインが乱れる)。キッカー2枚なら、壁も2枚でショートに対応する。

・低いラインなら、ヘディングできる選手が何人いるか?高いラインなら、背後への飛び出しにケアできる選手がいふのか、ゴールキーパーの守備範囲は広いか?

・2019年のルール改正で、壁から1mは離れることに。

◎コーナーキックはゾーンとマンツーマンの併用。
1-4-3-2は基本対応。
ニア1、ゴールエリア4枚がゾーン、その前に3枚が相手をブロック、さらに前にこぼれ球に2人。
ニアはコーナーキック後すぐにオフサイドラインを意識して前へ。

・コーナーキックはマンツーマンで守るチームが多く、アマチュアは特にそう。

◎マンツーマンでは相手に動かされてしまう。カウンターの人員やこぼれ球対応を考え、主体的に試合を進めるなら、ゾーンを選ぶ。

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2025年09月10日

Posted by ブクログ

今まで自分がプレーしたチームや、いつも応援しているチームのサッカーを思い浮かべながら読むことができた。サッカーはシステムが全てではないけれど、岩政さんの言うように、システムごとの起こりやすくなる現象や、急所になる部分を理解しておくことは必要不可欠だと思う。

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2022年10月03日

Posted by ブクログ

サッカーのシステム毎のプロコンを局面毎にまとめた本。サッカーをある程度のレベルで経験していればイメージがつきやすいと思うが、初心者だとイメージが難しいか。サッカーをプレーしているのであれば、自チームのシステムのみならず、対戦相手の特徴を確認するため辞書的な感じで使えるのではないかと思う。

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2022年07月03日

Posted by ブクログ

システムの基本を

①4バック系
・2ボランチ
・1ボランチ
②3バック系
・2ボランチ
・1ボランチ

に定め、それぞれの特徴を考察。強みと弱点をもとに、戦術や対策がZONEごとに細かく説明されていてわかりやすかった。こういうちょっとした駆け引きが言語化できると楽しい。

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2021年12月31日

Posted by ブクログ

システム毎に「起こりうる状況」がきちんと書かれていた。セットプレーのシステムについても書かれていたのがとても良かった。

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2022年04月12日

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