あらすじ
・ヘリウムガスで膨らませた全長20メートルのロボットアーム
・ゴムチューブを変形させて大腸内を自走するロボット
・ゾウの鼻に学び大きな力を生み出すパワーソフトロボット
未来は硬くないロボットの出番です。
パワー、精密さ、効率を求めて、大きな成功を収めたロボット。
産業界を中心に活躍しているが、赤ちゃんをやさしく抱きしめる
といった行動はまだうまくできない。
そんな、従来のロボットでは難しかった課題の解決にチャレンジする、
ソフトロボットに注目が集まっている。
いいかげんさやあいまいさを活用しようとする、
従来のロボットとは逆の発想で生まれたロボット。
本書ではソフトロボットの可能性を、さまざまな実例と
最先端の研究とともにダイナミックに描き出す。
未来を創る「いいかげんなロボット」の世界へようこそ!
●本文より
従来のロボット工学では、エラーは許容されませんでした。
そのおかげで、工場の生産ラインではミスがなく確実な作業を実現できます。
しかし、いつも確実に同じことを繰り返すだけでは順応・成長はできません。
ソフトロボットは、身体にも動きにも知能にも「いいかげんさ」を持っているので、
従来のロボットのようにいつもミスなく確実に動くわけではありません。
ミスもします。
しかしそのおかげで学習し、成長し、環境に順応できるロボットなのです。
●目次
第一章 ソフトロボットとは何か
第二章 しなやかな身体――変形・変化する身体
第三章 しなやかな動き――すべてを仕切らない
第四章 しなやかな知能――やわらかな〝もの〟には知能が宿る
第五章 ソフトロボット研究の現場から
第六章 E-kagenなロボットが創るしなやかな未来
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
なんたって発想が面白い。ロボットと言えば、冷たく無機質、機械的、正確、厳密、杓子定規……なはずなのに、その逆の、いいかげんなロボットを作ろうというのだから。
よく言えば、融通のきくロボット、臨機応変なロボット、アバウトなロボット、しなやかなロボット。みなひっくるめて「ソフトロボット」と言うらしい。体がいいかげん、動きがいいかげん、知能もいいかげん。ミスやエラーもするけど、それによって学習もする。柔軟性が持ち味。
自由度の話とか、劣駆動の話とか、犬の散歩モデルの話とか、4Dプリンティングの話とか、個々のトピックが面白い。そしてソフトロボット学の最前線の研究(とくに日本の研究)もたくさん紹介されている。
最後は、どうしても人間について考えてしまう。そうか、いいかげんさ、これこそ人間のもった特性だったのか。ロボットから人間が見えてくる。