【感想・ネタバレ】日本的ジョブ型雇用のレビュー

あらすじ

ジョブ型雇用の本質とは何か、日本の企業風土・雇用慣行と親和性の高い仕組みとは、転換へのさまざまなハードルをいかに克服するか、具体的なジョブ型雇用のモデルとは、企業の円滑な転換をサポートする政策のあり方など、本書は幅広い観点から有識者を交えて議論し、パーソル総合研究所の独自調査も交えて、現実に即した導入を提言します。
ジョブ型雇用は働く人にとっても企業にとってもメリットが多いシステムですが、いざ転換となると、日本の企業風土や労働慣行にそぐわないとの意見や、解雇が困難な現行の労働法制に合っておらず雇用不安を煽るだけとの指摘もあり、具体的制度設計はむしろこれからです。
本書は、日本企業で広く行われているメンバーシップ型雇用の良さを残し、日本の企業風土や労働慣行にもマッチする日本的ジョブ型雇用を提案。ジョブ型雇用の具体例も紹介し、日本企業がジョブ型雇用に転換する際にクリアしなければならない課題を指摘します。

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Posted by ブクログ

「ジョブ型雇用」という言葉は、2020年頃(もう少し前かな?)から、人事労務「界隈」では、バズワードとなっている。2023年の岸田政権下での、「新しい資本主義実現会議」の提言書、あるいは、政権による「骨太方針」には、「三位一体の労働市場改革」が謳われ、個別企業でのジョブ型人事制度の導入は、その柱の一つとして位置づけられている。また、それよりも遡ること数年、2020年の経団連「経営労働政策特別委員会報告」にも、「ジョブ型人事制度の導入」が日本企業にとっての大きな課題であるとの主張がなされている。
「ジョブ型」は「メンバーシップ型」と対比して語られることが多い、これは、もともとは、2009年に濱口圭一郎さんが「新しい労働社会」の中で、日本の雇用制度を「メンバーシップ型」とし、日本以外の諸外国が基本としている「ジョブ型」の雇用システムと対比して説明されたことから人口に膾炙した言葉である。「ジョブ型雇用制度」は、何か新しいものであるかのように語られることもあるが、全くそんなことはなく、日本以外の国では当たり前の雇用の仕組みであり、日本でも戦後、「職務給」という形で企業が導入を試みたこともあるものである。政府や経済団体の文脈では、「日本の高度成長を支えた日本的な雇用システム、すなわち、メンバーシップ型雇用は制度疲労を起こしており変革が必要である。その際に、諸外国、特に米国で主流となっているジョブ型人事制度を導入することにより人事制度改革を成し遂げるべきである」との文脈で語られる。
濱口圭一郎さんは、2009年の自著「新しい労働社会」以降、メンバーシップ型vsジョブ型の図式で、単純化して物事が語られることに違和感を覚え、2021年に、改めて「ジョブ型雇用社会とは何か」を著された。そこで濱口圭一郎さんは、メンバーシップ型とかジョブ型というものが、巷間語られているようなシンプルなものではなく、それは、一種の「社会システム」である(例えば、教育システムや職業教育システム等を含む)ことを強調され、改めて、日本と諸外国の、雇用システムを含む社会システムについて整理されている。そこでは、それぞれに長所も短所もあるものであるとの冷静な説明もなされている。
以上が、「ジョブ型雇用」あるいは「メンバーシップ型雇用」についての議論の経緯である。

本書「日本的ジョブ型雇用」は、濱口圭一郎さんと問題意識を共有しており、ジョブ型雇用システムには、メリットもあればデメリットもあること、各企業が目指すべきは、「ジョブ型システムの導入」ではなく、「経営課題に紐づいた人事課題の解決であり、その解決に役立つ範囲でジョブ型雇用のエッセンスを取り入れれば良い」というバランスのとれたものである。
「ジョブ型雇用」についての書籍は沢山読んだが、濱口圭一郎さんが書かれたもの以外で、本書が最もバランスが取れたものだと感じた。企業の人事の方にはお薦め。

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2024年12月15日

Posted by ブクログ

ジョブ型を様々な角度から説明してくれており、企業の事例や取り組みへの思い、進め方(もちろん詳細ではない)までを網羅しておりとても分かりやすく興味深い一冊。ありがとうございました。

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2023年04月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

新卒をジョブ型として雇用するのは無理。
ジョブ型の前に、評価処遇制度を改革する。
成果主義の失敗の轍を踏まない。
ジョブ型では、定型的業務は査定の対象外。小幅の自動昇給がある。
職務記述書は一回作ったら放置、が多い。それではなんにもならない。
カゴメは職務記述書がない。作成しても変化するから無駄。グローバルジョブグレードの中で求められる人材像が設定されている。

すべての社員がその道のプロを目指す。ジェネラリストは経営のプロを目指す。

アメリカはコミュニティカレッジとプロフェッショナルスクール、
ドイツは専門大学制度、デュアルシステム(職業訓練)
スウェーデンは、高度職業教育制度、職業大学、

Jフロントリテイリングはジョブ型先行事例。
ジョブ型導入後の課題=人に向き合わない組織、職位等級制度からミッショングレード制度へ移行

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2022年06月06日

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