あらすじ
1955年、アメリカの3大ロングトレイルのひとつ、アパラチアン・トレイル(約3500km)を
女性としてはじめてスルーハイクしたのは、67歳のおばあちゃんだった。
エマ・ゲイトウッド、67歳、ハイキング経験なし。
DV夫と11人の子供と23人の孫をもつ彼女は、テントも寝袋も持たず、
毛布一枚にくるまりながら、トレイルを1日20km歩き続けた。
その姿はやがてニュースになり、行き先々で記者が待ち構えるようになる。
彼らの「なぜ歩くのか?」の質問をはぐらかしていた彼女は、やがてその胸の内を語り始めた。
トレイルでの出会いと別れ。夫のDVに耐え続けた34年間の結婚生活。
モータリゼーションが進むなか環境保護が叫ばれる時代背景。
現代に生きる著者によるトレイル再訪・・・。
場所と時代を行き来しながら語られるエマ・ゲイトウッド一代記。
ロングトレイルをめざす全てのハイカーの憧れであり目標であるエマおばあちゃんの真実がいま、語られる。
■目次
1 しっかり歩け
2 おうちに帰りな、おばあちゃん
3 シャクナゲとガラガラヘビ
4 野犬
5 どうやってここに入り込んだ?
6 私達の喧嘩
7 女放浪者(レディー・トランプ)
8 注目
9 働きづめの人生
10 嵐
11 シェルター
12 必ず歩き通す
13 破壊
14 多くのことを経て
15 たった一人で
16 レインボー湖に戻って
17 これまでにないほど完璧な孤独
18 再び
19 パイオニア・ウーマン
20 道を拓く
21 記念碑
エピローグ
■著者について
ベン・モンゴメリ
アメリカ・オクラホマ州生まれ。アーカンソー工科大学卒。
2010年、新聞記者時代には地元紙の報道でピューリッツァー賞ファイナリスト。
フロリダ州で最も古い改革派の学校での虐待に関する「For YourOwnGood」というシリーズでダート賞とケーシーメダルを受賞。
綿密な取材に基づいた人物評伝の著作が多い。
■訳者について
浜本マヤ(はまもと・まや)
東京生まれ。上智大学フランス語学科卒。元英語教師。
幼少の頃より近所の山を歩くのが好きだったことが高じて、ハイキング好きに。
2018年にはアメリカのジョン・ミューア・トレイルをスルーハイク。
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Posted by ブクログ
もっとほんわかした内容かと思ったらガチのノンフィクションだった。期待していなかった分驚いた。
エマはグリットのある人。
後半に畳みかけるような文章で、結局3回もATを制覇したことが書かれていて「えええ?1回じゃないのかい!」とツッコミが入るほど驚いた。
Posted by ブクログ
女性初のアパラチアントレイル全線踏破者(しかも67歳で!)の実話。エマは貧しい子供時代を過ごし、結婚してからは夫のDVに耐え、やっと自由になった時にスルーハイクを実現。十分な装備もない中、1日20km以上歩き続けたなんて、、、私は週1ペースでデイハイクをするけど、この本を読んで、いつかロングハイキングにも挑戦したいと思った。
Posted by ブクログ
「いつか行ってみたい。」
そう思っている場所に実際に足を運ぶ機会が人生でどれだけあるだろうか。
しかも、ただその場所に降り立つのではない。
約半年もの期間を要する、気の遠くなるような距離を踏破することへの挑戦だ。
世界最長を誇るアパラチアン・トレイル(アメリカ)。女性として初めて踏破(スルーハイク)したのは、屈強な若者ではなく、孫までいるおばあちゃんだった。名前はエマ・ゲイトウッド。
何かを始めるのに年齢が遅すぎることなんてない。
私も色んなことに挑戦しなきゃ❗️と元気付けてくれる一方で、「いつかやる」と言って「いつまでもやらない」自分を再認識させられ痛い。
いやしかし、おばあちゃんの生き様アッパレです。
Posted by ブクログ
長距離を歩きまくるおばあちゃんの話
とてもハードボイルドに歩き続ける姿はカッコいいですね!
スマホなしで半年歩き続けろとか言われても無理ですよね〜とても楽しめた一冊でした
Posted by ブクログ
とにかく歩こうと思った。
体の健康にも、精神の健康のためにも。
大自然の中を歩くトレイルに興味はあるが、エマのような勇気と実行力はないので、まずは近所を歩くことから始めよう。
エマは不幸な出来事にも耐え、前向きで、働き者で、冒険家。子供の頃の経験があれば成人して不幸な場面に出くわしても負けずにいることができるのか。それとも自分の子供への愛ゆえか。
Posted by ブクログ
面白かった。歩きたくなっちゃうね、3500キロとは言わないまでもね。
(しかし彼女の人生、自然を謳歌するハッピーなアウトドアおばあちゃんというわけではなかった)
Posted by ブクログ
これはもう驚くしかない。
シュラフもツエルトも、もちろんテントやコンロも持たず、ザックすら持たず、70年前の整備不十分なアパラチアントレイル3300㎞を一気に歩き切った67歳の女性を描いたのが本作だ。パシフィック・クレスト・トレイルをスルーハイクした女性が書いた『私に会うまでの1600㎞』の著者は、ハイク初日にその重量のためザックを担ぐことができなかった。本書に書かれるグランマは、ULハイクのさきがけだ。最終盤に装備を詰めた袋を肩に担いだ本人の写真が掲載されているが、本当に驚いてしまう。
道中のドキュメントと、彼女の抑圧された半生が交互に書かれ、アパラチアントレイルをスルーハイクする情熱の根源を推し量る構成になっているが、いずれにせよ何かしら行動を起こすときに、なにより重要なのは情熱なのだと思い知らされた。