あらすじ
時代の“先”が見えない今、多くの人が迷わないための“地図”を欲している。しかし、「地図はすぐに古くなり、使い物にならなくなる。一方、真北を常に指すコンパスさえあれば、どんな変化にも惑わされず、自分の選択に迷うこともない」――そう語る著者が、様々な分野の識者と対話。自分の「思考のコンパス」を手に入れ、迷ったときに一歩を踏み出すためのヒントが得られる1冊。 【対談相手とテーマ】●北野唯我――夢中になれる仕事を見つけられない日本の社会システムとは? ●近内悠太――「資本主義はもうダメだ」では社会は変わらない。「すきま」を埋める言葉を ●養老孟司――五感から情報化するために人間は「ノイズ」を求める ●小川さやか――タンザニア商人に学ぶ制度や組織に頼らない生き方 ●高橋祥子――生物的な仕組みの理解なしに資本主義は成り立たない ●井上智洋――毎月7万円のベーシックインカムが日本の閉塞感を打ち破る ●広井良典――ゆるやかに今を楽しむライフスタイルが徐々に広がっていく
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Posted by ブクログ
山口周氏の本。世の中に対するスコープを深めるべく読書。世の中の重要論点に対して議論がなされておりめちゃおもろい。
メモ
・来るべき世界に対する考察
仮想空間へのシフト
反都市化への反転
ライフスタイルの多様化・複層化
・自然派圧倒的に情報量が多く、人間が想像し作ったものはそれらを超えない。
そもそもアートはどこまで自然に近づけるかというもの
・交換ではなく、贈与であることの意味。関係性の違い。
・身体性。インプットに対する感受性の高さをどう担保するか
機能性、意味の追求からの脱却。
意味のないことの意味
・インフォーマル社会の存在
依存と自立の表裏一体性
貸し借りから始まる、継続する関係性
・aiが苦手なこと
抽象理解とコミュニケーション
マニピュレーション
クリエイティビティ
マネジメント
ホスピタリティ
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Posted by ブクログ
・個人を偶像化すると、どうしても変容してしまう
・人言中心主義vs生命中心主義
・仕事はバーチャル、私生活をフィジカルにする生き方
・知識だけでは伝わらないことも、すきまをうめることで途端に伝わることがある
・与えられていることに気付くこと
・人生とは不確実なもので、努力が必ず報われるとは限らないし、予測できないこともたくさんある。だからこそ面白いし、他人を受け入れ、自分が受け入れられる余地もある。そんな価値観に身を投じることができたら、生きやすい世界になるのではないか。
Posted by ブクログ
個人的にビジョナリストと思っている著者の対談本。
コロナ禍で、今までずーっと通勤するからどこそこに住む、という当たり前になっていたことが変わり、毎日会社に行かなくて良く、どこに住んでも構わないという、働き手の制約条件が大きく緩んで、自分の意思で選択しなければならない時代になりました。これは、個人として、どう生きたいかを自分で決めないといけない、という社会になってくるとのことで、自分にとって大切なものは何か、どのような人生を送りたいのかを考えるツール、これをコンパスと表現し、読者に提供したいとのことです。
対談者との掛け合いがある分、いつもよりは頷けるところが個人的には少ない印象でした。
気になった点
・養老孟司:人間社会というのは全部じゃありません。たかだか半分(昆虫が趣味で、それが自分の中でバランスを保っているという意図)。
・小川さやか:ルールを適度に無視して、自分たちで考え何かをしている状態は、交通だけでなく、社会の隅々にあり、本来その上に秩序ができているはずです。そのことを忘れて、細かいルールをつくって制度化しようとすると、一つの制度をつくるとまた別の制度を作らなければならなくなるのが現実ではないでしょうか。
・広井良典:時代が人をつくり価値観をつくる。いまや完全に人口減少に転じましたから、再び行動パターンも変わってくると思います。昭和のやり方では、もはや成り立たない。まさにターニングポイントに置かれています。(略)70~80代の人々は昭和的な価値観の中で生き、若い世代はまったく別の価値観の中で生きている。その変化のスピードの速さが難点ですが、ここを乗り切ればポジティブな未来が開けてくるのではないでしょうか。
明るい未来に対応できる自分にならなあかんな、と思いつつ閉じました。