あらすじ
「おれは首都圏連続殺人事件の真犯人だ」大手新聞社の社会部記者に宛てて送られてきた一通の手紙。そこには、首都圏全域を震撼させる無差別連続殺人に関して、犯人しか知り得ないであろう凶行の様子が詳述されていた。送り主は自ら「ワクチン」と名乗って、ひとりの記者に対して紙上での公開討論を要求する。「おれの殺人を言葉で止めてみろ」連続殺人犯と記者の対話は、始まるや否や苛烈な報道の波に呑み込まれていく。果たして、犯人の真の目的は――劇場型犯罪と報道の行方を圧倒的なディテールで描出した第27回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
3分の2くらいまでは面白いけど想像してたよりは普通だな⋯と思っていたが、後半がすごかった。
犯人が誰か分かっても殺された教授をよく知らないし、そこまで感情移入できずそうなのね。としか思わなかった。しかし、陽一郎くんの手紙あたりから一気に入り込めるようになる。
対話の相手はどうして一本木記者じゃないといけなかったのか、タイトルの殺せなかった人物は誰なのか。知れば知るほど謎が解けていくスッキリ感と登場人物たちの心情を考えてしまい苦しくなる気持ちが両方くる。
Posted by ブクログ
深い…
複雑に入れ組んだ伏線…ラストシーンでの怒涛の回収…
育ての親と実の親の対峙
愛すべき者を愛さなかった罪
真実の裏にある罪
だから殺せなかった
最後まで読んで、心は苦しくなるし、切ない気持ちでいっぱいになるけど、この感情をどう言い表せばいいのか分からなくてもどかしいです。
一本木記者は、最後、真実を一部伏せて公表することにしただけで、少しは成長したのかな。
息子が、記者に対して父さん…って間違えて呼ぶ一言がエモすぎるなんてこったい!
前半説明が多すぎてキツかったもうちょい分かりやすく書いてたら★5です。
Posted by ブクログ
ミステリーはあまり読みませんが、元新聞記者ならではの現場のリアルな描写と、新聞記者での問答を通じて真犯人の姿に迫っていくやり方が斬新で読んでいて面白かった。
ネタバレに近くなってしまうが、読み終わってから考えてみると怪しい人物やそれを誘うようなミスリードがチラホラと出ていて、最後の方までは読者の予想の範疇で物語が進んでいくと思う。最後のどんでん返しには驚かされ何度か読み返した。タイトルとのつながりも納得がいく。
著者に関しては情報が少なく他の作品も出ていないようだか、もし他の作品が出れば読んでみたいし、実写化もされているようなのでそちらの方とも比較してみたいと感じた。